カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 まだ10日前のことだと言うのに、11日を境に遠い昔のことだったような気がします。

3月9日の水曜日、県文(ハーモニーホールの音文に対し、長野県松本文化会館)で、佐渡裕指揮BBCフィルハーモニックの演奏会がありました。
話題の辻井伸行をソリストに迎えてのチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と、「新世界」の組み合わせ。2011年、シーズン最初の楽しみにしていたコンサート(第422話参照)です。

 当日、6時半の開場に合わせて少し早めに上がらせていただき、家内といそいそと出かけました。
演奏は勿論ですが、開演前のロビーの喧騒もワクワクとした期待感が高まるようで好きなひと時です。この日のチケットは、早々と完売だったようです。
ところが時間になっても一向に会場が開きません。ロビーに2000人近い聴衆が溢れます。何と不審電話があり、会場を点検中とのこと。
家内曰く、「きっと、抽選でチケット外れた人のイヤガラセだよ!」、「そんな、アホな・・・?」不届きな輩がいるものです。
ロビーに会社の友人もお嬢さんたちと来ていて、彼のお嬢様は確か桐朋のピアノ科在学中だった筈。そうか、皆さん辻井さん目当てなんですね。
結局30分遅れの7時半に無事開演しました(写真は休憩中)。

 パンフレットに拠れば、BBCフィルハーモニック2011ジャパンツァーでの松本はBプロですが、Aプロはラフマニノフの2番と幻想交響曲の組み合わせとか。あぁ、個人的にはこっちの方が良かったのになぁ、残念!
幻想は、赴任先のシンガポールで、今は亡き若杉弘さん指揮のトーンハレを聞いただけ(ん?新世界も京都での学生時代、泣けだしの生活費を切り詰めて聴きに行ったノイマン&チェコフィルだけだったかも・・・?)
同じドボルザークなら、8番「イギリス」の方が相応しいのに、と思ったら、このコンビで新世界とチャイコの1番もCD録音していたんですね。ナルホド。

 さて、当日は英国のオケらしくブリテンの「4つの海の間奏曲」で始まり(初めて聴きました)、続いてチャイコの1番。アンコールは同じくチャイコフスキーのピアノ曲「トロイカ」とのこと。
演奏後、ソリストを称え、聴衆の拍手に応えるように佐渡さんが辻井さんの手を高く差し上げます。そう言えば、彼のCDデビューも(クライバーンコンクール前)佐渡さんの指揮だった筈。二人の信頼関係が感じられました。
休憩を挟み、新世界と、そしてアンコールもドボルザークのお馴染みのスラブ舞曲の8番という当日のプログラム。終わったのは10時でした。
佐渡さんが、アンコール曲紹介の前に「皆さん、今日は遅くまで大変お疲れさまでした!」との挨拶に、また拍手!
演奏の皆さんこそ、むしろお疲れさまでした。何度かのカーテンコールの後、佐渡さんが促し、オケの皆さんが席を立たれても満場の拍手は鳴り止みまず、それに応えて団員の皆さんは手を振りながら袖に退かれていきました。
彼らはまだツァー中なのでしょうか、それとも無事英国へ戻れたでしょうか?

 さて、辻井伸行のピアノ。この人は、どうしてこんなに一音一音がキラキラと“粒立って”いるのだろう?
目で楽譜を見て覚えるのではなく、一音一音耳で聴いているからなのでしょうか?出だしこそ多少音の輪郭がぼやけていましたが、第一楽章のカデンツァ辺りから音が粒立ってきました。弱音でもそれは変わりません。彼の性格そのもののような純粋さが音となって零れ出るようです。
今はまだピアノだけの曲の方が、彼の良さが表れるような気がします。弱冠22歳、将来が楽しみです。

 佐渡さんの指揮。聴き慣れたメロディーが、思いの他ゆったりとしたテンポで始まり、アゴーギクを効かせながらのTVでも見慣れたダイナミックな指揮振りです。何となく、どうしてもシンフォニックバンドを連想してしまうのは私だけでしょうか。当日は雪が舞うほど寒かったので暖まっていなかったせいか、ちょっと金管が荒かったな。でも、やっぱり生はイイなぁ!因みに、家内はブリテンが一番良かったとのこと。ほほー!

 当日配布されたチラシによれば、10月22日(土)に県文で、佐渡裕指揮ベルリン・ドイツ交響楽団の2011ジャパンツァーの演奏会があり、珍しく松本公演がツァーの初日だとか。しかも、メインがチャイコの5番♪
学生時代、生まれて初めて買ったLPがこの5番(カラヤン&BPO)でした。
イイなぁ!どうしようかなぁ、でもなぁ・・・。翌週には音文でのOEK。
うーん、ハーモニーメイトの幾つかを諦めないといけないかもしれません。
嬉しい?悩みがしばらく続きそうですが、海外からも含め、演奏会も次々と中止されているようです。
一日も早く、またこの国に普通に音楽の流れる日が来ることを願っています。