カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 週末の昼時、何となく蕎麦が食べたくなり、松本市内では最近の我が家イチオシの『そば処 井川城』に行ってみると、行列で30分待ちとのこと。
「おぉ、今日は混んでるなぁ!」店内には4卓しかありませんが、3回目にして初めて座れませんでした。
駐車場に一杯の車の半分は県外車。人気店の筈なのに今までは混んでいなくて、逆に「大丈夫かな?」と、お節介ながら要らぬ心配をしましたが、繁盛で何よりです。
どんなに美味しくても毎回蕎麦という訳にもいきませんので、蕎麦に限りませんが、自分のイチオシの店がいつまでも続くようにずっと繁盛していて欲しいもの。

 そこで、残念ながら「井川城」は諦めて、昼食後の食料品の買出しもあり、向かった先は渚のスーパーマーケットにも程近い上高地線の奈良井川近くにある『野麦路』。
初めてですが、ここは“蕎麦のしゃぶしゃぶ”と言って良い「とうじ蕎麦」(今は松本市となった野麦峠ふもとの旧奈川村の名物)が有名です(「とうじ」は漢字では「投汁」と書きます。この「投汁そば」は奈川の某旅館の登録商標になってしまっていて、「本場奈川の町興しで使いたくても某旅館以外は使えない」と奈川在住の会社の先輩が嘆いていましたが、ちょっと酷いなぁ。いくら先願主義とは言え、奈川の郷土食であってその旅館のオリジナルじゃない筈なので、地域で取消訴訟を起こせばイイのに・・・と勝手に憤慨しています)。

 「野麦路」の民芸調にあしらわれた結構広い店内は、昼時で半分以上埋まっています。さすがに夏だと「とうじ蕎麦」には食指が動かず、「ざる」と「とろろ」を注文。あっと言う間に出てきました。専門店にしては珍しく「もり」でなく本当に「ざるそば」で、刻み海苔が載っていました(普通は「ざるそば」でも、蕎麦の香りを海苔が消さぬように「もり」にしている店が多く、出す場合も客の好みに任せて薬味として小分けしている店もあります)。
うーん、可もなく不可もなく・・・。不味くはないのですが、(海苔のせいばかりではなく)蕎麦の香りも無く、ちょっとなぁ・・・言うなれば感動がありません。二八の「翁」や「井川城」とまでは望まずとも、難しいですね。たかが蕎麦、されど・・・。冬の「とうじ蕎麦」に期待します。

 さて、家からすぐ近く(1km程でしょうか)に出来た新しいお蕎麦屋さん。
長年の蕎麦打ち好きが嵩じて、ご主人が齢(よわい)70にして自宅横に小屋を建て、一年ほど前に開業したという『手打ち庵 なかじま』。
そのお蕎麦屋さんは、保育園から中学卒表まで11年間通った通学路の途中、下岡田の田んぼの中にぽつんとあります。
しかし、「こんな辺鄙な所で、お客さんが来るんだろうか?」と、横を通る度にヒト事ながら要らぬ心配です。

 そこで休日の昼、試しに行ってみることにしました。
我が家から車で5分とかかりませんし、今なら待つこともないでしょうし、それ程期待せずに普通に食べられたら、時間が無い時(こちらは夜も営業しているとか)に近くてイイかも、という次第。それに、もし「予想に反して」美味しければ(失礼ながら)“めっけモノ!”です。

 聞けば、何と同じ町内にお住まいで、お子さんの敷地にお店を建てられて、ご夫婦が通いで営業をされているのだとか。高台のここからは、東山々系を始め松本の市街地が一望できます(写真は庭に植えられていた蕎麦とベランダ越しの松本市街地の遠景)。
注文は、ざる(大盛り)と辛味そば。いただいた自家製のお漬物をお茶受けに待ちながら、市内のご親戚が作られるという辛味大根をその場で卸してくださいました。夏の土用を過ぎると蕎麦の風味が無くなると言いますが、ちゃんと蕎麦の香りがしました。濃い目のソバツユもしっかりしています。「今日は少し細打ちにし過ぎちゃって」と仰っていましたが、惜しむらくは細打ち故の茹で過ぎか、腰が弱く少々柔らかだったこと。でも、二八の蕎麦としては十分合格。天婦羅もあったので、これなら母も連れて来れそうです(信州の年寄りは、蕎麦には天婦羅が付き物だと信じていますから)。何より、我が家から車で二三分というのがイイ。もう一枚追加しようとしたら、凡その客数に合わせて昼用に打ったそばが終了とのこと。事前に電話をして営業中を確認して行ったので、二人分だけは取っておいていただいたようです。
昼の営業時間の最後だったせいもありますが、他にお客さんも無く、お話好きのご主人がずっと傍で説明をしてくださいました。

 ご馳走さまでした。また来ます。9月末には新蕎麦になるそうです。