カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
少々前になりますが、5月上旬の朝日新聞にジャン=フランソワ・パイヤールさんの訃報が小さく報じられていました。しかも、亡くなったのが4月15日とのことでした。享年85歳とのことですので、天寿を全うされたと言えるのかもしれません。
パイヤール室内管弦楽団を率いていたジャン=フランソワ・パイヤールさん。生では勿論、TVでの映像にも接したことは無く、専らLPやCDでしか知りませんが、70年代から80年代にかけては、バッロク音楽では必ず名前が挙がるほどの人気で、一世を風靡した室内オケでした。そして、ずっと現地では活躍されているものとばかり思っていました。
学生時代に最初に買ったのは、ヘンデルの「王宮の花火の音楽」のLP。また、名盤と誉れの高かった(多分今でも)ランパルとラスキーヌを迎えてのモーツアルト「フルートとハープのための協奏曲」のLP(輸入盤)。そして、「王宮の花火の音楽」のLPの中に入っていて(パッヘルベルの3作品を収録)、初めて知ったパッヘルベルの「カノン」(正式には「弦楽と通奏低音のためのカノンとジーグ」の第1曲。当時は、今ほどポピュラーな曲ではなかったと思います)。どちらも、懐かしいフランスのエラート盤。そして、多分パイヤールのカノンをCDで聴きたくて買ったであろうバロック名曲選のCD。当時、ミュンヒンガー(シュツットガルト室内管)やクルト・レーデル(ミュンヘン・プロアルテ室内管)の「カノン」も聴きましたが、テンポだけの問題ではなく、編曲が快活すぎて、パイヤール盤のようなウットリするような“癒し”的な演奏ではなく、個人的にはパイヤール盤で決まり。
その後、古楽器演奏が流行り、特にバロックはもとより、古典派辺りまでピリオド奏法での演奏が主流となってからは、当事一世を風靡したパイヤールやイ・ムジチなどの名前があまり聞かれなくなり、いつの間にか、コレギウム・アウレウムや、アーノンクール、ガーディナー、ホグウッド氏らが率いる古楽器オケの名前を良く目にするようになった気がします。でも、パイヤール室内管弦楽団の甘美で明るい演奏は、気忙しいこんな時代だからこそ、ピリオドやビブラート云々という理屈抜きで捨てがたい魅力があるように思います。
そんな日本でも人気だった筈のパオヤールさんでしたので、記事を始め報道のされ方があまりに小さ過ぎるように感じたのは私だけでしょうか?
パイヤールさんを偲び、大好きなパッヘルベルのカノンを聴くことにします。どうぞ安らかにお眠りください-合掌