カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
1月14日の夕食後。年末の葬儀から続いた疲れと、強制適用休肝日ゆえすることも無く、「じゃあ、寝るワ・・・」と寝室に行ったのですが、まだ夜9時を回ったところだったので、10時からの太田和彦さんの「ふらり旅」(BS11)を見ようとTVを付けました。地上波はバラエティばかりで見るモノも(気も)無く、ニュースでの元首相経験者の都知事選立候補も「何で、原発も無く、電力の最大消費地の東京で、脱原発が都知事選の争点になるのかなぁ?だったら堂々と国政に訴えればイイのに!」と思い見る気もせず、チャンネルをBSに切り替えると、NHK-BSプレミアムで放送されていた“時代劇”・・・、と思ったら時代劇の撮影所風景。
本来、プレミアムシネマでは、ここ数年の話題作を取り上げている筈ですが、出演者も地味で、「鎌田行進曲」的画面にも記憶がありません。
どうやら、舞台は懐かしい京都にある東映の太秦撮影所らしいことは画面から分かりました。興味が湧き、食い入るように見始めて、「ふらり旅」も見ずに、結局最後まで見終えてしまいました。
キャスティングも含め後で分かったこと。
主演は福本清三さん。香美山なる東映撮影所の時代劇の“斬られ役”専門の年老いた役者が主人公。時代劇が衰退する中、脇役の仕事も亡くなり、太秦の映画村でのチャンバラショーなどに出演。女優見習いのヒロイン伊賀さつき(山本千尋)の真剣さに負けて師弟関係となり、殺陣を教え、その後、彼女が一躍スターとなってプロデューサーを説得し、大御所の時代劇俳優である尾上清十郎(松方弘樹)と共に、相手役に既に引退し田舎で隠居していた彼を指名して時代劇を撮影。最後二人との殺陣のシーンで、見事な斬られ役を演じるというストーリー。画面がそれまでの撮影風景から映画の画面に切り替わる中で、斬られた後、反り返るように倒れる香美山。横たわる彼に散り掛かる桜の花びらが印象的なラストシーンでした。
「太秦ライムライト」という題名のこの映画は、地元京都で劇団を主宰する大野さんという方が、衰退する京都映画の復興の一助にと、自身もプロデューサーとなり、チャプリンの名作「ライムライト」を下敷きに、京都市なども名を連ねた製作委員会が主体となって官民挙げての寄付などで製作したもので、記憶に無いのも当然で、公開は今年初夏の予定とか。それが、あろうことか、公開前にTV版を編集し、NHK-BSで先行放送されたものだったのです。
主演の福本さんは、実際に55年間実際に“斬られ役”俳優を務め、映画「ラストサムライ」や、殆どのTV時代劇に出演。“5万回斬られた男”との異名を持つ、“日本一の斬られ役”で、今回初主演とのこと。
小林稔持、萬田久子、松方弘樹等が脇を固め、地味ながらも余韻を感じさせてくれる作品でした。