カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
今年の松本の桜は、今のところ平年並み(但し昨年よりは5日遅れ)の4月11日が松本城の開花予想日です。それに先立ち、市内では一番早く咲くと言われる片端のお堀の桜が、7日にほころび始めたそうです。(我家のヒガンザクラも漸く10日に開花しました)
普段なら日本全体で開花を待ちわびる桜ですが、今年は大震災の直後でもあり、また電力不足の影響で東日本は恐らくどこも夜桜のライトアップも控え目でしょうし、何だか気分的にも日本全体が素直に花を愛でる気持ちにはなかなかなれないのでしょうか。でも、バカ騒ぎでなく、それぞれに桜に想うくらいの気持ちはあってイイのではないかと思います。
『さまざまな こと思いだす 桜かな』(芭蕉)
日経の『私の履歴書』に建築家の安藤忠雄さんが書かれていましたが、阪神大震災で瓦礫の山となった神戸で、春白い花を咲かせたコブシを見て、被災された地元のご婦人が「今年もちゃんと咲いてくれて、勇気付けられます」と言うのを聞いて、仲間を募り、亡くなられた方の倍の数、13000本近いコブシの木を神戸に植えようと活動をされたのだそうです。
津波により大きな被害を受けた三陸や、原発事故で退避を余儀なくされた福島でも、やがて桜前線は東北地方を北上し今年も花を咲かせるでしょう。海水にまみれたための塩害や、原発の事故にも負けずに、桜は災害直後のこの春も、きっと根を張ったそれぞれの地で花を咲かせることでしょう。
時として自然の持つ恐ろしさに襲われようと、一方で、どんなことがあっても止めずに当たり前のように繰り返される自然の穏やかな営みが、やがて安寧を与えてくれるでしょう。その意味で、“当たり前の日常”が一日でも早く被災地に戻ることが何よりも大事なのだと思います。
今年、被災地は“鎮魂の桜”かもしれませんが、いつか三陸の町が復興し、街中に桜が咲き誇るようになることを祈ります。
今年は無理でも、また例え何年かかろうとも、やがて国を挙げての復興支援が終わったら、神戸のコブシのように、今度は犠牲になられた方の倍の数の桜の苗木を日本中から被災地に贈れたらイイですね。そして、被災地が桜の花で埋め尽くされたら・・・。
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