カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
初夏の候。この時期、山国の“食”の楽しみは何と言っても山菜です。
タラノメやコシアブラ、コゴミ、ワラビにゼンマイ。そしてウルイ、ネマガリダケに、行者ニンニクや山ウドも・・・。
タラノメは“山菜の王”、コシアブラが“山菜の女王”と呼ばれるそうですが、個人的なお薦めは、コゴミとネマガリダケ。さしずめ“山菜王子”か“山のプリンセス”でしょうか。
市内の料理屋さんや居酒屋でも、この時期は山菜が出される所も少なくありません。中には、ご主人が自ら山で採って来られた地のモノを出してくれるお店もあります。また、今では野生ではなくても栽培モノ(恐らくタラノメは殆どがハウスもの)がスーパーにも出回りますので、わざわざ深山に分け入らなくても(多少野性味・・・苦味などに欠けますが)、家に居ながらにしてチョッピリ山の旬を味わうことが出来ます。
一昨年はスーパーに並んだ青森産のネマガリダケ(チシマザサという笹の一種)が昨年は入荷が無く残念でした。灰汁があまり無いので、皮付きのまま焼いて、味噌を付けて食べると最高です。タラノメはやはり天婦羅で。コゴミは茹でてマヨネーズだけが個人的には一番美味しいと思います。
そう言えば、昔父がリンゴ園の片隅にタラノ木を植えました(簡単に挿し木で、どんどんと株分けして増えていきます)が、山のモノと違い苦味が全く無いので「旨くない!」と言って、結局全て切ってしまいました。
最近、母屋の倉庫の裏に何故か自生しているタラノ木を発見!まだ芽が少ないので今年は採らずに、来年株分けしていたら少しお裾分けでいただこうと思います。ムフ、楽しみ!
(写真は大分伸びて既に葉が開いたタラノ木ですが、この幹のトゲトゲが特徴で、萌芽状態が似ているウルシなどと見分けられます。芽を全部採ると木が枯れてしまうので、幾つか必ず芽を残しておくのが山菜取りでのエチケット)
日本では古代から知られた野草だそうで、古くは古事記にもその名が記載されていると言います(『 いざ子ども 野蒜摘みに 蒜摘みに 』応神天皇御歌)。
日本列島のみならず、中国から朝鮮半島にも自生しているそうですので、日本中どこでも、その辺の畑や田んぼの畦道、都会でも公園などで見つかるかもしれません。
この野蒜(ユリ科ネギ属の多年草)、松本地方では“ネンボロ”と呼びます(多分県外に進学するまで、「野蒜」という単語は私の辞書には無かったと思います)。
昔、リンゴ園でたくさん摘んで来ては、祖母や母が「ぬた」(或いは味噌炒め)にしたり、ただ刻んで醤油と鰹節を掛けたりして食卓に出してくれました。祖父や父がネンボロの「ぬた」で美味しそうに晩酌をしてましたっけ・・・。
そこで、今でも我家のリンゴ園の一角に毎年生えますので、今年は草刈の時も刈らぬように気を付けて残し、太く成長するのを待って摘んできました(夏になると小さな葱坊主の様な花が咲いて茎が硬くなってしまいます)。小さなモノは、来年用に増やそうと野菜畑の隅に移植しておきました。
野蒜は、このエシャーロットの様な鱗茎も食べることが出来ます。
「ぬた」は時間が掛かり面倒なので、ただ刻んで醤油を掛けることにします。
でも手抜きではなく、これが素朴ですが一番美味しいと思います。
野趣満点で、小泉武夫センセではありませんが、ご飯に載せればそれこそ何杯でも胃袋めがけてすっ飛んで行きます(小泉センセほどは食べられませんが)。
そして鱗茎は味噌マヨネーズを付けていただきます。この日は、スーパーで売られていたコゴミも買ってきて、茹でてマヨネーズでいただきました。
ネンボロとコゴミ、この時期ならではの里山の恵みをいただきます。
大袈裟ながら、日本人に生まれた、そして田舎に暮らす幸せを感じるひと時です(但し、家内の食指は全く動かぬようで、母と二人でいただきました)。
ネンボロは、納豆と混ぜたり、づけの鮪と和えても良いかもしれませんね。今度試してみようかな?・・・っと。
そして、家内が実家から頂き物の諏訪市後山地区の天然のコゴミをお裾分けでいただいてきました。「おぉ地モノだぁ!」
また夜の楽しみが出来ました。ムフフ・・・。