カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
その年の日本各地の遺跡の発掘調査での出土品を展示する、『発掘された日本列島』展。
毎年、日本各地では約8000件近い発掘調査が行われているそうですが、その中で、近年、特に注目されている32遺跡からの約520点の出土品を集めた「発掘された日本列島2013」展が文化庁主催で開催されており、しかも今年は特に宮内庁との共催により、幻の卑弥呼の墓とも云われる箸墓古墳や仁徳天皇陵などの、宮内庁が管理する天皇陵などの「陵墓」から、これまでの保全整備などの際に出土した様々な埴輪の展示も初めて行われるという、全国の考古学ファン垂涎!(多分)の特別展です。
それが、何と全国5ヶ所の巡回展の一つとして、今年は何故か(理由なんてどうでも良いのですが)松本にやって来ているのです!。
因みに松本の他には、東京、福島、高槻、大宰府のみ。東京は当然として、福島は若冲展然りですし、高槻周辺は古代ヤマト有数の古墳地帯でしょうし、大宰府は全国に4つしかない(筈の)九州国立博物館だし・・・何だか(全国の考古学ファンの方々に)申し訳ない気がします。確かに「何で松本なの?」と訝る向きもあろうかとは思いますが、東日本最古級の前方後方墳もありますし、一説には、天武天皇が都を松本(律令時代の束間=筑摩)に移すための調査まで行わせた(崩御により幻に)と云いますので、古代信濃の重要性に鑑み、どうかお許しください。
なお、光に弱い絵画とは違って、土で焼かれた土器や土師器などはフラッシュさえ焚かなければカメラ撮影OK(の筈)ですので、カメラ持参です(と言いながら、じゃあ、フラッシュを使わなければ絵画だって問題無いのでは・・・?と疑問が湧いて来ますが、もしかしたら、保存よりも著作権の問題か・・・?)。
ケヤキや桜が色付き始めたお城の中央公園の隅に建つ、松本市立博物館。
「発掘された日本列島2013」展は、特別展として2階フロアに展示されていて、入館料300円(常設展示+100円とのこと。係員の方に松本での開催理由を尋ねたら「さぁ、知りません・・・」というツレナイお返事でした)。旧石器時代から近世に至るまで広範囲の遺跡の発掘品が展示されています。
中でも注目は、国立市の緑側東遺跡から発掘された、縄文の宗教的儀式との関連が伺える、1mを超える石棒4本が発見時の状態が分かるように並べられ、つくば市の上境旭台遺跡からは縄文時代の完全なミミズク土偶と共に、切り取られ樹脂で固められた貝塚の地層(貝層)も併せて展示されていました。山国では見たくても見られなかった昔の考古学(好き)少年は、初めて見る古代からのタイムカプセルとも言える貝塚の実物(要するに縄文時代の“ゴミ捨て場”ですので、貝殻だけではなく、食べた獣や魚の骨、割れた土器の破片なども見られます)に興奮し、「凄いなぁ!」を連発。
また古墳時代からの浜松市の鳥居末遺跡からは、金の眩さが柄に残る太刀。
そして、今回の何と言っても目玉である、宮内庁管理の陵墓出土品の埴輪群。仁徳天皇陵出土の巫女と思われる女子頭部(人物形埴輪)、箸墓古墳の壷形埴輪、神社建築との繋がりが伺える御廟山古墳の囲・家形埴輪、中百舌鳥古墳群からの馬形埴輪の頭部など。出土した古墳名を見るだけでも「おぉ・・・」と溜息で、実物はどれも想像以上に大型の埴輪でした。
今回初めて一般に公開されたこと自体が宮内庁の英断だと思いますが、卑弥呼の墓かどうかの決着も含め、将来的な学術的発掘調査の実施が望まれます。
いずれにしても、長年の論争に決着を付ける邪馬台国の金印を始め、まだまだこの列島には今までの歴史認識を覆すような古代の遺物が眠っている筈です。いつか、ミッシング・リンクを埋めるピースが発見されることでしょう。
今回は、震災による高台移転などに伴う東北の遺跡発掘の展示や、地元松本平の発掘品の展示もあり、とても興味深い内容でしたが、一般受けはしないのか、もしくは期間終盤だったこともあるのか、恐らく松本に来ることなど二度と無いでしょうに、見学者が少なかった(見学中僅か数人!)のが残念でした。
ヤマトだけではない、旧石器時代からこの列島を選び住みついた我々民族の営みを知り、古代に想いを馳せる・・・どうして、火山や地震、台風が襲うこの災害列島にやって来たのか?・・・もしかしたら、時に自然災害はあっても、陸続きで日々異民族同士の争いのある大陸を避けて来たのかもしれない・・・小学生くらいの子供たちにこそ、是非実物を見て何か感じて欲しい。
この三連休の11月4日まで松本で開催されていて、その後は大阪、九州へと巡回します。
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