カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 生産者としては、お送りしたリンゴの出来栄えについての感想や反応に一喜一憂する毎日でした。

 サンふじは、リンゴ採りから、選別、ご贈答用・ご自宅用の梱包発送と、そして贈答用にならないリンゴはJA(農協)への出荷と作業が続きます。
それも普通の店頭に並ぶモノも、レギュラーと青実果(色付きの悪いモノ)、更には加工用と分かれていて(我家はご注文で殆ど贈答用は埋まってしまいますが、それで全て賄えない大きな果樹園は、農協への「上物」出荷等、もっとたくさんの種類に選別して出荷します)、しかも出荷期間も例年12月10日前後で終了となりますので、選別発送と出荷の全てが同時進行で、どこのリンゴ農家もこの時期は目の回るような忙しさです。しかも当園のように、平日は帰宅後しか作業できない身では、連日夜遅くまで作業が続きました。

 そのため、あってはならない事ですが、私が傷を見落としたために、不良品が混じってしまうということが昨年一度ありました。

 気を付けていたつもりが、今年も、H/P開設以来当園のファンになっていただいて、毎年ご注文をいただいているお得意さまからのお歳暮のお届け先である一軒のお客様から、同様のお叱りのお電話がありました。
当然のことながらご立腹で、お客様対応を一手に引き受けている家内がひたすら深謝し、一応何とかお許しいただいた後、今度はお送り主様にも事情をご報告の上、お詫びを申し上げました。

二人ともショックにシュンとして、沈黙の時間が流れます。
「・・・、もうリンゴ止めようかぁ?こんなに努力しても意味無いし、もう木を切っちゃった方が楽だぁ!」
と半ば自暴自棄になった私に、家内は、
「何言ってんのヨ!もう二度と無いようにすればイイじゃないの!午後もまだ発送しないといけないんだから。前向きなヨ!」
と、矢継ぎ早に叱咤の嵐・・・。

次女の就活が停滞している時は、子供を電話で叱咤激励した後、メゲる家内を励ましていたのが、今回は全く逆です。
それに、リンゴなど私がヤリタイと言うから手伝ってくれているのであって、農家出身でもない家内自身がやりたい訳ではないのです。

家内の用意してくれた昼食のラーメンも、情け無いことに麺は一本も喉を通らずスープを飲んだだけ。
打ちひしがれつつ作業場に戻り、溜息をつきつつも何とか当日分を発送しました。

 数日後、そのお送り主様から自筆のお手紙が届きました。

「ねぇ、読んでみて」

そこには、当園の「蜜の入ったリンゴを口に含んだ時、爽やかで甘く広がる味にいつもながら満足しております。」と書かれていたのに続いて、
「どうぞ自信を持たれて頑張ってください。」

嬉しくて、正直涙がこぼれそうでした。
こちらの一方的なミスです。ある意味、お送り主様の顔に泥を塗り、非難されて当然なのに、それを逆にこんな風に励ましていただくなんて・・・。
自分に言い聞かせるように、何度も何度も読み返しました。

家内によれば、お詫びのお電話では、ご自宅には秋田からも「ふじ」が毎年お歳暮で贈られてくるそうですが、「お宅のリンゴは、本当に比べモノにならないくらい美味しいんですヨ!」と仰っていただいたそうで、それが「自信を持ちなさい」という、長年の父の丹精と土壌の良さとお天道様に助けられているだけの、半人前のリンゴ農家三代目への激励だったのでしょう。

 今年も、色んなお客様から嬉しいお便りを戴きました。励ましてもいただきました。
お客様に二度とご迷惑をおかけしないように、心して対応いたしたいと思います。

 本当にありがとうございました。
土と太陽と、そして病床の父に感謝しつつ、もう少し家内と頑張ってみます。