カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 日頃は、松本市の島立にある大信州酒造の純米酒が、冷酒での我が定番の晩酌銘柄なのですが、このところ岡谷の高天酒造の『寒作り辛口純米』を愛飲しています。

 松本では殆ど入手出来ないのですが、奥様が茅野の実家に行った時に頼んで一度買ってもらったら、「そんなに好きだったら・・・」と実家のお義母さんが、茅野市内の大型店でも一軒だけ(?)おいてある所でわざわざ買って、実家に行くと用意してくれているのだとか。有り難いことです。

 この高天の辛口純米。辛口ゆえスッキリとしているのですが、大信州と違うのは、キレだけではなく旨みもあること。
勿論全銘柄ではありませんが、これまで諏訪平や松本平の純米酒(吟醸酒よりも好み)を幾つも試してみて、辛口好みの自分にとっては、これがイチオシの純米酒だと思います。その昔、走り(確か日本初?)だった新宿の日本酒バーで酒ソムリエの方が薦めてくれたのも、その時は良く分りませんでしたが、今では納得の旨さです。

 大信州も同様ですが、この味、この品質で1.8ℓの一升瓶が2000円少々という大変良心的なお酒です。但し、一升瓶だと家庭では冷やせないので、我が家では900mlの5合瓶2本に詰め替えて、冷蔵庫でキリっと冷やして大事に飲んでいます(ワインは一度栓を開けたら保存できないので、ここが日本酒の良いところ)。

 良いお酒だと思いますので、松本の地酒専門店でもどこか扱ってくれないかなぁ・・・。

 嘗ては、ダークダックスやボニージャックス、そしてデュークエイセスなどの男声コーラスグループがTVでも活躍していました。
最近はTVなどでとんと見かけることがなくなりましたが、考えてみればその頃からはもう既に40年以上も経っていますので、皆さんお元気でしょうか?そして、今でも歌っておられるのでしょうか?

 確か、ダークダックスは慶應のワグネル、ボニージャックスは早グリ出身だったでしょうか。ダークダックスが、歌謡曲を歌うなどやや“俗ぽかった”のに対して、ボニージャックスはある意味固くて(真面目で)、いかにも正統派グリーという感じがしました(確かNHKの「歌はともだち」のレギュラーでした)。一方、良い意味でグリーのようなアマチュア臭さがなく、ジャズ系の香りがして洒落ていて、しかもレパートリーの巾が広く個人的に一番好きだったのがデュークエイセス。「おさななじみ」や「遠くへ行きたい」も彼らのヒット曲。

 そのデュークが、永六輔・いずみたくコンビと組んで歌ったのが「日本のうた」シリーズ。全国の都道府県をそれぞれ歌で紹介するという、発売元のレコード会社も含めて良くぞ作ったと思われる、ある意味壮大な試みだったと思います。
知らない人も多いと思いますが、このシリーズの中から、お馴染みの「いい湯だな」(群馬県)や“♪京都大原三千院”で始まる「女ひとり」(京都府)、そして「筑波山麓男声合唱団」(茨城県)、更には「フェニックス・ハネムーン」(宮崎県)などのヒット曲も生まれました。ご存知の曲もあるのではないでしょうか。
従って「8時だよ」のオープニングテーマだった「いい湯だな」は、ドリフの元歌ではありませんし、またデュークお得意の黒人霊歌「ドライボーンズ」の半音上昇をパロった(似せた)「ろっこんしょうじょう」(富士登山が題材なので、静岡か山梨のどちらか)なんていう洒落た曲もありました。因みに長野県はあまり話題になりませんでしたが、「みすずかる」。確か、短調の曲調と相俟って、“♪みすずかる 信濃の国の善光寺”と、名所旧跡を並べただけだったような気がします。

 自分たちも、高校時代や大学時代に男声合唱でハモったものです。確か、学生時代に楽譜を買ったと思ったのですが、残念ながら見当たりませんでしたので、部室にあった楽譜でしょうか?(写真の楽譜「グリーアルバム2」は、職場の余興の時に男声カルテットで歌った早グリ編曲の男声合唱曲「見上げてごらん夜の星を」が掲載されていて、今回の記事とは無関係です)。
昔話をしだすと年を取った証拠だと言います。そうかもしれませんが、先日義弟の所属する男声合唱団の定期演奏会で久し振りに男声合唱を聴いたせいか、当日歌われた訳でもないのに何となく「筑波山麓男声合唱団」が口をついて出てきて、
「そう言えば、今では軽く出るバスパートのオクターブ下のEの音が、高校時代は全く出なかったなぁ・・・。」(逆に今では上が全く出ませんが)
と、懐かしく思い出した次第。

 ♪コンダクターは ガマガエル~

 先月のことですが、急に奥様が上京されて、母と二人だけの平日。
ここは、シメシメと普段は食べられない松本B級グルメの代表格(自薦につき悪しからず)である「たけしや」のヤキソバを持ち帰りすることにしました。いやぁホント久し振りだよなぁ。
“Long time no see you! I missed you!”

 奥様の不在は火・水の二日間でしたが、生憎火曜日が「たけしや」の定休のため、満を持しての水曜日になりました。松本駅到着後、帰路寄って並盛りと大盛りを持ち帰りで注文(具財は、肉無しのシンプルなキャベツのみで、容器代を含めて550円と650円)。七味は念のため、私用の大盛りだけにしてもらいました。7時過ぎでしたが、お店には小ちゃな男の子を連れた若いご夫婦と、やはり男の子を連れたお父さんの二組。きっと、このお父さんも奥さんが居られる時は食べられないのでしょうね(と無理やり自分と同類に決めつけ)。

 いつもは、年の割には何でも食べたがる母ですが、この油ギトギトの(実際には見た目ほど油っぽくないのですが)独特の黒っぽい太麺は、さすがにお年寄り向きではなかったのか余り食指が動かなかったようで、珍しく半分でストップ(あっそりゃ、失敬)。
こちらは、他人のことは一切お構いなく、おそらく1年半振りとなる「たけしや」のヤキソバに舌鼓(注記)。結構な量の大盛りですが(メニューには並の2倍の特盛りもあります)、あっと言う間に完食。母の残した半分が気になりますが、ここは我慢。うん、美味しかった!

 そのボリュームと安さだけではなく、今でこそ改築されて明るく清潔そうなお店も、嘗ては(今はマンションになってしまった映画館「東宝セントラル」横の長屋の一軒だったと思いますが)お世辞にもそうは言えぬ店内だったことも手伝って、スパゲッティーの「ヤマナミ」(第547話参照)と共に運動部系男子高生御用達だった「たけしや」ですが、この日も含めて最近は若い男の子って「たけしや」で見たこと無いのがちょっと気がかりと言えば気がかりです。ま、どうでもイイかぁ、食べられさえすれば・・・。
【注記】
漢字は「鼓」ですので、正しくは「シタツヅミ」ですが、慣用的に「シタヅツミ」も使われているので、従って漢字変換ではどちらでも変換されます。

 5月連休の最終日。所用があり、車でドライブがてらナナも乗せて新緑の軽井沢へ。新幹線で来る長女たちと軽井沢駅で待ち合わせです。渋滞が心配なので、いつもの東部湯の丸SAでも休憩せずにノンストップで向かいます。
この日の朝の松本は出掛けに雷が鳴って雨が降り出しましたが、道中浅間山も雲に隠れ、到着した軽井沢も雨が降ったり止んだりと、やっぱりナナは“雨犬”です。でも、家に居ても雨模様ではリンゴの摘花作業も出来なかったと思えば、踏ん切りもつくというもの。時間距離から碓井軽井沢ICから軽井沢へ向かいましたが、幸い渋滞も無く松本から1時間半で到着。

 駅でナナとお出迎え。先ずは中軽井沢の星野リゾートのハルニレテラスへ。
雨降りのため、可哀想ですがナナは車でお留守番。長女の打ち合わせが終わるのを待つ間、皆で「丸山珈琲」で時間潰しです。
軽井沢の珈琲と言えば老舗の「ミカド」が有名ですが、「丸山珈琲」は自社買い付け、自家焙煎の豆の販売で近年評判の店。こちらで丸山珈琲のブレンド(プレスで出され、2杯分あります)と家内はカプチーノをいただきました。ゆったりとした店内の喫茶コーナーには本棚が置かれ、自由に閲覧することができます。窓から見えるテラス越しに、近くを流れる湯川の沢沿いの木々も柔らかに芽吹いています。
 昼食は、今回も屋根付のテラス席のある蕎麦の「川上庵」でナナも一緒に。女性陣からは肌寒いと非難ごうごうでしたが、ブランケットを貸せて頂きました。犬連れの多い軽井沢ゆえ店の方も慣れたもので、ボールに入った犬用の水を最初に持ってきてくれます。さて人間様はと、皆は山菜の天婦羅や鴨のロースと塩でいただく自家製豆腐など5品の前菜が付いたランチセット(ざるか温蕎麦が選べます)でしたが、私は蕎麦を多めに食べたかったのでせいろ2段の大盛りをオーダー(ちゃんと1枚の食べ終わる頃を見計らって、茹でたての2枚目を持って来てくれます)。田舎風の黒めの二八の麺は均一な細打ちでしたので、もしかしたら機械切りでしょうか?腰もあり、まずまず(でもやっぱり、蕎麦は「井川城」かな)。鰹出汁の効いたそばつゆは、信州にしてはやや濃いメ。悪くありません。旧軽の本店同様、店内ではジャズが流れているようでした。
 昼食の後で、道を挟んでやはり星野リゾートの経営するホテル・ブレストンコートへ。
こちらの敷地内にある内村鑑三ゆかりの軽井沢高原教会では、この日も結婚式が行なわれていました。教会前には、終わったばかりの復活祭のイースターエッグ(その数一万個とか)が、まるでクリスマスツリーの様に飾られていて、なかなか見事でありました。

 その後、帰りの新幹線までの余った時間は、お決まりのアウトレットに寄って。こちらはナナと芝生で散歩です。ナナも漸く開放感を味わえました。
長女たちを駅まで送り、「さてと、こちらも帰るとしますか!」。

 北アルプスを望む“岳都”松本に暮らしていても、本当に山が綺麗だと思える日は必ずしもそう多くはありません。
登らずとも、里から眺めていても四季折々の美しさを感ずる北アルプスの山々ですが、季節的には空気の澄んだ冬の方が山を望める日が多く、山に雲の掛かることの多い夏は山頂まで望めるのは数えるほど。また残雪の映える春は霞が掛かることが多く、晴れていてもスッキリと見える日が少ないのが残念です(秋は、身近な里の紅葉に気を取られるのか、或いは北アルプスの初冠雪を見ると、「いよいよ冬か」と溜息混じりに身構えるせいか、あまり西山への「美」意識無し・・・)。
夏の夕刻、黒い屏風のように連なる北アルプスに背景の夕焼けが紅に染まる瞬間と、早朝モルゲンロートのピンク色に染まる真っ白な冬山の神々しさが、個人的には四季折々の中でも最高だと思うのですが、夏の夕映えの北アルプスは、本当に涙が出るほどに最高だと感じたのは今までにたった一度しかありません。

 さて、前置きが長くなりました。
先週5月13日の日曜日、遅霜がうっすらと降りたほどヒンヤリとした早朝。空が澄み切っています。我が家からは、城山々系に遮られ北アルプスは見えませんが、ベランダから望む美ヶ原や鉢伏などの東山の緑が鮮やかです。
そこで、6時半に家内を起こしてチロルとナナを連れてアルプス公園に行って見ると、案の定「イヤァ、今日は山がキレイだなぁ!」。
いつものビューポイントからの常念を始めとする北アルプスの峰々が、雲ひとつ無い五月晴れの中で、クッキリと、遠く白馬の方まで望めました。
市街地の北に位置するアルプス公園からは、槍ヶ岳や乗鞍を望むことはできませんが、常念などの西山は既に残雪の装いで、そろそろ雪形が現れ始めています。
(チロルも景色を楽しんでいるのでしょうか?ナナは、景色よりおやつが気になる様子・・・)
 アルプス公園の桜は5月連休前半で終わりましたが、今度は八重桜が満開で若葉のソメイヨシノとピンクと緑のトンネルを作っていました。
朝の公園には、犬を連れた方々や、マレットゴルフを楽しまれる元気なお年寄りの皆さん。そして、北アルプスの写真を撮りに来られたであろう三脚を抱えたアマチュアカメラマンの方々など。
 快晴のアルプス公園。早起きが“三文”以上にお得な5月の日曜日でした。

【追記】(前話No.621の続きとして)
山と犬の写真は、ミラーレス一眼Lumix DMC-G3の(初心者ゆえ)“お任せモード”で撮影してみました。
比較するために、同じ山の構図と公園の写真は、携帯で(と言うよりデジカメに近い)唯一の光学ズームと手振れ補正機能の付いた1320万画素の“デジカメ携帯”Lumix P-05での撮影なのですが、当然とは言え、やっぱり違うなぁ・・・。特にズームした常念岳の写真は、携帯では唯一の光学ズームなのですが、違いは一目瞭然です。因みに同じくパナのデジカメブランドLumixを冠するスマホも手振れ補正が付いていますが、薄型化のためかデジタルズームです。
やはり単純な画素数よりも、レンズやイメージセンサーのサイズ(Lumixのミラーレス一眼は、オリンパスペンシリーズ同様に、小型薄型化のためにマイクロフォーサーズ採用ですが)の違いが大きいようです。

 6月の我が家の“一大イベント”のために新しくデジカメを購入しました。
大分前に購入したSonyの薄型1000万画素のコンパクトデジカメがあり、家内はそれで十分(確かにキレイです)と言うのですが、大事なイベントですし、今や1800万という画素数は勿論、機能も日進月歩(月進年歩?)で進化しているので、ここで思い切って購入することにしました。

 チロルの撒き散らす毛を毎朝吸い取るヘビーユーザーのために2~3年毎に壊れて買い換える掃除機や、家内がタブレットを見たいと家電量販店に行く度に、私メは一人デジカメコーナーでじっくりと品定めです。
何度も行くので、家内からは「もう絶対に顔を覚えられてるから、一緒に居るのが恥ずかしい!」とのお叱りも、「ま、イイじゃございませんか。AV製品や車なんて、買った後よりもカタログ見ながらアレコレ迷って悩んでいる間が楽しいんだからサ!」と全く意に介せず。

 本当は、出た当時からずっとオリンパスペンシリーズに心惹かれてはいたものの、一眼レフの中ではミラーレスなので小型の部類ですが、ズームレンズだと結構かさ張るのとビューファインダー付きモデルは予算オーバーですし、オプションの外付けEVFだと2万5千円もするのだとか。またニコン初のミラーレスモデルは更に小型で、特にビューファインダー標準搭載モデルは良いと思うのですが、デザインがシンプル過ぎて“のっぺり”した印象で今ひとつ食指が動きません。キャノンにはミラーレスモデルが無いため大型で最初から対象外。
ハイアマの方のように引き伸ばして大判の写真を印刷する訳ではないので、必ずしも高級一眼で無くても良く、そうかと言って奥行き感は欲しいし、ブログ用に遠景の山や花などを撮るには光学ズームは必須だし、室内で料理を撮るならレンズは明るい方がイイし、街歩きや旅行用にはポケットやバッグに入るくらいの携帯性は欲しいと、我ながら結構欲張りです(一番これに近いコンセプトのモデルがペンタックスにあったのですが、実物はあまりに小さくて一眼と言うよりミニ・コンパクトで、見た目がオモチャっぽく感じられて脱落)。
画素数は大判印刷をせずまたデジタルズームでなければ、1000万画素あれば私のような素人目には殆ど分らないでしょうし・・・。
そうなると、対象ジャンルは、小型化が可能なミラーレスの中でも更にコンパクトなタイプ(各社が市場拡大を狙って最近力を入れている“女子”向けのミラーレス一眼)や一眼レフ顔負けの高級“コンデジ”でしょうか。

 そこでネット記事や雑誌等を見て(立ち読みでスイマセン)、専門家やハイアマなどの方々の意見を参考に、使い勝手や操作性、自身の嗜好、予算などから絞り込んで挙がった候補機種は、ミラーレス一眼ではパナソニックのLumix DMC-G3と同GF3の2モデル。特にG3はビューファインダー内臓(但し手動切換え)。これがあると、日向で液晶モニターが見辛い時など便利ですし、昔のカメラ感覚で撮影できます。しかも液晶モニターが可変(バリアングル)なので、ローアングルや頭上からの撮影時には便利です。GF3は液晶モニターのみですが、価格も安く小型でコンパクト並みのサイズ。
“コンデジ”では、オリンパスのペンシリーズのコンパクト版とも言える高級コンパクトXZ-1とニコンの中級?コンパクトCoolpixのS9300の4モデル。いずれも予算上、店頭価格が3万円程度から5万円台後半です。

 たまたま出張機会があり、夜、到着後新宿の家電量販店数店を駆け足での価格調査の上で、暫く行くのは恥ずかしいという松本の量販店ではなく、家内が娘たちのところへの上京した時にモデル指定をして新宿で買って来てもらうことにしました。
偶然にもGF3の後継モデルとなるGF5がその日に新発売とのこと。当然のことながらまだ値下がりしていませんし、GF3は展示品のみ。またDMC-G3も後継機種が近々投入されるのか、在庫限りとのこと。そのため選択肢が狭まっていましたが、結局機能を優先してDMC-G3のダブルズームレンズキットに決定し、色は家内の好みに任せ、価格も私よりも交渉上手な家内に委ねました。事情を説明すると、家内が来るまで在庫の2色をキープしておいていただけるとのこと。でも同じ量販店なのに、松本店とは店頭価格で1万7千円も安いとはこれ如何に?(お陰でダブルレンズズームキットも予算内に入ったのですが・・・)。

結果は、茶色を選択し、更にポイント還元分まで現金で値引いてもらえて、予算より大分安かったのでカメラバッグまで買えたとのこと。さっすがー!パチパチパチ・・・。

 早速試し撮り。やっぱりビューファインダーはイイなぁ。価格を押さえるためか、アイセンサーは無くボタンでの手動切り替えですが、それ程気になりません。ただ機能を優先して決めたので、ポケットに入れてというよりはちょっと大きめになりました。マニュアルを熟読するまでは、暫くは“お任せモード”で撮影です。でも、1ヶ月でマスターしなければ・・・。

 先日久し振りに寿司の王滝総本店へ行きました。
カウンターが空いていて、しかも家内が好きなふんわりと握ってくれるオジイチャン板さんの前。

 一品を少し頼んだ中で、骨折回復のために骨に良いからと家内がオーダーした鰯の唐揚げが、甘味もあって柔らかくて絶品でした。日本酒に合いそうなので、二尾しか分けてもらえなかった中から、わざわざ一尾をお酒の肴に残しておきました。

 途中で、先に握ってもらうという奥様が平目を注文したら、その日は無いとのこと。何でも、養殖の平目からウィルスが検出され、食中毒の恐れがあると全面的に出荷禁止措置が取られていて、暫くは入荷して来ないのだとか。
「えーっ、うっそう!そうなんですかぁ・・・?」
と至極残念そうな奥様。
 しかし、何でかなぁ・・・。以前のTVニュースでは、片や茨城の漁港に水揚げされた天然の平目が、原発事故の風評被害で買い手が付かず破棄されたのだとか。しかも天然物の平目なのになぁ。
ま、私はカレイの縁側で十分なんですけど・・・。

 この日のお酒は、石川県の銘酒「加賀鳶」でも知られる福光酒造という酒蔵の限定物の「黒帯悠々」という純米酒にしてみました。
冷酒でお願いしましたが、これがコクがあって旨みもあって、でも重くは無くキレさえ感じられて・・・。
「いやぁ、これ旨いなぁ!」
「あっそ・・・」と、一滴もアルコールを飲まれない奥様は全く興味も関心も無く、まだ磯のアワビならぬヒラメに片想いでしょうか。

 ま、ヒラメはともかくとして、天下(飲兵衛の間で?)に名だたる「天狗舞」や同じく「手取川」の石川県。加賀百万石はさすがに奥が深いですね。まだまだ知る人ぞ知る美味しい地酒がありそうです。

 桜同様に遅れていた今年のリンゴの開花でしたが、4月28日に松本で30.1度という真夏日を記録すると、翌29日も暑かったもののまだ開いていなかったのに、30日になって一気に開花しました。

 昨年一部の木の花付きが極端に悪かった反動もあるのか、今年はどの木も花付きが良く、リンゴ園が例年にも増して真っ白く見えます(写真は5月4日のリンゴ園です)。
ゴールデンウィーク中、今年も妹夫婦が花摘みの手伝いに来てくれましたが、「今年はちっとも作業が進まない」と嘆いていました。確かに、今年は昨年の倍近い花かもしれません。
ただ、花が多くても木に生らせるリンゴの数は変わらないので、その分一輪ずつ摘み取る摘花作業が大変になります(但し仕上げ摘果の際に、良さそうな実を残す選択肢は増えることになります)が、これも自然の成せる業。摘花が間に合わなければ摘果作業でと、まぁ、7月まで気長にやることにします。
 リンゴに負けじと、家内が丹精込めて世話をしている我が家の庭も、早春のクリスマスローズに始まり、ビオラやチューリップ、そしてハナミズキなど春の花々が今を盛りと咲いています(庭の写真は4月29日の様子です)。
まさに百花繚乱。「春の庭が一番好き!」と家内が言うように、長かった冬から一気に華やいだ4月の庭も、5月5日の立夏を過ぎて暦の上では夏。足早に新緑の候の装いに衣替えを急いでいるかのようです。

 生憎の雨の土曜日。お見舞いをいただいた方への奥様の快気祝いのお返しやら終日の買い物へ。途中、庄内のホームセンターで犬用やら紙製品やらも購入し、ちょうど昼時だったので、久し振りにすぐ近くの大きな水車が目印の石挽き蕎麦の「小沢そば」へ(写真は店内から水車を窓越しに見たところ)。

 こちらは石で挽いた粉で打つ腰のある石挽き蕎麦が特徴。
昔、今ほど特徴あるお蕎麦屋さんが松本にもあまり無かった頃は、ここへも時々来ました。両陛下が皇太子・妃時代にこちらに来られたこともあるそうで、今でもその時の写真が店内に飾られています。

奥に座敷もある結構大きな店構えで、今では宴席料理など蕎麦以外のメニューも豊富。店の前の駐車場が狭く10台弱しかないので、観光客の方も多いのか、いつも満杯なのが難点。その日は運良く1台だけ空いていて、何とか停めることが出来ました。

 奥様は、ざるそばの普通盛り(1050円)、私は大盛り(1470円)をオーダー。
やや小振りのせいろに普通盛りが2枚、大盛りは3枚。もりそばではなく、刻み海苔が掛けられています。薬味には刻みネギとおろしワサビの他に、お猪口に入ったとろろも。そばつゆはカツオ出汁が効いた、信州らしく甘めのつゆですが、一人ずつそば徳利も付いてきますので量は十分。しかし、席数が多いためか、そば湯が最初から蕎麦と一緒に出されるのには些か興醒め。
 何年か前に来た時はもしかしたら夏だったのか、冷水でしゃきっと締められて腰の良さが持ち味だった筈の蕎麦も、この日はそれほどでもありませんでした。信州蕎麦としての水準はクリアしていると思いますが、感動するまでには至らず。私はやっぱり「井川城」かな。奥様も「そうよネェ・・・」。
場所は郊外ですが、蕎麦以外のメニューもあり夜も営業されているようなので、会食などの際には便利かもしれませんが・・・。

 先日の昼に、壊れた掃除機の買換えの後で今度は「そば処 井川城」へ。いつものように煮物(この日は新ジャガと根菜。“そば前”が欲しくなります)とデザートに(奥様用の)そば大福がサービスです。
家内は三種そば。私は十割と二八。「うん、やっぱり旨い!」と家内と二人で頷き合います。しかも、今日の二八はこれまで以上に腰があり、その喉越しの良さに、最近は「井川城」ばかりでご無沙汰の「翁」の二八と食べ比べたくなりました。因みに写真は十割そばで、最初に一口塩を振って食べると蕎麦の甘味が増すという小皿に盛られた岩塩(ローズソルト)が手前に見えます。奥の小皿はお茶うけの浅漬け(この日は刻みキャベツ)です。

 新ジャガと根菜の煮物に感心(新ジャガが皮付きのままで、こうすれば皮を剥く手間も掛からず、且つ煮崩れもナシ)した家内は、早速我が家でも試してくれました。「井川城」同様にアッサリした味付けですがなかなかの出来栄えで、冷やした純米酒に良く合いました。「井川城」のお陰で苦手な煮物のレパートリーが増えたようです。

 “ザ・ハーモニーホール”(松本市音楽文化ホール。略称“音文”)から、会員であるハーモニーメイト向けに2012年度のコンサートラインアップが送られてきています。
例年だと、前後半と年2回に分かれる筈ですが、大ホールが昨年の直下型地震で損傷を受けて2013年3月一杯改修工事のため、音文では無傷の小ホールしか活用できないことから、今回は主催する演奏会数も少なく年間まとめて。
そのため、あまり期待していませんでしたが、でもラインアップを見ると事務局の苦心の跡が伺えます。

 その中で興味を引いたコンサートが幾つかありました。
残念ながら出張で間に合いそうもありませんが、6月20日には県文(松本市県民文化会館)でのスウェーデン放送合唱団の演奏会。
合唱愛好家の間で昔ブームになったラフマニノフの「晩祷」の抜粋や、学生時代の後半に、大学の合唱団とは別にもう一つ所属していた一般の京都アカデミー合唱団で、当時の合唱コンクールの自由曲で歌ったドビュッシーの「3つのシャンソン」(リストには「シャルル・ドルレアンの3つの歌」となっていましたが、多分)など(懐かしいなぁ・・・)。

 11月9日には、同じく県文でのカメラータ・ザルツブルグ(60年前にザルツブルグのモーツァルテウム音楽院の教授と優秀な学生を中心に結成された室内オーケストラ)のオール・モーツァルト・プロ。
指揮者ハンスイェルク・シェレンベルガー自らが独奏を務めるオーボエ協奏曲(彼はベルリンフィルの元オーボエ首席です)や、フルートとハープのための協奏曲、ジュピターというお馴染みの名曲が並びます。

 そして一番の期待は、音文小ホールで12月14・15日の二夜連続で開かれるバッハの「無伴奏チェロ組曲」全曲演奏会。チェロは、フランス出身のジャン=ギアン・ケラス(ロストロ、ミュンヘン国際両チェロコンクールでの受賞歴のある、フランスの人気チェリストとのこと)。
ミッシャ・マイスキーで聴いているバッハの無伴奏チェロ組曲は、我が愛聴盤。抜粋ならともかく、二夜に亘る全6組曲演奏(1・4・5と2・3・6の組合せ)という(田舎では)滅多に無い機会ですので、これは何をおいても(リンゴの発送終わってるかなぁ?)絶対に聴きに行かねばなりますまい!
それにしても、座席数僅か190席の小ホールでは何とも勿体無いほど贅沢なコンサートです。

 また特筆すべきは、チェンバロ弾き振りの小林道夫氏率いる松本バッハ祝祭アンサンブル初の本拠地以外での演奏会となる「ブランデンブルグ協奏曲全曲」東京公演(明日5月5日東京文化会館小ホールにて。今回も松本出身でもある磯山雅国立音大教授の解説=プレトーク付きだそうです)。成功を祈ってます。

 ただ、今年はどうやらOEK(オーケストラアンサンブル金沢)の来演が無いのが残念です。

 4月上旬、宅配便の不在通知が入っていて、送り主の名前に記憶が無く、家内に受取りを託して果樹園での作業中、携帯が鳴り、
「あの荷物、この前来てくれた門前高校の方からヨ!」

「えっ、うそっ!」と慌てて戻ってみると、八方スチロールの箱に入ったたくさんの干物がクール便で届いていました。
「えっ!こんなにたくさん・・・・!」と絶句。

 夜、代表者の方にお礼の電話をすると、前回(第609話参照)も一緒に来られた、同じく門前高校OGの妹さん(彼女こそ、室谷先生から託されたDVDを、池田町への帰省の折にわざわざ我が家まで届けてくれたその人です)の高校時代の同級生のお宅が輪島で干物を専門に扱っていらっしゃって、そちらにわざわざお願いして前回のお礼に送っていただいたのだとか。
 
「いや、まだみんな社会人じゃないんだから、こんな気を使わなくてイイのに。それじゃ、却って申し訳なくて・・・」
「いえ、この前は本当に嬉しくて、美味しくて、皆本当に喜んで・・・。ホンノ気持ちです!」

 山国信州のスーパーでは見かけないような、どれも一回り、二回りも大振りの立派な干物ですので、いくら地元産とは言え高いでしょうに・・・。「ホンノ気持ち」と言う以上にたくさんの干物です。申し訳ないなぁ・・・。家内も話がしたいと、
「私たちも、久し振りに若い皆さんと話が出来て本当に楽しかったので、あんなことで良ければ、また皆さんで誘い合って是非来てくださいネ!」

 有り難く頂戴することにして、妹夫婦のところにもお裾分け。せっかくなので、娘たちにも冷凍便で送ってあげることにしました。

 その日の夜、能登半島の本場、輪島の地元産の干物を試しに早速焼いて頂きました。大振り肉厚で、新鮮で脂も良く乗った塩甘でとても美味しい本場の干物でした。ホンワカとしたぬくもりも一緒に噛み締めながら・・・。