カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
KEF のCoda-9、3年振りの音出しです。
KEF は、有名なタンノイやB&Wなどと同じ英国のスピーカーメーカー。BBCのチーフエンジニアだった人(レイモンド・クック氏)が1961年に創業したと言いますので、当時は比較的未だ若いメーカーでした。
KEFは、リファレンスモデルなどの高級オーディオだけではなく、良心的な価格帯のエントリーモデルも出していて、当時のCodaシリーズ(7~9)も、ちょうど私が秋葉原で購入した90年代中盤に出されていた、そうしたモデルでした。
このKEF Coda-9は、KEFの代名詞とも言える点音源の同軸型(コアキシャル)のUniQドライバーではなく、2.5cmのソフトドーム型ツイーターと、16.5cmの中低域対応のユニット(シリーズのCoda-8と同じ構成)を更に低域用にも追加してトールボーイのエンクロージャーに内蔵したユニットを含め2基搭載した91dBの高能率3 way(他の製品はマニュアルをちゃんと保管してありますが、Coda-9は確か4つ折みたいなペラの紙一枚だったので紛失してしまったようで見つからず、今回KEFのH/Pからの確認。歴代モデルのカタログ等もしっかり掲載されていましたが、殆ど英語版でした)。また、1本10.5kgですので、20kg超もあるLS-202と比べれば剛性はもう一つでしょう。
同じ小音量でも(元々91dBという能率差ゆえ、同じボリュームであればCoda-9の方が音量も大きくなりますが)、ウッドベースの低音がしっかりと出て、シンバルの音もエッジの切れが出て鮮やかに聞こえます。音が粒立っています。低域が締まる効果が期待できるという付属のスパイク(ピン)を、4本スピーカーの底に取り付けて(床を傷付けぬように)自作の台座の上に据えてあるので、それも利いているのかもしれません。
ここで、クーベリックの“リンツ”に変更。
弦もしっとりと艶やかで厚みがあり、小型スピーカーに比べると、点ではなく面で鳴っている感じがします。これならアンプ側で低音補正せずとも十分です。また、K-521の音場補正(Supreme EX)は、付属スピーカーで測定し設定されているので、別のスピーカーだとその効果は落ちる(無い?)かもしれませんが、BGM的に聴くサブシステムとしては、それを補って余りあるほどにCoda-9の実力発揮。
もう定かではありませんが、当時秋葉原でもクラシック中心を前提に予算内で幾つか推薦してもらって試聴し、正直KEF というブランドにその時まで馴染みは無く、また海外ブランド嗜好でもなかったのですが、実際に試聴しての音とCodaという名前も気に入って選んだ筈ですので、自分の嗜好に合うように音楽全体が鳴っている感じがします。
ただ、リビングのメインスピーカー群に比べると、例えばピアノトリオのバスドラが些か“くぐもる”感じが抜けないなど、音のスピード感や切れ、そして低域の豊かさでは負けますが、十分に艶のあるスピーカーだと思います。
ただ、それにしても海外製品はコストを掛ける尺度が違う(ユニットを保護するという目的さえ達成出来れば良い?)のか、スピーカーのサランネットはホントに“ちゃち”で枠が捩れるほど。むしろ、付属の小型スピーカーの方が(恐らく定価でも1台1万円もしないでしょうに)遥かにしっかりと頑丈に作ってあります。
一方、K-521のレシーバーは、多分チューナー部分に掛けるコスト的余裕がなかったのでしょう(それに加えて、付属の安物のアンテナのせいもあるのか)。ネットでのレビュー記事では、「元々チューナーからスタートした音響メーカーにあるまじき受信状態の悪さ」との酷評もあり、期待していなかったFM放送でしたが、我が家の場所の電波状態が良いのか、階下のポータブルオーディオよりも遥かに鮮明に受信出来て、これまた満足でした(さすがに、スピーカーに近付くとサーノイズが聞こえますが、リスニングポジションで離れて聴く分にはそれ程気になりません)。また、アダプター(iPod Dockが第5世代までの対応のため)を下のポータブルオーディオとの兼用でiPodを聴いてみると、ポータブルと比べては失礼ですが、左右独立のデジタルアンプと変更したCoda-9の威力か、低音を含めさすがに良い音がします。このデジタルアンプなら、レシーバーとして別スピーカーでも十分にドライブできそうです(実際に、後継のK-531は、直販のみですが単体レシーバーとしても販売されています)。
唯一の不満。CDのトレーが余りに薄くて、強度が心配。また、天井面のiPod Dockの蓋(カバー)も同様(且つ内部の造作が安っぽい)です。筐体にまでコストが回らなかったようです。
同じKENWOODとはいえ、結果としてポータブルオーディオよりも安い、購入価格2万円以下でこのスペック。性能的には十二分の満足でした。ユーザーとしては、お陰で2階でのPC作業中なども身近に好きな音楽をBGM的に楽しむことができます。しかし、メーカー受難の時代ですね。
ただ、先日松本の某所で聴いた城下工業(ナント上田にある会社らしい)の小型真空管アンプ(オリジナルスピーカーを含めブランド名“Sound Warrior”。本業ではなく余技なのか、既に製造終了とか。H/P記載のスペックは僅か1.6W+1.6Wとありましたが、信じられません)。しかも流れていたのは、偶然にもビル・エヴァンス・トリオのCD。
BGMとして極々小音量で流れていたのですが、全体は暖かくて柔らかなのに、特にシンバルのエッジが目の前に浮き出るように鮮やかだった“音像”が、今も耳から離れません・・・・(早く忘れないと)。