カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 年末のことですが、長野市に行く用事があり車で向かいました。
日帰りで東京から新幹線で来る長女と長野駅で落ち合い、善光寺の山門へと続く大門通りへ。
前回長野に来た時はちょうど秋のお彼岸だったので、観光客も含めて善男善女で賑わっていた善光寺も、二年参り前のためか閑散としています。家内と娘が用事をしている間、単なるアッシー役で手持ち無沙汰の私はせっかく来ての素通りは善光寺さんに失礼と、全員の分も含めてお参りです(あっ、チロルとナナも忘れずに)。

 12時も過ぎ、雪もちらついて思いの外(松本よりも標高が200m低い)長野も寒かったので、前回元ボスに教えていただいた権堂の店まで歩くのは諦めて、すぐ近くにあった大門通りのお蕎麦屋さんに入ることにしました。

 そのお店は十割そばの『大善』。
説明書きには、“一茶の故郷で育った霧下蕎麦”とありますので、新潟県境に近い北部の信濃町や黒姫高原産の地粉でしょうか。民芸風の外観で、店内はテーブルが5卓とカウンターに3席ほどの善光寺界隈としては小さなお店です。

 私は十割そばの重ね(2枚)、家内が十割と更科の2色そばの大盛り、娘は2色の普通盛りをオーダー。驚いたことに、十割は1枚550円。大盛りが800円で2枚の重ねは1000円。二色盛りでも、並が700円、大盛りが1200円です。

注文を受けて待たせることなく運ばれて来ました。これぞ江戸時代のファーストフードの真骨頂(繁盛店で並んで待つのはイイとして、中には注文を受けてからも更に30分も待たされた店もありましたが、江戸前の蕎麦屋の基本を忘れています)。その値段からして(しかも十割ですので)量が少ないのだろうと思いきや、トンデモナイ!箱型のざるにしっかりと盛られています。しかも、2色の更科は、他の店であれば“吟醸そば”呼んでもイイくらいで、実の芯だけを使った真っ白なそばです。
蕎麦つゆは、鰹ダシが良く効いて信州らしい甘目のつゆですが、注ぎ足し用の蕎麦徳利も付いて量もたっぷり。麺は細打ちで「野麦」に似ていますが、一枚の量は同じ程度でも値段は半分。いやぁ、驚きました。
家内が食べきれないと言うので、娘と二人でいただいて、そば湯もしっかり飲んで満腹です。
 吟醸そばのような更科はもっちりしていますが、十割そばの方が腰もあり、蕎麦の香りもあります。以前、同じ長野の地元の方から味と量で評判と伺って行ったバスターミナル地下の店。大盛りを注文しようとしたら店の方に止められるほど、普通盛りでも確かに大盛り並みの量でしたが、如何せん二八とは思えぬほどつなぎが多すぎて、味はうどんを食べているようで閉口しました(その後家内も友人に連れられて行って、同じ感想の由)が、ここ大善は違います。

 この味で、この量で、この値段。いやぁ、驚きました。
家内も、「三人で3千円しなかったんだよ!」とビックリのご様子。十割そばの2枚重ねと、2色蕎麦の大盛りと並盛りで〆て2900円也。
奥様は、コスパ(CMの影響か、コストパフォーマンスの略だとか・・・そんなの略すなヨ!)が凄い!と感心されておられました。

 善光寺界隈は観光客相手の蕎麦屋さんが多いと聞いたことがありますが、こういう良心的なお店は、ずっと続くように応援したくなりますね。
無口で一心不乱にそばを茹でていた未だ若いご主人でしたが、どうぞ頑張ってください。

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