カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
淡路島或いは東京23区とほぼ同じ面積のシンガポール。
87年から94年まで6年半赴任していた頃は人口250万人と言われていたのが、今や500万人とか。永住権を持つ市民が300万人と言いますから、勿論増加の大半は外国からの受け入れです。
そのため、当時は“ガーデンシティ”という形容がピッタリだったのが、今では緑が削られ、どこもかしこもビル群が立ち並んでいました。また、当時は渋滞など無縁だったのが、車の数も倍になったのでしょう、ECPやAYEなどの高速道路も渋滞しています。
そして当時は殆ど見なかったのに、朝散歩する犬の多いこと。しかも、飼い主ではなく、その殆どがフィリピンやインドネシア人のアマさん(メイド)というのが如何にもこの国らしい。我々の駐在当時は、まだ実利・実益の無いものにはお金を使わなかった国民ですが、それだけ生活にゆとりが生まれたのでしょう。
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赴任当時も毎年国土面積が増えると言われていましたが、今でも海岸を埋め立て、そこ(マリーナ・ベイ)に新しいビル群が次から次へと建設されています。
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因みに、構造上責任が持てないと日系の建設会社は工事を断り、韓国系建設会社が建設工事を請け負ったのだとか。夕刻、会食前にそのスカイパークへ連れて行っていただきました。
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また隣接して、コンベンションホールと世界最大のカジノやショッピングモールなどが併設されていて、中国からの観光客を中心にカジノも繁盛しているとか。
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しかし、何も決められず閉塞感漂うどこかの国と比べ、惚れ惚れする程の国家政策の見事さには溜息がこぼれます。
反面、入国に際してはタバコには重税を課すこの国は、出国者だけにはDFSで堂々とタバコも売っていまし、カジノも自国民が賭博に染まらぬようにシンガポーリアンは入場するのには100S$が必要です。小国の智恵とは言え、これもある種のえげつなさ。
ただ、儒教精神の残るこの国では、赴任当時はおじいちゃんやおばあちゃんの手を引いた若い子が珍しくなく、また子供を連れた家内がバスに乗ると若い子がすぐ席を譲ってくれるなど、核家族化した日本人が見習うべき点が幾つもありましたが、その良き風習は今でもちゃんと残っているでしょうか。
今回時間が無く、赴任時代の現地メンバーに会うことは叶いませんでしたが、6年間家族でお世話になり、子供たちもここで育ち、彼らにとっては第二の故郷でもある懐かしくて大好きなシンガポール。
賃金も高騰し、街には高級車が溢れています。でも、次にこの国に必要なのは、物質的に満ち足りた満足感から精神的な豊かさではないだろうか。
発展する街並みと減っていく緑を見ながら、昔への郷愁と相俟ってそんな想いを禁じえませんでした。