カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 5月20日から3日間、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(BPO)の定期演奏会に、客演指揮者として招かれた佐渡裕。
報道によれば、近年では常連のマエストロ・オザワに続き、日本人二人目(??定期演奏会では?・・・。その昔、日本人としては今や特筆モノのバイエルンとドレスデンの両国立歌劇場の音楽監督を務め、更にはチューリッヒ・トーンハレ管弦楽団の主席指揮者を務めるなど、欧州で大活躍された故若杉弘さんや、また佐渡さんと同じ京都出身で、当時のカラヤンコンクールに優勝した小泉和裕氏なども振った筈ですが、特別演奏会だったのでしょうか?)の快挙として話題になりました。
さて今回のメインは、ショスタコの交響曲第5番『革命』。

 そのリハーサル風景を交え(初めてその一部始終の撮影が許された由)、本番までの道のりを追ったNHK-BSプレミアム『情熱のタクト-ベルリン・フィルへの挑戦』が6月12日に放送され、農作業のため録画してもらい先日視聴しました(なお、前日の土曜深夜には『プレミアムシアター』で演奏会のライブ録画も放送されました)。
BPOは、おそらく世界でも最も民主的に運営されているオーケストラの一つだと思いますが、10年ほど前から楽団員が客演指揮者を指名推薦できる制度があり、今回は主席コントラバス奏者のサクサラさんが佐渡さんの「新世界」のCD(インタビューでサクサラさんが手にしていたのは、シエナのCDでしたが、もしかしたら「新世界」はBBCフィル?)を聴いて推薦したのだとか。

 番組は、一編のドキュメンタリーとしても見応えがあり、特にリハーサルでの火花散るような緊迫感の中に引きずり込まれるように、あっと言う間の1時間半でした。

 “ファースト・コンタクト”-最初の10分間で全てが決まるという2日間のリハーサルの中で、佐渡さんらしいエネルギッシュな指揮振りと、天下のBPOに対しても、真摯に曲に向かい、ストレートに対峙しながらもやがて彼等に受け入れられていく様が画面から伝わってきます。しかし、リハーサルで全てを見せてはいけないのだとか。本番でのインスピレーションなど何かを残しておかないといけないのだそうです。

 そして迎えた本番。最終日の演奏終了後、何度かのカーテンコールを経て団員が退場し誰も居なくなったステージに、スタンディング・オベーションと共に耳の肥えたベルリンの聴衆からの鳴り止まぬ喝采の拍手に、佐渡さんは再度カーテンコールで呼び戻されます。良かったですね(この模様は前日のプレミアムシアターだったかもしれません)。
地元紙でも、“大勝利(Triumph)”として「ベルリン・フィルが初めての指揮者に対し、いつもこれほど献身的に演奏する訳ではない。」との講評が掲載されたそうです。

 当日の第一コンサートマスターを務めた樫本大進さんが、インタビューで語っていた話が、私としては一番印象的でした。「入団して初めて分かったのですが・・・」と前置きをして曰く、
「このオケの恐ろしいところは、団員が受け入れ難い指揮者だと判断した時は、決してイジメではなくBPOとしての演奏水準を保つために、団員全員が阿吽の呼吸で演奏の途中から指揮者の指示を無視して演奏してしまうことです。」
団員に世界一流の演奏家が揃い、“世界最高峰のオーケストラ”と称されるベルリン・フィルの凄さを改めて認識させられたエピソードでした。

 再演の可能性は、演奏後の団員のアンケート結果も含めて決まるそうです。演奏会終了後、ソリストとしても超一流のクラリネット主席のマイヤー、同フルートのパユ氏等楽団員が佐渡さんの楽屋に次々と祝福に訪れていましたが、またいつか客演指揮者に招かれるとイイですね。
10月のDSO松本公演も期待してまーす!(幸い抽選漏れにならず、先日チケットが手許に届きました)。

 さてBPO定期への次なる日本人指揮者候補は・・・?
同じドイツで活躍する上岡(敏之)さん、いつか指名されないかなぁ?
何年先でも良いので、BPOが彼の棒にどう反応するか、是非見て(聴いて)みたいものです。
【追記】
因みに同じの日の早朝、NHK-BS「プレミアムクラシック」で放送された、N響4月定期でのサー・ロジャー・ノリントンの振った「巨人」も良かったなぁ。感動的でした。通常と異なる楽器配置に驚きましたが、最後立ち上がって演奏したホルンパートも上手かった!
一度(しかも途中から)聴いただけですが、N響との相性も凄く良さそうで、包容力に溢れたノリントンさんの指揮振りが何とも素敵でした。ウン、生で聴きたかった!

コメント

ご無沙汰しています。
佐渡さん、この頃、本も出版されましたね。
「僕が大人になったらー若き指揮者のヨーロッパ孤軍奮闘記」PHP出版です。
ブログ記事のベルリン・フィルのことなども、その頃のことが書いてあります。
東京に居た時、シエナウインドオケ&佐渡さん、最初の頃から行っていました。当時は席も空きがあったんですが、今では考えられませんね。毎年行っていましたが、ずいぶんご無沙汰です。

10月のチケットはとれていません。もう無理でしょう。先のことですが、コンサートノ様子、記事で楽しみにしています。
こちらこそ。
松本公演は、S席はまだ残っているようです。他は全て売り切れかもしれません。
また別に書きたいと思いますが、ハーモニーホールの公演が全て中止になりそうで、DSOがもしかしたら今年唯一のコンサートになるかもしれません。

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