カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 BoyzⅡMenの東京公演の時に、夕方到着後用事のある家内と分かれ、一人で向かった山種美術館。
都会の美術館なのでもう少し遅いかと思ったら、残念ながら夕方5時閉館で4時半が最終入場とのこと。その時は諦めざるをえませんでした。
      
 山種では、この時期『ザ・ベスト・オブ・山種コレクション』と題して、創立45周年を記念した特別展が開催されていて、この25日までが前半の部。その前半の目玉は速水御舟の「名樹散椿」と竹内栖鳳「斑猫」。いずれも重要文化財。

 どうしても見たくて、農作業も終了し暫し休憩の時期でもあり、この17日に別件で娘と会いに泊まりで上京する家内と一緒に、私は日帰りで同行することにしました。

 長女と落ち合う家内とは新宿で別れ、一人恵比寿に向かい歩いて広尾へ。途中、黄葉した銀杏並木が見事でした。歩道も黄色の絨毯です。      
 前回に比べ、大層込んでいました。展示80点とこじんまりですが、2時間近く掛けてゆっくり鑑賞。山種は近代の日本画中心のコレクションですが、前半だけで重要文化財が4点あるというのも凄いなぁ・・・。
その中に、松本出身で橋本雅芳門下の四天王の一人と嘱望されながら、やがて失踪し台湾を放浪したという西郷孤月の「台湾風景」も展示されていました。
また、村上華岳の「裸婦図」には、昭和50年代の新聞記事の拡大コピーが添えられていました。薄幸な女性が自殺を決意し、たまたま偶然入ったデパートで開かれていた絵の展覧会で、この絵の女性に天国の母の姿を見て、まるでお母さんから励まされたようで死ぬのを思い留まったと、その後感謝の手紙がデパートに届けられたという内容でした。
絵には癒しだけではなく、元気を与えてくれる効果もあります。特に今年は、色んな芸術から元気や生きる勇気をもらった、という方も多いのではないでしょうか。こんな時こそ、音楽や絵画などの出番だと思います。
 近代日本画としては初の重文指定という、速水御舟の「名樹散椿」はさすがに見事でした。また、「斑猫」は栖鳳の住んでいた近くの八百屋の女将さんの愛猫とか。今にも動き出しそうな、そして柔らかなネコの毛の描写が見事です。
もう一つの目玉、同じ御舟の「炎舞」は年明けからの後半展示です。東山魁夷の「年暮る」(第503話参照)も後半展示とか(年明けよりも年末の方が気分的に合いそうなのですが)。

 じっくり堪能した後、喫茶コーナーの和菓子も見事でしたが、一人では食指も動かず、美術館を後に黄色の絨毯を踏みしめながら余韻を楽しみつつ坂道を下って行きました。
(掲載した絵画の写真は、美術館で購入したポストカードから)