カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
奥様が無事退院の日。2週間振りに“シャバ”に出られて、先ずは美容院へ。終わった後、病院食から開放されて久し振りに蕎麦が食べたいとの仰せ。
そこで、美容院のすぐ前にあった「小沢そば」(並柳の国体道路沿いで、大きな水車が目印。石挽きの腰のある田舎そば)に寄ろうとしたら、車はまだ何台も駐車していますが既に準備中の札が。だったらと、車で程近い『井川城』へ行くことにしました。
念のため電話をしてみると、二人なら大丈夫とのこと。既に昼時は外れていましたが、駐車場には大阪や飛騨ナンバーの車も。松葉杖で店内へ。
ここでは二八が我々の好みなのですが2枚で終了とのことに、やむなく十割と両方をざる2枚の特盛り(それぞれ1250円と1365円)で注文しました。
待つ間に、刻んだ胡桃の混ざった味噌を載せたふろふき大根をサービスしてくださいました。こちらは本格的なお蕎麦屋さんには珍しく夜も営業(但し7時頃には終了だそうです)されていて、一品には蕎麦屋定番の「焼き味噌」もありますので、それ用の味噌かもしれません。“そば前”も頂きたくなりますが、我慢、我慢。
最初に娘たちと伺って(第491話参照)3種類(井川城では、二八と江戸時代に倣って「とわり」と呼ぶ十割。そして、他店で言う真っ白な吟醸そばは、松本藩のお殿様が好んだとかで「大名そば」)の蕎麦を食べ、一番腰のあった二八をその後は注文しているのですが、この日両方を食べ比べてみると、何故かこの日の十割は二八に負けないほど腰があり、蕎麦の香りはやはり十割が優ります(なお「井川城」自体のイチオシは十割です)。
そして、唐沢集落の「水舎」(第557話)で習ったように、薬味のワサビは蕎麦猪口に溶かずにそばに付けていただきます。二八もしっかりと腰があります。そばつゆも甘過ぎず辛過ぎず、蕎麦徳利もあり量も十分です。2枚半を私が食べて、そば湯をいただいて、最後にいつもの「そば大福」をサービスで頂戴しました。こちらは自家製で、蕎麦粉も入った皮で包んだクルミ餡の逸品です。
うん、やっぱり美味いなぁ。今度からは二種盛りにしようかなぁ。
但し奥様曰く、“コスパ”は善光寺大門通りの「大善」(第584話参照)の方が断然上だとか・・・。ふむ、奥様方は“コスパ”に弱いですな。
年末の仕事納めの12月28日。
毎年恒例の納会を欠席し、親戚の急なお通夜に顔を出してからの帰宅途中。携帯が鳴り、家内が階段を2段踏み外して落ちて動けないとのこと。
慌てて戻ると、何とか自力で移動してきたようで、薪ストーブの前で横になっています。チロルとナナも心配そうです。
すぐにネットで調べて緊急医を予約したのですが、朝まで様子を見たいと言うので2階のベッドまで負ぶって行ったものの、29日の未明に起こされて、今度は我慢できないとの仰せ。
そこで慌てて電話をして近くの信大病院の緊急外来へ。車中で言うには、夜中にも頼んだら、私メは「ちょっと待って・・・」と言ってまた寝てしまったのだとか。そりゃ失礼。でも、「だったら起きるまでちゃんと起こせばイイジャン!」と言い合いです。ま、このくらい元気なら大丈夫・・・かな?
ところが、あに図らんや。
レントゲンとCTによる検査結果は見事骨折で、早く直すためにも手術した方が良いとのこと。簡単な手術だそうですが、信大では年末年始ですぐに対応できないため、同じく救急救命センターのある相澤病院(「神様のカルテ」の舞台「本庄病院」です)へ朝になってから転院させるとのことで、救急車で移送していただきました。こちらは先に出向いて入院手続きを済ませ、到着後の再検査の後で担当医に話を聞き、午後親戚の葬儀に参列し、夜また病院へ。何とも慌しい一日でした。
(写真は、相澤病院の病室から見た、松本の市街地越しに望む新春の常念岳始め北アルプス。病人も元気が出そうな風景です)
翌大晦日は、朝から煤払いと全フロアの掃除機掛けの後は床拭き。分刻みのスケジュール設定で夕刻漸く終わり、今度は親戚が届けてくれた松を母屋の玄関と神棚にも飾り、買って来た鏡餅も神棚に供えて、ギリギリ何とか新年を迎える準備が整いました。ふ~っ。
家内も子供たちもいない大晦日・・・。
母は、暮れも押し迫っての突然の親戚の不幸や骨折騒ぎで、今年はそれどころじゃないからと言いますが、そうは言ってもと、信州松本の“年取り魚”、鰤を二切れだけ買って来て、煮付けは時間も掛かることから、簡単にブリの照り焼きにして母屋の3ヶ所の神棚にお参りをして、母と形ばかりのお年取り。
その後、一人なのでクラシック三昧で、最後は金聖響さん指揮での東フィルのジルベスターコンサートを聴き、カウントダウン恒例のボレロの4秒早いエンディングに些かズッコケましたが、「色々災害のあった2011年から、一秒でも早く希望の新年を迎えたかったからですよね!」という司会者のナイスフォローがあって、「確かにそうだよなぁ・・・!」。
ベランダに出て、室内に飾った「年暮る」同様に凛とした空気の中に響く除夜の鐘を聞きながら、最後に来て色々ありましたが「これで我が家の厄落としは全部終わりかな・・・?」と、独り行く年の感慨に耽ります。
今年は帰れないと言っていた娘たちも、家内の骨折騒ぎを心配して一泊ながら元旦に帰省して来て病院へ。元気そうな顔を見て娘たちも安心したようで、夜は親戚の叔母が打ってくれた恒例の年越し蕎麦を一日遅れで皆でいただいて、翌朝には長女が作ってくれたお雑煮を食べて、彼らはまた慌しく仕事に戻っていきました。お陰でちょっぴり正月気分です。いつもはかぶりつきの箱根も今回はじっくりと観戦も出来ずに病院へ。
毎日、「あれが欲しい、あれ持って来て!」。病室では、「あれ取って、それ取って!」と、次から次へと繰り出されるリクエストに、(全快の暁には、と心に秘めつつも)今回ばかりは「ハイハイ」と素直にお応えしながら、手術翌日からリハビリが始まり経過も順調とのことで、1月9日には無事退院することが出来ました。やれやれ・・・。
病院で、お婆ちゃんの車椅子を優しく押す腰の曲がったお爺ちゃんや、その逆のお年寄りのご夫婦を見るにつけ、これは(どちらが先かはともかく)我が家に神様が与え賜うた近未来の老々介護への試金石かなと、想いを新たにします。
元旦恒例の初詣も、長女は明治神宮へ、次女は成田山へ行くからイイと言うので、遅れ馳せながら4日の病院帰りに母と四柱神社へ立ち寄りました。三が日は縄手通りまで並ぶ初詣客の列も無く、いつもの端っこではなく、真ん中の鈴を堂々と鳴らしてしっかりとお参りすることができましたので、年末で我が家の厄も全部落ちただろうし、今年はきっと何かご利益があるかもしれません。
しかし、明けて辰年とは言え、一人竜巻に巻き込まれたような、何ともてんやわんやの年末年始でありました。あぁ、シンド!
これぞ、(家内が)骨折り損の(私メは)くたびれ儲け・・・。
(以上、1ヶ月が経ちますが、今だ松葉杖の奥様からは掲載了承済みですので念のため。昔は重たい木製だった松葉杖ですが、今は軽いアルミ製で使い易そうですね)
年末のことですが、長野市に行く用事があり車で向かいました。
日帰りで東京から新幹線で来る長女と長野駅で落ち合い、善光寺の山門へと続く大門通りへ。
前回長野に来た時はちょうど秋のお彼岸だったので、観光客も含めて善男善女で賑わっていた善光寺も、二年参り前のためか閑散としています。家内と娘が用事をしている間、単なるアッシー役で手持ち無沙汰の私はせっかく来ての素通りは善光寺さんに失礼と、全員の分も含めてお参りです(あっ、チロルとナナも忘れずに)。
12時も過ぎ、雪もちらついて思いの外(松本よりも標高が200m低い)長野も寒かったので、前回元ボスに教えていただいた権堂の店まで歩くのは諦めて、すぐ近くにあった大門通りのお蕎麦屋さんに入ることにしました。
そのお店は十割そばの『大善』。
説明書きには、“一茶の故郷で育った霧下蕎麦”とありますので、新潟県境に近い北部の信濃町や黒姫高原産の地粉でしょうか。民芸風の外観で、店内はテーブルが5卓とカウンターに3席ほどの善光寺界隈としては小さなお店です。
私は十割そばの重ね(2枚)、家内が十割と更科の2色そばの大盛り、娘は2色の普通盛りをオーダー。驚いたことに、十割は1枚550円。大盛りが800円で2枚の重ねは1000円。二色盛りでも、並が700円、大盛りが1200円です。
蕎麦つゆは、鰹ダシが良く効いて信州らしい甘目のつゆですが、注ぎ足し用の蕎麦徳利も付いて量もたっぷり。麺は細打ちで「野麦」に似ていますが、一枚の量は同じ程度でも値段は半分。いやぁ、驚きました。
家内が食べきれないと言うので、娘と二人でいただいて、そば湯もしっかり飲んで満腹です。
吟醸そばのような更科はもっちりしていますが、十割そばの方が腰もあり、蕎麦の香りもあります。以前、同じ長野の地元の方から味と量で評判と伺って行ったバスターミナル地下の店。大盛りを注文しようとしたら店の方に止められるほど、普通盛りでも確かに大盛り並みの量でしたが、如何せん二八とは思えぬほどつなぎが多すぎて、味はうどんを食べているようで閉口しました(その後家内も友人に連れられて行って、同じ感想の由)が、ここ大善は違います。
この味で、この量で、この値段。いやぁ、驚きました。
家内も、「三人で3千円しなかったんだよ!」とビックリのご様子。十割そばの2枚重ねと、2色蕎麦の大盛りと並盛りで〆て2900円也。
奥様は、コスパ(CMの影響か、コストパフォーマンスの略だとか・・・そんなの略すなヨ!)が凄い!と感心されておられました。
善光寺界隈は観光客相手の蕎麦屋さんが多いと聞いたことがありますが、こういう良心的なお店は、ずっと続くように応援したくなりますね。
無口で一心不乱にそばを茹でていた未だ若いご主人でしたが、どうぞ頑張ってください。
12月下旬、松本大学ソフトボール部の門前OGが尋ねてくれた数日後、今度は大きな封筒が郵便受けに入っていました。
門前高校の室谷先生からでした。
「ははぁ、きっとソフトボール部の会報か今年の戦績表かな・・・?」
と想像して開けると、あに図らんや、二つ折りの色紙が入っていました。
それは、ナント門前高校ソフトボール部の皆さん23名全員がリンゴの形に切った色とりどりの紙に書いてくださったメッセージを綺麗に張った、二つ折りの色紙でした。そして、もう一枚、室谷先生のノックされている写真を貼った自筆の色紙も同封されていました。
また、部員の皆さんそれぞれのメッセージには、お送りしたリンゴへのお礼の言葉が添えられていました。今年は例年に無く収穫量が少なかったため、本当に残りモノで、しかも小玉しかお送り出来なかったのに・・・。
中には「小さな門前には小玉が似合います。」などとも。一つ一つ、手書きの心を込めたメッセージをじっくりと読ませていただきながら、門前の皆さんの心配りが有り難くて涙がこぼれそうになりました。
「良かったネ!」と、家内も嬉しそうです。
大したことも出来なかったのに、却って煩わせてしまい、むしろ申し訳なく思います。先生方のご指導とは言え、信州と同じ田舎の過疎地の素朴で純な子供たちです。先日我家に来られたOGの皆さんも同様でした。
イイ高校だなぁ・・・。イイ子たちだなぁ・・・。イイ先生方だなぁ・・。
大事にしたいなぁ・・・。大事にして欲しいなぁ・・・。無くしちゃいけないよなぁ・・・。
様々な思いが次々と去来します。
何故か、松本深志高校の前身である旧制松本中学の初代校長、小林有也先生の御三訓を思い出しました。曰く、
『克く学業に勉励せよ、身体を強健にせよ、世の悪風に染むことなかれ』
門前高校の皆さん、頑張ってください。
このブログで、1年前の暮れも押し迫った2010年12月30日に放送されたフジTV系ドキュメンタリー『私たちの時代』を見損ね(且つ録画し損ね)て、ブログに「再放送希望」と書いたところ、思いがけずも取材対象となった石川県立門前高校そのものからいただいたDVD(経緯は第435話参照)。
お礼にと、秋に残りモノの、それも小玉リンゴをお送りしたしました(第569話参照)。その結果、更に思いがけない門前高校のソフトボール部の皆さんとの交流がありました。
リンゴが届いたであろうその日に、作業で不在中、室谷先生から直接お礼のお電話があったそうで、家内が出て「門前高校の“男”の先生からお礼のお電話いただいたヨ!」とのことに、「それって、もしかしたらしゃがれ声でドスの利いた声じゃなかった?」ということで、間違いなく室谷先生その人でした。何でも今年は県大会を勝ち抜いて全国大会へ出場したとか。良かった、良かった!
また、地元松本大学の学生さんからも電話があり、訝りながら出ると、門前高校のOGで室谷先生から連絡があり、「伺ってリンゴのお礼をするように!」との指示だったとのこと。
それには及ばないと申し上げたのですが、監督さんの指示は絶対なのでしょう。どうしてもということで、先日わざわざお土産まで用意されて家まで訪ねて来られました。しかも、松本大学のソフトボール部にはOGが結構たくさん門前高校から来られているそうで、7名が来訪。中には1年前の放送で取り上げられたメンバーの方の顔もありました。もう大学3年生と言いますから、取材は4年前なのだとか。
生憎家内が上京していたため、何のお構いも出来ず、連絡をいただいて慌てて用意したお菓子とお茶とリンゴを剥いてお出ししただけで、元気はつらつとした若い皆さんのお話を伺って、チロルとナナも遊んでもらって、お礼にリンゴを持ち帰っていただきました。
彼女たちが帰った後もナンだか余韻がとても暖かくて、ホンワカ、ほっこり・・・。先生方の指導が偲ばれるような、そして応援したくなるような、そんな素敵な若者たちでした。
早昨年のことになってしまいましたが、12月の職場の忘年会は、松本市天神にある『手打ちそば 純』。初めて聞く(知る)店名に期待して伺いました。
分り辛そうなのでタクシーに乗って着いた場所には一向にそれらしき店が見つかりません。幹事からの地図を良く見ると、その店の場所は天神(深志神社)のもう少し南側らしく、歩いて探すこと5分。漸く道路脇の電柱に看板を発見し、ナントカ無事辿り着くことが出来ました。
この「純」は、手打ちそばと活き魚料理を看板に掲げ、カウンターと個室が4つほど取れそうな座敷があり、外観からの想像よりも広い店内です。ただ一方通行が多く、付近に目印になるようなモノもなく、店自体も狭い路地を入った所にあるので、初めてのお客さんはかなり見つけ辛い場所。
我々のテーブルには、既に先付け代わりの小鉢が幾つも並べられていて、更に小振りのアワビの姿煮や生ホタテの七輪焼きも一人ずつ。
女将さんも心配して時折表に出て待っていてくれたそうで(どうやらタクシーは以前あった場所に行ったようです)、すぐに看板の魚料理が次々と運ばれてきます。大アナゴとエビの天婦羅に始まり、大振りの鯛の塩釜焼き、これまた大振りの金目鯛の煮付け。イナダの生け作り。金目とイナダは店内にある生簀で今まで泳いでいたモノだとか。最後にアンコウ鍋も。
ある意味これでもか、これでもかと・・・(職場の飲み会故、写真はありませんので、恐縮ですが文章だけでご想像ください)。
部屋には、近くの芸術館での市民劇場などで来演したであろう有名人の来店時の写真がズラリ。中には、名前を聞くまで帽子と黒縁の眼鏡の写真からは分りませんでしたが、お忍びで7回も蕎麦を食べに東京から来たという某有名女優も写っておられます。皆で「はぁ、凄いなぁ・・・」と暫し呆気にとられます(後で、自身も会員の家内の言うには、天神には市民劇場の事務所があるから、出演者の打ち上げ等で使っているのではとのことでした)。
魚の中には、絞めてから時間を置いた方が美味しいという種類もあるやに聞いたことがありますが、生簀から先ほどまで泳いでいたという金目もイナダも美味しくて、絶品でした。イナダなどコリコリと形容したいほど歯応えがあり、スーパーなどで買ったイナダやハマチなどと比べて、こうも違うかと唖然とするほどです。
さすがに活き魚料理を看板に掲げるだけあって、海辺の店ならいざ知らず、山国信州でこれほどまでに美味しい魚料理が食べられるとは感動モノでした。ただ、若い人はともかく、中高年には量と品数が多過ぎて勿体無くも食べ切れなかったので(あんこう鍋など殆ど手付かず)、もう少し予算(一点豪華主義の忘年会ゆえ、気張って8千円コース!)を絞っても良かったと思います。
〆の手打ちそばは、卵黄だけをつなぎに使った十割蕎麦とか。
大ザルに人数分盛って運ばれて来ました。腰はありますが、不思議なことに蕎麦の香りが全くありません。おそらく、他の料理の調理との都合上、朝早く?打ってから大分時間が経っているのでしょう。個人的には手打ちそばには些かガッカリしました。また、看板にありましたので、筑北の地酒山清だと思いますが、メニューに「お酒」と「冷酒」としかないとはチト勿体無い気がします。せっかくですので、もう少し銘柄を揃えられた方が料理も(飲兵衛には)更に美味しく感じられるのではないでしょうか。
しかし、それらを補って余りある魚料理。恐らく蕎麦も昼であれば、もっと美味しいのだろうと思います。
カウンターでタバコを吸わせてもらいながら(「吸うのは外で全然イイんですけど・・・」と言うと、ご主人家曰く「構わねぇよ。文句言う奴は、だったらウチにゃ来なきゃイイんだから!」と有り難くも痛み入るご発言)、ご主人と女将さんと暫し料理談義です。
お客さんの中には、遠く上田や、長野方面からもわざわざ食べに来られる方もいるのだとか。県内の同じ卸業者でありながら、長野よりも松本の方が良質の魚(勿論その分値段は張りますが)が流通しているそうで、理由を聞くと、需要があるからというシンプルなお答え。「ふ~ん、そうなんですか?」と、分ったような、分らないような・・・。例えば、宴会予算も長野が3千円なら松本は5千円というように差があるのだそうですが、本当かなぁ・・・?。
しかし、一番の疑問・・・どうしてこれ程の店を今まで聞いたことが無いのか、話題に上らなかったのか不思議でした。
幾つかの疑問を感じつつも、この山国信州でお魚料理が美味しいことだけは紛れも無い事実。今度家内を誘って一度来てみようと思います。一帯は一方通行ばかりでしたので、再訪出来るかどうか自信はありませんが・・・。
一ヶ月前ことですが、久し振りに次女が帰省して来たので、これまた久し振りにバサラへ。金曜日でもあり、テーブルは殆ど埋まっていて、しかも殆どが女性客でした。
先ず焼きテリーヌのお通しに始まり、
カワハギの和風カルパッチョ
自家製の焼豚と有機野菜のサラダ
カキ大根
地元で捕れた鴨のグリル
カキと野菜のパスタ
鍋焼き風炒飯
(*デザートは、食べ過ぎとのことでパスされました)
をオーダー。カキ大根は昨年も絶品でお替りをしたほどで、その後会社メンバーの例会で行った時もコースに入れていただくようにお願いした一品。ありがたいことに、冬の定番メニューになったようです。
また、“地元で捕れた”カモというのは、最近飼育の多い水田用のカルガモではなく、諏訪湖周辺で“鴨名人”が捕まえた野生の鴨で、散弾銃を使わずに空気銃で羽を打って落とした、傷つけていないモノなのだとか。
全く臭みがありません。そして、ソースと一緒に、「お好みで、ソースか柚子塩を付けてお食べください」とのこと。
「あっ、これってもしかしたら壱岐の柚子塩(第508話参照)では?」
正しく!でありました。さすがプロの料理人のお目立てにも適ったようです。
この日、とりわけ新鮮だったのは、カルパッチョとサラダに使われたドレッシングソース。ここバサラのソースは、どれも絶品なのですが、この日のソースは、今までバサラではあまり無かった甘味を効かせたソースでした。
家内も、「このソース、初めてだよね!」とのこと。
「うん、確かに・・・」。これもイイ味しています。
(写真はバサラからいただいた2012年の年賀状。見ているだけで食指が動きますね)
(前話に続いて、信州の地酒の話題です)
そして岡谷には、もう一つ高天酒造の『高天』というお酒もあります。こちらは辛口でも旨みを感じる良いお酒です。
四半世紀前、新宿でボスに連れて行ったいただいた日本で最初の「日本酒バー」で初めて飲んで、信州の地酒とは知らず、カウンターの“日本酒ソムリエ”から叱られたお酒。
今回頂いたのは、純米寒作りと純米吟醸の二種類です。純米は、スッキリと爽やかな辛口。純米吟醸は、確かにフルーティーですが、高天にしては吟醸ゆえか甘めでふくよか。個人的には、やっぱり辛口の純米酒の方が好みです。
「大雪渓」と同じ北安曇郡池田町は福源酒造の『北アルプス』の特別純米。とても真面目なお酒です。因みに福源酒造は、お隣のお婆ちゃまのご実家。
そして、客呼びに出した“とっておき”の『北アルプス 純米大吟醸』。
確かに大吟醸らしくフルーティーで旨みもありますが思った以上に甘口で、個人的にはやっぱり北アルプスはいつもの純米酒の方が好みかな。
最後に、地元松本の地酒『善哉』。今回いただいたのは、「安曇野だより」と名付けられた、名水仕込みという純米吟醸。
善哉は、松本の街中にある蔵で、“平成の名水100選”にも選ばれているという城下町湧水群の一つである「女鳥羽の泉」と名付けられた湧水を使っています(「おひさま」効果狙いか分かりませんが、松本は東山々系の伏流水ですので安曇野の水ではない筈・・・「松本だより」でイイのに)。
吟醸酒らしくふくよかな甘口です。酸味が口中に広がらずに、舌の上だけに留まっているような感じがちょっと不思議でした(写真無し)。
そして、いただいたお酒が全て終了したので、ここでまた地元松本島立の酒蔵、我が定番の『大信州』の純米に戻りました。雑味の無いスッキリとした辛口の、これまた真面目なお酒です。
超有名な全国ブランドは無くとも、酒蔵の数では米処、酒処の新潟を凌ぐと言う、謂わば“水処”の長野県。個性的で愛すべき信州の地酒のホンの幾つかです。
ワインも含め、所詮お酒なんて、自分の好みに合う銘柄がイチバンなんですから、自分にあったお酒を見つけましょう。
【追記】
昨年の6月末、上諏訪の古くから続く酒蔵「麗人」が、民事再生法の適用を申請したと報じられました。寛政元年創業で220年続くという老舗です。諏訪では「舞姫」が2009年に申請し、支援を受けて現在再建途上。どこも酒造会社は厳しいようです。
素材本来の味を活かした繊細な和食に合うのは、やはり繊細な日本酒、殊に純米酒だと思うのですが・・・(ただ端麗辛口でも、旨みの感じられない水のようなお酒は遠慮します)。
写真の最後は、上諏訪駅に昨年飾られていた“諏訪九蔵”(岡谷の「神渡」・「高天」、下諏訪の「御湖鶴」、上諏訪の“五蔵”「真澄」・「麗人」・「舞姫」・「本金」・「横笛」、茅野の「ダイヤ菊」、以上合わせて九つ)の酒樽です(何故か辰野のお酒も置いてありましたが、樽が10個ないと積み重ねるのに安定しないからでしょうか?)。みんな、頑張れ!
数年前から週末開催だけになったために会社帰りに参加できなくなりましたが、毎年10月には諏訪の五蔵の秋の「飲み比べ」イベント(最近ではアチコチでも開催されていますが、五蔵が固まっている上諏訪がその“走り”だったと思います)が開かれて、大変な賑わいだそうです。
さて冒頭の写真は、松本駅の自由通路のウィンドウにミニチュアの杉玉と共にディスプレイされた地元松本の地酒の幾つかです。
お正月、皆さまもおとそ気分でしょうか。お酒もすすみますが、ま、お正月くらいはイイでしょう。
私は、若い頃はどちらかと言うと日本酒よりもワイン派でした。
何も知識が無かったので、1年間の教本付のワインコースを申し込み、毎月取り寄せたりして学習しました。最初は、フルーティーなリースリングからスタートし、最後はシャブリなどの辛口の白ワインが好きになり、その後欧州産から国産ワインへと拡がっていきました(赤の美味しさまでは行き着けず)。
ところが、その後赤道直下のシンガポール赴任中、海外に出て初めて日本酒好きになった(海外に暮らすと不思議と日本のモノが恋しくなり、好きになります)こともあり、帰任後もずっと日本酒党で、尚且つ冬でも専ら辛口の冷酒派です。どうしてもお酒をお燗した時に、酸味のツーンと来る昔の記憶が拭いきれず、本来のお燗やぬる燗の美味しさは(岩魚の骨酒以外は)未だ良く分かりません。
近年国産ワインの品質も向上し、また温暖化の影響でとりわけ信州産ワインの向上は目覚しく、特に桔梗ヶ原メルローは今や世界でもトップクラスとか、また信州の地元ワイナリーでも小布施ワインや城戸ワインは凄く美味しいと聞いても特段の関心も無く、専ら日本酒(冷酒)にいそしんでいます。
さて、前置きが長くなりましたが、一年前の年末に幾つか地元信州の地酒をいただきました。その後、またいただいたり自分で買ったりしたお酒もあり、良く冷やしてチビリチビリと楽しむこと一年余。ここで漸く、まとめて利き酒記を書くことが出来ます。
ナンセ、お猪口一杯が制限付き一日の晩酌量で、しかも週二日の強制休肝日適用ですので時間が掛かります。そのため、昨秋にいただいた元ボス自作の大き目のお猪口(これだと小さなお猪口2杯分くらい入ります)に替えたのがしっかりバレテました・・・タハ。
先ず、佐久の無濾過純米『澤の花』。このお酒は初めてでした。
ふくよかな酸味があり、お酒だけではなく、料理と一緒に楽しむのに向いています。以前酒屋さんで食事と一緒に飲むのを勧められた「信濃錦」は、やや酸味が勝ち過ぎていて(昔のツーンとするお酒に近い感じです)、私の好みではありませんでしたが、「澤の花」は良いと思います。
木曽薮原の湯川酒造という蔵の、14代ならぬ『第15代九郎右衛門』の純米吟醸ひやおろし。日本酒度が-2度ですので、少々甘めに感じますが、スッキリした吟醸酒。まろやかで口当たりの良いお酒です。何となく、洋食に合いそうな気がしました。
番外品として、須坂の遠藤酒造の『渓流』。“モンドセレクション金賞受賞酒”に惹かれて購入。純米酒かと思ったら本醸造酒で、アルコール度数何と20度。日本酒度の表記はなし。さすがに20度ありますので濃い口ですが、ただ甘過ぎて、残念ながら自分の嗜好とは全く違いましたが、最近話題を集める北信濃の酒蔵です。
(些か長文になりましたので、2回に分けて以下次回にて)
2012年、信州松本より謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
今年は、何としても日本全体が少しでも良い年になると良いですね。
写真は、お正月に向けて、松本駅の自由通路に飾られた空き箱を利用して作ったという獅子舞。そして、我家から近い城山々系からの雪を頂いた常念を始めとする北アルプスの峰々(12月中旬撮影)。気高く、雄々しく聳えています。
また、昨年も掲載しましたが、散歩途中にある紅白の南天。今年こそ、国難を転じる年にしたいものです。
謹んで皆さまのご多幸をお祈りいたします。今年も宜しくお願いいたします。