カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
7月初旬、次女が週末と会社の休みが重なったからと、日曜日の午前中に久し振りに帰省して来ました。何でもお昼にお蕎麦が食べたいのだとか。「なるほど。お寿司と鰻は成田には敵わないけど、蕎麦ならね・・・!」。
そこで、前日の土曜日は、家内が気にしていた芝生の草取りと私が気にしていたリンゴの仕上げ摘果作業を、二人で朝から夕刻まで掛かって漸く終わらせて、これで準備完了(家内が「そろそろやらないと!」と気にしている芝刈りまでは手が回らず先送り・・・)。
明けて日曜日は、(週末農業的にはチト辛いのですが)お百姓さんとしては気分的に安寧の雨降り。
早起きして成田を6時に出て10時半に松本駅にあずさで到着した次女を出迎え、今回はいつもの『井川城』ではなく、蕎麦好きの娘に一度食べさせようと思っていたお蕎麦屋さん、山菜のオヤマボクチ(葉脈を乾燥させて粉状にするのだとか。何キロもの葉からも僅かしか取れませんし、手間暇が掛かります)を繋ぎに使う(飯山の「富倉そば」が有名です)木曽開田高原入り口にある名店『時香忘』(じこぼう。アルファベットでは“ZCOBO”と表記)を一路目指します。我々も、妹夫婦に薦められて昨年の秋に初めて食べに行って以来です(第554話参照)。
窓越しに見える、雨に濡れたホウノキ(朴の木)などの木立が目に鮮やかです。
注文は、三人ともオヤマボクチの大盛り。待つ間に、店内の壁掛けのTVに鳥が映っていましたが、アングルが変わらないので、次女が「あれ放送じゃなくて、ライブなんじゃない?」。確かに、雛鳥が何羽か映っているような気がします。
女将さん(と言うよりも上品な奥様ですが)にお聞きすると、ベランダ脇のホウノキの巣箱にシジュウカラが巣を掛けて8羽の雛が生まれ、それを壁のモニターにライブ中継をしているのだとか。もう間もなく巣立つそうです。
そのベランダの向こうに流れる木曽川の支流、黒川の清流の川縁(べり)に自家栽培しているという生山葵を鮫皮のおろし金で摩り下ろして、熊笹を敷いたせいろの上にモンブランのように盛られたお蕎麦をいただきます。普通盛りが1260円で、大盛りはプラス315円。そばつゆは足りなければ追加しますからとのことでしたが、徳利もあり十分でした。
ワサビはつゆに溶かず、一箸毎に直接そばに載せて頂きます。新鮮な生山葵の風味がツンと心地よく抜けて行きます。粗引き故か、驚く程もっちりとした蕎麦。最後に、わざわざそば粉を溶いてドロドロした蕎麦湯をいただいて満腹です。次女も満足そうです。他では味わえない独特の蕎麦の旨さと環境を考えれば、ここまで来る価値はあろうというもの。
ここは、周囲の環境もあり、木曽路をドライブがてら(途中、有名な妻籠などよりも、むしろ鄙びた風情の残る奈良井宿などを観光して)県外からのお客さまを案内して来るには最適なお蕎麦屋さんです。
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