カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 2013年明けての最初のコンサートは、ハーモニーメイト主催の鑑賞バスツアー。心配された笹子トンネルも、12月末に下り車線を使った片側交互通行で仮復旧しており、無事予定通りに行われました。
初参加となる今回は、エリアフ・インバル指揮東京都交響楽団のマーラー・ツィクルスⅤ(交響曲第5番)。大編成の曲ゆえ、またマーラー初心者ですので、生マーラーは初めてです。それにしても、私たちの頃はクラシック音楽といえば先ず3Bやモーツアルトから入ったのに、最近(と言っても80年代前半くらいから?)の若い人はいきなりマーラーやブルックナーから入るのだとか。いやはや、凄いですね。

 1月20日、音文に朝8時に集合し出発。
途中車内で、参加者の自己紹介(中には長野市から参加されたメイトの方もおられましたが、そのお気持ちは分かります)や、曲目の解説や視聴などの事前学習も済ませ、順調に池袋に到着。驚いたことに、車中で配られたチケットは2階席前列の中央部。音楽監督としてのラストシーズンを飾るファン垂涎のプラチナ・チケットの筈なのに、音文スタッフの方々の努力と頑張りに感謝です。
 自由行動での昼食後、14時開演。
昨年10月7日に、初めて聴いたリニューアル記念の東京芸術劇場でのロジェヴェン&読響のチャイコフスキー・ツィクルス(第671話参照)の時は、反響板が下がっていましたが今回反響板は上げられたままで、正面のパイプオルガンが見えます。
前半にモーツアルトのフルート協奏曲2番。個人的には、カメラータ・ザルツブルグで聴いたシェレンベルガーさんのオーボエの方が、如何にも“おらがモーツアルト”といった演奏で好ましく感じました。聴いた場所(席)にも因りますが、箱が大きすぎるのか、フルートがオケに埋没してしまいました。でも、マーラーの交響曲と組み合わせる曲を選ぶのは難しいのでしょうね。イッソ無くても良いのに・・・とさえ、思ってしまいます。

 休憩を挟んで、いよいよ注目の交響曲第5番。
さすがに完売で満席のようです。2階席最前列中央には、音楽評論家?と思しき方も何人か・・・。
お馴染みのトランペット・ソロが始まりました。時折粗さが感じられた(車中の事前学習で見たDVDでの、ガッティ指揮コンセルトヘボウのソロが、柔らかな響きで上手過ぎたのも些か罪作りだったような気がします)ものの、また第3楽章で若干ホルンに乱れはありましたが、管楽器も好演でした。そして、SKOでも交替でコンマスを務める、矢部達哉さん率いる都響の厚みのあるストリングス。弦の低音を際立たせた曲でもあり、その重厚さに感服。艶やかな第一ヴァイオリンが一層引き立ちます。上手いなぁ!と何度も感嘆符の溜息が・・・。
インバルさんは、全体的にやや早めのテンポで、時としてうねりのような大きな流れを作りつつ、全体の構成をガッチリと取っていきます。さすがに名人芸。今回は1と2、4と5楽章は続けて演奏。また第3楽章が終了したところで、袖に下がって一息つかれました。その第3楽章だったかと、また最終楽章では、勢い余ってジャンプしたりと、オケをぐいぐいとドライブしていきます。時に顔を真っ赤に紅潮させて、熱演のインバルさんとそれに応える都響。
「イイなぁ、インバル&都響の生マーラーを聴けるなんて・・・。終って欲しくないなぁ・・・」と暫し夢心地。
間違いなく、今我が国で聴くことの出来る最高のマーラーなのでしょう。かのアダージェットも、天上の美しさ。終盤、壮大なコラールから圧倒的なフィナーレへ。
「待ってました!」とばかりに凄まじいブラボー(注意の事前アナウンスにも拘らず、フライングもありましたが)が飛び交い、拍手喝采。何度かのカーテンコールの後、団員が袖に下がった後も鳴り止まぬ拍手に、インバルさんが呼び戻され、最後にはトランペット・ソロの高橋さん?とコンマスの矢部さんも伴われてステージに再登場。漸くお開きとなりました。
 席にも因りますし、また反響板の有無も大きかったと思いますが、音量の迫力は、生まれて初めて“音の風圧”で体が包み込まれたように感じた読響の時の方が凄かったのですが、都響の持つ弦の厚みは素晴らしく、帰路のバスの中、ずっとその余韻に浸っていました。
余談ながら、大太鼓のppでしょうか、ある程度の音量で聴いても、我が家の大型3wayスピーカーでも殆ど聞き取れないのに、ホールでは鮮やかに聞こえてきます。斯くも違うのかと再認識させられました。やっぱり、生演奏はイイですね。

 ハーモニーメイトの鑑賞バスツアー。何にもしないで、ただ座っているだけで会場まで連れて行ってもらえて、聴いて、また松本まで帰って来られて・・・。「ほんと、イイのかなぁ?」と、他の会員さんには申し訳ない程に、お薦めです。但し、今年度は大ホールが改修工事中のため2回実施も、通常は年1回とのことでした。

 音文スタッフと事務局の皆さま、本当にありがとうございました。

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