カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 石川県立門前高校ソフトボール部を描いたドキュメンタリー番組、フジTV系列12月30日放送の『私たちの時代』を撮り損ねたので、第424話で書いた「再放送熱望!」。
TV局の人が、万が一にでも見てもらえればと期待したのですが、(当然のことながら)そんな筈も無く、TV欄には再放送の案内も無く・・・。

 ところがあろうことか、ちょうど海外出張で東京へ移動する前日の土曜日、リンゴの剪定をしていて不在中に電話があり、家内が出たところ・・・、
「ネットでご主人のブログを見つけたので、番組を録画したDVDをお送りします。」
という連絡が、TV局ではなく何と門前高校そのものの先生からあったとのこと。しかも、「それでは」と家内が着払いでとお願いすると、
「TV局からいただいたDVDを、関係者に配布するためにコピーしたのがまだあるので不要です。」
とのお話だったとか。
家に戻ってその話を聞いて、俄かには信じられませんでした。

 翌日、前泊での羽田移動のため、昼頃、不在中のストーブ用の薪を運んでいたところ、松本ナンバーの見慣れぬ車が停まり、
「この近くに××さんという名前の方はおられませんか?」
と見ず知らずの若い女の子に聞かれました。
「それって・・・、私ですが・・・?」
「えっ、あぁ良かったぁ!」

何事かと思えば、彼女は北安曇郡の池田町の出身で、何と門前高校のソフトボール部員なのだとか(同乗していたお姉さんも同校OBで、今は松本大学ソフトボール部在籍とのこと)。
たまたまこの日、ご両親が能登まで迎えに来られて、車で信州へ帰省すると知った門前高校ソフトボール部の監督でもある室谷先生とコーチの道先生から、「だったら、今日届けば海外出張前に見られるかもしれないから」と彼女がDVDを託されたのだそうです。

 しかし同じ信州とは言え、池田町と松本では20km以上離れていますし、もし糸魚川から姫川沿いに遡って来れば、松本は池田町を通り越しての遠回りになってしまいます。
突然のことに驚いて、こちらのお礼もそこそこに、
「出張に出発される前に、お渡しできて良かったですぅ!」
と彼女は爽やかな笑顔で、車に乗ってまた戻って行かれました。

 見ず知らずの人間に、しかもネット検索をしてたまたま当方のブログをご覧になっただけでこんな対応をいただき、こちらは何だか夢を見ているようでした。
しかも封筒には、ご丁寧に私宛のメッセージと共に、出張先でももし見られればと、何と「出張先用」と「自宅用」と2枚DVDが同封されていたのです。

 信州と同じ、奥能登という田舎の、しかも全校生徒が200人足らずという過疎地の家族的な小さな高校だから・・・と言ってしまえばそれまでです。
でも、先生も生徒さんも何も不思議と思わずに、こんな一銭の足し、一文の得にもならない行動を自然にするような・・・。
「イイ高校だなぁ!」
こんな先生方が居られて、そしてその先生に育てられたこんな生徒さんたちがいる高校を、どうぞ大事に、大切にいつまでも守り続けて行ってください、と祈らずにはいられませんでした。

 頂いたDVDは、生憎、出張先のホテルでは見られそうも無く、また出張後も週末もリンゴの剪定で終日追われて時間が取れず、漸く昨日剪定もほぼ終わったので、門前高校の皆さんに対して敬意を表するべく、居住まいを正しTVと正対して2時間半拝見させていただきました。
 見終わった後の感動を一言で表すのは難しいのですが、激するでもなく、煽る事もなく淡々と進んでいく映像が静かな感動を与えてくれました。そして、先生方の生徒さんへの叱咤激励で、私自身も何だか勇気をもらったような気がしました。
そしてもう1枚は、ちょうど帰省していた娘に「人生、もし苦しいことがあったら、その時に見るように」と渡しました。

 門前高校の皆さん、本当にありがとうございました。
これからも陰ながら応援しています。どうぞ頑張ってください。
 遠く能登から、DVDと共に皆さんの思い遣りと、そして元気までも一緒にいただいたような気がしています。 ― 深謝

 最近、心が暖かいのは春めいた陽気のせいでは無いようです。