カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
5月中旬。仕事で長野市に行く用事があり、3時からの予定でしたが、少し早めに行って、久し振りに「ふくや」県町店でラーメンを食べることにしました。
昔は、県庁や経済団体での会議等で年に何度も行く機会がありましたが、今回は本当に久し振りです。2年近く前でしょうか、春草展を見に来た時に家内を(半ば強引に)案内して来ましたが、家内の評価は同じ醤油系でもアッサリ系の上諏訪「麺屋さくら」の屋台ラーメンの方が好きとのこと。因みに、我々の好みは、流行のトンコツこってり系や味噌でも塩でもなく、あくまで基本の醤油です(ま、何でも食べますけど・・・)。確かに好みにもよりますが、私メはやっぱり「ふくや」かな。想えば20年前に近くに会議に来て、偶然入った店でした(その前に、当時地元誌やローカルTVなどでも取り上げられて評判だった、長野駅前の行列店でも食べたのですが、感心せずにその時一度限り)。
ただ、ここのラーメン(中華そば)は、“富山ブラック”と見紛うような真っ黒で独特のスープに、最初は「えっ?」と思うのですが、媚薬が入っている訳でもないでしょうに、その後何となくまた食べたくなり、やがて病み付きになる不思議なラーメンです(・・・だと思います)ので、第一印象、また1回食べただけではその良さ(旨さ)は理解されないかもしれません(勿論、味覚との相性次第ですが)。
さて、上田から昼食を食べずに出発し、一般道をゆっくり走って2時前に無事到着。店に入ると、ほぼ満席の盛況で何よりです。麺の量はともかく、スープをしっかりと舌に覚えさせたいので、いつもの「中華そば 大盛り」(850円)を券売機でオーダー。待つこと暫し、全てセルフサービスです。
県町店は、おばさん一人で切り盛りしているので、人手が無いのか、トッピング用の卵(煮卵)は無く、自分で(待っている間に)剥かないといけない殻付きの普通のゆで卵(別売り50円)や生卵入りの中華そばがあるのみで、それに板海苔よりも刻みネギをもうちょっと多く載せてもいいかもとか、コショウは粉より粗挽きの方が合うのに・・・等々、言い出せば(個人的には)注文も無い訳ではありませんが、この独特のスープが、「そんなこと、どうでもイイかぁ」と思えるほどに満足感を与えてくれます。
麺もスープも一種類しかありませんが、それが却って、世の中の流行り廃れには見向きもせず、親から子、子から孫へと、綿々と(正に“麺々”と)受け継いで来たであろうある種の潔さを感じます。またお客さん側も、セルフで、黙って食べて食器を下げて出て行く常連さんたちが、これまた親子何代にも亘ってしっかりと支えてきた店なのだろうと感じられて、何だか自然と背筋を伸ばして頂きました。(こんな爽やかな感覚は、その昔おばあちゃんが一人で切り盛りしていた頃の・・超有名店となった今の店とは全く異なる・・故杉浦日向子女史も昔書かれていた通りの、静謐で凛とした松本中町の蕎麦「野麦」以来でしょうか)
“夜泣きそば”というだけに、冬の寒い夜にも食べてみたい逸品です。今度いつまた食べに来られるのか分からないので、殆どスープも飲み干して、「ごちそうさまでしたっ!」
あぁ、美味しかった!・・・と(なかなか松本では味わえない)久し振りのラーメン一杯の幸せ・・・でした。