カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
この時期、五月の水田に植えられた早苗もすっかり成長し、草原のような青田になっています。もう間もなく、出穂を迎えることでしょう。
少し高台などから一面の青田を眺めていると、この国の人工的な四季の美しさを感じます。まるで大きな湖面のようだった水を張られた田んぼは、今、稲が伸びて緑一面の大草原のようです。もうじき穂が出て頭を垂れ、やがて実りの秋になると黄金色に変わって行きます。そしてまた大地の色に変わる、という毎年繰り返されてきた、この国の「人と自然の営み」です。
その日は少し強めの風が吹いていて、水面(みなも)に波が立つ如く、風の通り道に沿って一面の青田に風が走って行きます。
それはまるで緑の水面に風が走り、波が立っているかのような錯覚を覚えます。歳時記では、この時期の青田に吹く風を「青田風」と呼び、立つ波を「青田波」と言うのだとか。何気ない日常の中での自分の小さな“発見”が、古来季語としてちゃんと認識されていたことを知り、ちょっぴり嬉しく感じた次第です。
こうして見ていると、大自然の営みではなく、人間の手の入った景観ですが、本当に美しいと思います。
恐らく、我々日本人がもっと誇っても良い景観でしょう。
シーボルトだったか、手入れの意行き届いた日本の田畑を見て、まるで庭のように整備されていることに感嘆したと言いますが、納得出来ますね。
一陣の 風吹く水面や 青田波 (オソマツ)
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