カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 コーヒーを生まれて初めて飲んだのは、中学一年生の春。友達の家に遊びに行った時でした。お醤油のような液体を恐る恐る飲んだ記憶があります。農家である我が家では、お茶は毎日飲んでもコーヒーを飲むことは一切ありませんでしたし、小学校時代の友達も皆農家ですから、お互い遊びに行ってもコーヒーなど出す家などは当時皆無で、中学で町場の小学校と一緒になるまではそうした機会が無かったのだろうと思います。

 高校時代も友達と喫茶店に入ることもありましたが、自分で本格的にコーヒーを飲むようになったのは、京都での学生時代。
寺町近くにあった老舗のイノダコーヒーに行ったり、店名が思い出せませんが出町柳近くにあった名曲喫茶に入り浸ったりして(そこ頃はまだジャズに興味がなく、荒神橋にあった有名なシアンクレールには終ぞ入らず)コーヒーの味を覚え、ちょっと背伸びをしてインスタントを卒業し、出町柳にあった出町輸入食品(今もあるのでしょうか、懐かしいなぁ)で、当時学生向けだったのか格安で売っていた「粗挽きブルマンブレンド」なんぞを(食事はインスタントラーメンでも)格好付けて買っては、下宿でドリップして独り悦に入っていました。そして色んな豆(トアルコトラジャなんて、CMを見てどんなに美味しいのかと憧れましたね)を試した結果、我が嗜好は酸味のあるモカで決まり。

 卒業して松本にUターンしてからは、クラシックを一日中掛けていたこともあり、また当時はリクエストも出来た喫茶店「まるも」(第211話)がお気に入り。コーヒーも酸味の効いた濃い目で私好みの味でした。独身時代の休日は、本屋さんやレコード屋さん(未だCDは無かった時代です)に寄った後など、コーヒー一杯で半日いたものです(お邪魔しました)。

 結婚してからは、専ら自家焙煎の豆の小売もしていた大名町の「斉藤コーヒー」。家内は酸味が好みではないため、好きなモカを買えずに専らコロンビアを真空パックで小分けしてもらって、豆で纏め買いをして冷凍庫で保管し、自宅でドリップを楽しんでいました。粗挽きで、蒸らし何分、後は一気に注いで・・・と、挽きたて、淹れたてに拘ったものです。
夏は、濃い目にドリップしたのを冷やしておいてアイスで。そう言えば、関西ではアイスコーヒーを「冷コー」と呼ぶんでしたね(レモンスカッシュを「レスカ」と略してみたり)。
シンガポール赴任中も、日系のデパート内に豆を小売してくれる店(Suzuki Coffee)を漸く見つけて、海外でも東南アジア風の“甘苦い”粉コーヒー(濃い目のコーヒーに、店によってはコンデンスミルクがたっぷり入ります)ではなく、日本と同様のコーヒーを楽しむことが出来ました。

 故あって(ホンノ)一時期禁煙した時、不思議なことに何故かコーヒーが全く飲みたくなくなってしまいました。
その後復活(これぞ“復煙”?)すると、何故かまたコーヒーが無性に飲みたくなりました。
でも今度はドリップが面倒くさくなって、インスタントコーヒーへ。
色々試した結果、ここ数年はずっとAGF(味の素ゼネラルフーズ)のMAXIM「モカブレンド」。キャッチフレーズは、“先ずはこの味ストレートで”。
これが“誇大広告”に非ず。その通りで、昔に比べるとインスタントコーヒーも格段に技術進歩をしていて、昔のようなただ焦げ臭いようなインスタントではなく、味や香りもかなり本格的で驚くほど美味しくなりました。
特に朝の出勤前の慌しい時に、手間隙掛けて(休日などは、それも一つの楽しみではあるのですが)ドリップしなくても結構満足出来ます。最近のインスタントもなかなか大したものです。
ところが、秋にコーヒー豆を頂いたこともあり、仕舞われていたコーヒーメーカーが再登場。久し振りのドリップに、「やっぱり旨いなぁ!」
そこで、いただいた豆が終った後も、東信系の地場のスーパーで売っている丸山コーヒーを買ってきて、インスタントと併用しつつ、時々はドリッも楽しむことにしました。
また、缶コーヒーも同様にかなり改善されています。新しい勤務先の自販機のコーヒーが今ひとつなので、朝通勤途中にコンビニで缶コーヒー(無糖ブラック)を買って行きますが、色々(コンビニにあったモノは全て)試した結果、一番美味しいのはJTの“Roots AROMA BLACK”。個人的な嗜好に合うということですが、他の無糖に比べ酸味が効いていて香りが良い。ただ、アイス用だけなのか、冬場はロング缶のホットが無いので、専らUCCの“The Deep”のBlack(無糖)ですが、もう少し酸味が欲しいところ。

 また喫茶店では、街中で駐車場が無いこともありますが、まるもへは行く機会が減りました。専らスタバ。でも個人的には苦いだけのシアトル系は好みではなく、別にラテに興味も無く、コーヒーのチェーン店ならドトールのコーヒーの方が程好く酸味があって味も遥かに好みに近く、東京への出張の時など一人の時なら絶対にドトールへ(松本駅前にあった2店は閉鎖)。

 そう言えば、定年退職したら、モーツァルトが(今ならジャズのピアノトリオかなぁ?)一日中流れている珈琲店の、無口で頑固なマスターになるのが若い頃の“夢”でしたっけ。
お愛想は奥様にお任せして、ただ黙って美味しいコーヒーを入れるだけ。お客さんが「旨い!」と唸ったら、独りニヤッとほくそ笑む・・・。
BGMには、スイトナーおじさんやクーベリックのモーツァルトか、或いは木住野圭子のジャズピアノが流れて・・・うん、イイなぁ・・・夢のまた夢。

コメント

インスタントコーヒー。
少量のお湯で照りが出るまで練って戴きますと、粉っぽさが飛び、一味変化します。
是非一度お試しくださいね。
学生時代から、現在、将来構想まで。コーヒー遍歴をありがとうございます。
その時々の興味や想い苦悩などを伴って、
コーヒーは香りを動力とするタイムマシンですね。
そう言えばヒトの五官に直接作用するのは匂いだそうですね。
早速試してみました。仰る通りで、角が取れて丸くなった気がしました。極端に言えば、コーヒー、お湯がそれぞれ個別に主張していたのが、融和したような・・・。目から鱗でした。
アドバイスいただき、ありがとうございました。

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