カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 上田市上田原にある「拉麺酒房 熊人」というラーメン屋さん。
会社のメンバーから、「この辺りでお薦めのラーメンと言えば・・・!」と推奨(激賞)された店で、雑誌でも良く取り上げられ、評判を聞いてラーメン好きの人が県外からもわざわざ食べに来るのだとか。会社からは車で10分程度ですが、人気店で昼時間だけではリスクがあるので、これまで行ったことはありませんでした。
先日、外出の帰りに昼時を過ぎてしまったので、「どうせなら・・・」と寄ってみることにしました。

 上田原の信号から200m程高台に登った道沿いにその店はありました。
この近くに住む職場のメンバーから、「店らしくなく、普通の民家で一見公民館風の建物ですよ」と聞いていた通りの一軒家。知らなければ通り過ぎてしまいそうなほど(実際少し行き過ぎてから、もしや?・・・!)で、目立つ看板や幟旗も無く、全く以ってラーメン屋らしくありません。
店の裏に、結構苦労して10台ほどの駐車スペースが確保されています。玄関で靴を脱いで上がると(やはり民家を改装したのか、店内もラーメン屋らしくありません。むしろ田舎の蕎麦屋風)、広めの座敷にテーブルが6卓程と、厨房横に設えられたカウンターに5席。満席ではありませんでしたが、昼時を過ぎても次々とお客さんが訪れて来ます。      
 メニューにはつけ麺や味噌もありましたが、ここのイチオシであろう「醤油拉麺」(730円)をオーダー。「かけ拉麺」(550円)という聞き慣れないメニューもあり(昔、京都熊野神社近くのラーメン屋さんに「肉抜きラーメン」という学生向けのメニューがあり、貧乏学生には時々オヤジさんが黙ってチャーシューを載せてくれましたっけ・・・。就職後の出張の際、そのお礼にと伺ったら、もう店はありませんでした)。
 最初に「夢かおり」という小麦を塩で炒ったものが出され、「つまみ代わりに味わってみてください」とのこと。小麦本来の香りの強さが分ります。
 待つ間に読んだメニューに書かれていた説明によると、この小麦を始め、出来るだけ地元や県内産などの原材料を使っての地産地消と自家製に拘っているのだとか。自家製粉(石臼挽き)、手打ち風自家製麺機(仏製とか)、チャーシューやメンマも全て自家製とのこと。スープは、鶏ガラをベースに、鯖枯節と宗田鰹枯節で出汁を取り、そこに松本の大久保醸造の醤油(「甘露」)を加えて味付けをしいるとの記載(醤油系では、やはり大久保醸造の別の「紫大尽」という醤油を使う「薄口醤油拉麺」もあり)。
 運ばれてきた醤油拉麺。トッピングは、チャーシューとメンマ、青菜、海苔とナルトに刻みネギ。
一口スープを啜って驚きました。今までに全く食べたことの無い味です。透き通ったスープは、確かに鶏ガラベースを感じさせますが、枯節と醤油での味は、むしろソバツユ。非常にあっさりとシンプルですが、味に深みを感じます。それもその筈で、(蕎麦屋を営む義弟に依れば)拘りを持つ殆どのそば屋が「返し」に使っているのが、この松本の大久保醸造の醤油なのだとか。これなら「かけ拉麺」があるのも頷けます。また、高級小麦を粗挽きした自家製粉で、これまで何年も色々試行錯誤されて辿り着いたという自家製麺は、多加水麺とのことで、モチモチした食感の中細麺。
 熊人の「拉麺」。それは、中華そば、支那そば・・・とは呼べぬ、また「蕎麦」とも違う、「和風」と簡単には言えないラーメンです。シンプルなのに深い・・・。「ウ~ン」と唸りながら啜る内に、いつしかスープは完食。そこでまた「う~ん?・・・」。
ただ、私の好みではありません。個人的には、もっと鶏ガラを効かせた“中華そば”の方が好み。しかし、こういうラーメンがあってもイイと思います。
そう言えば、カウンターの中には上田の地酒(信州銘醸)がたくさん並べられていましたが、店主がわざわざ「拉麺酒房」と名付けた意味。
その意図は、夜、締めでのビールと一緒のラーメンではなく、和風の小鉢をつまみつつ、むしろ日本酒(地酒の冷でも燗のどちらでも)に合うラーメンなのかもしれない・・・と勝手に推測した次第。そう言えば、メニューにあった自家製のギョウザも、焼きではなく水ギョウザでした。