カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
一年振りでしょうか、それまで年2巻出版されていた「みをつくし料理帖」ですが、著者の取材中心の充電期間ということで間が置かれ、この6月末に漸く第8巻「残月」が時代小説文庫(ハルキ文庫)から出版されました。そのためか、今回の全4話は初夏から冬までと、ストーリーがほぼ一年近くになっています
新聞の新刊書広告で知り、直ぐに買い求めたものの、勿体無くて(時間が無く、その前に買った本もまだ読み切れず)暫くそのままになっていましたが、我慢ならずに手に取りました。でもやはり読み続けるのが勿体無くて、少しずつ、時間を置いてはまた少し、と余韻に浸りながらも遂に読み終えてしまいました(今回もじっくりと2回読み返し)。
今回で言えば、ご寮さんが漸く幸せになれそうで良かったです(ご寮さんの、例えば第1巻?での、大水で天涯孤独となって浮浪者のようにさ迷う澪を救う際にも見せた気風の良い啖呵のような、大店の女将さんとしての凛とした強さを持ちつつも、普段は関西弁が柔らかくて暖かで、これまで何とも癒されてきました)。
驚天動地のドラマ性や、どんでん返しの意外性といったものではなく、ただ淡々と江戸の市井に暮らす、元々赤の他人だった人たちの日常の“事件”の中で、縁あっての触れ合いや肉親以上の暖かな思いやりが、じーんとそしてじわじわと暖かくなっていくような、何とも心暖まる小説だと想います。但し、ストリートしての“下拵え”は、澪の創る料理同様良く練れていて、例えば「剥き物」(細工包丁)をそのヒントに使うところや、進むべき道に迷い澪が初めて引いた御籤に書かれていた一文と一柳の庭で見せられた雪下の青い麦など、「巧いなぁ!」と唸らされます。
昨年秋でしたか、スペシャル番組としてTVドラマ化もされましたが、主演の澪役(北川景子嬢)がキレイ過ぎて(あさひ太夫なら分かります)、文字から想像する自身の映像イメージが壊れそうで、敢えて見ませんでした。
今なら澪役は、うーん、硬軟自在の綾瀬はるか嬢か、(最近画面であまり見掛けませんが)上野樹里嬢でしょうか(それでも二人共「下がり眉」には程遠い)?。またご寮さんには、イメージ的に、昔だったら新珠三千代か藤村志保、今なら真野姉妹かな?。
但し、やはり愛読者(最初お互い知らずにいたので、二人共別々に買っていました)である次女によれば、TVドラマも良かったそうです。
先に読み終わったので、この「残月」も次女に送ってあげることにします。