カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 6月11日の朝日新聞長野版に掲載されていた記事。
富士見町在住の自然写真家である西村豊さん(64歳)という方が、これまでの撮影を通じてのキツネ(ホンドギツネ)とのエピソードを児童書(アリス出版『キツネにもらったたからもの』)にしたという紹介記事でした。

 何でも、霧ヶ峰の山小屋でのアルバイトで、高原での最初の冬に偶然出合ったキツネに魅せられて、以来40年間撮影を続ける間に、その母ギツネとの5年半に及ぶ付き合いの中で“不思議な信頼関係”が出来、留守中には子狐の見守り役まで務めるようになったのだそうです。
そんなある日、その母ギツネは、冬の雪原に捨てられたであろう本来天敵である筈の犬に、ナント捕ったばかりの野ネズミを分け与えたのだとか。そして、その後(野生化した)犬と母ギツネの2頭が一緒に行動している姿も目撃したのだそうです。

 それを読んで、正直信じられませんでした。
「死」しか選択肢の無い雪の高原に、分かっていて捨てた人間の酷さや狡さとは対照的な野生のキツネの打算無き愛や献身と。
人間の“格下の”小さな命に対する身勝手さとは、これまた対照的な野生動物の示した「生きとし生けるもの」に対する尊厳と。
何だか、頭をガツンと殴られたような気がして、朝から涙が浮かんで来るのを禁じ得ませんでした。
特に、我が家のチロルも、家を建てた17年前でしたが、生まれたばかりで玄関先に捨てられて雨に濡れて震えていただけに(そう言えば小学生だった次女が、泣きながら付きっ切りで寝ずに暖めていましたっけ)、他人(犬?)事とは思えませんでした(そのチロルも既に16歳を過ぎ今年で17歳。些かボケ気味ではありますが、まだまだ元気です。天から貰った命、長生きしなくっちゃ、ネ!)

 ちょうどその日の会社からの帰路、松本市岡田地区の農道でのこと。道の両側には水田が拡がっています。
薄暮の中、ライトを点けた対向車がこちらの斜線にまではみ出し、ゆっくりと戻って片側に停車しました。「ナンテ運転してるんだろう?」と訝りながら近付くと、車の前にはカルガモが一羽、道路を横断中でした。
反対側の水田にエサがなくなったのか、道を横切って別の水田にヨチヨチと移動しているところ。こちらも停車して横断するのを待ちました。対向車のドライバーも、(多分)私メもお互いに笑顔です。
無事横断が終わり、再発進してのすれ違いの際、相手の方にナントナク「どうも、お疲れさまでした!」と会釈をしましたが、一日の疲れも癒されるような、ホンワカ、ほっこりした気分になりました。些か大袈裟ではありますが、「ウン、人間も捨てたもんじゃない!」。

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