カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 読売日響の演奏会(第671話)で配られた演奏会のチラシの中にあった、ラフマニノフの無伴奏合唱曲『晩祷』全曲演奏会。

 読響の演奏会について、長女とのメールのやりとりの中で、「日本でこの作品の全曲演奏が聴けるなんて、滅多に無い機会だから」と紹介したところ、日も無かったのですが「じゃあ、行ってみるぅ!」とのこと。最近彼等の中では、合唱曲がマイブームとかで興味を持ったようです。
 当日の解説によれば、このラフマニノフの『晩祷』は、ロシア正教での主日の前夜に夜を徹して行われる礼拝(従って、正しくは「晩祷」よりも「徹夜祷」と訳されるべきとのこと)のための15曲からなる典礼曲で、1915年にラフマニノフが発表し、月に5回以上も再演されるなどの大成功を収め、彼の最高傑作とも評されたと言います。しかし、2年後に起きたロシア革命により、ソ連の「無神論」政策下で封印され、その後70年近くロシアでも忘れさられていたのが、ラフマニノフ生誕100年(1973年)を記念して、スヴェシニコフ指揮ロシアアカデミー合唱団演奏のレコードが突然西側で発表されて大反響を呼び、知られることになったのだそうです。
      私も当時「レコード芸術」誌で、彼の合唱曲でもう一つの傑作である「鐘」と共に「晩祷」の広告を見た記憶があり、合唱愛好家の間で一時期ブームとなった曲でした。しかし、曲によっては、混声四部ではなく8声や9声にもパートが別れ、通常よりオクターブ下のバス(オクタビスト)が必要とされるなど、アマチュアは勿論プロでも演奏するのが難しいとされる、謂わば幻の合唱曲でもあります。

 それを、この曲だけを歌う「東京トロイカ合唱団」というプロの声楽家の合唱団が、毎年一回だけの演奏会を開いているのだとか。
それが10月19日に東京カテドラル聖マリア大聖堂で開かれて、長女夫婦が聴きに行って来たのです。
合唱団メンバーに、たまたま高校音楽部のOGでもある芸大出身の先輩も居たと、興奮してメールをくれました。「すっごく良かった。感動したヨー!!」とのことでした(そして、わざわざ当日のパンフレットを送ってくれました)。
イイなぁ、都会は・・・。しかも大聖堂での演奏なんて。教徒でなくとも(教会内での演奏については賛否もあるでしょうが)、敬虔な気持ちになりますよね。

 残念ながら出張と重なったために聴けませんでしたが、6月末に松本に来演したハーモニーメイト主催のスウェーデン放送合唱団の演奏会でも、この「晩祷」から抜粋で何曲か演奏があった筈。
かくなる上は、松本中央図書館か中古CD屋さんで、CDか、当時貧乏学生だった私は残念ながら買えませんでしたが、いまだ名盤とされるスヴェシニコフ指揮のLPでも探してみようかな。
そう言えば、その学生時代、毎晩インスタントラーメンか、キャベツだけ入れた焼きソバを電熱器のラーメン鍋で作って独り下宿で食べては、どうしても生で聴きたかった演奏会(確か京都会館でのノイマン指揮チェコフィルのモルダウ)の一番安いチケットを買ったり、LP(廉価盤中心でしたが)を買ったりしたことを懐かしく思い出した次第。