カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
一週間ほど前の週末に、授業が空いて次女が帰省。
少しはノンビリしたかったでしょうに、敵もサル者、家内に命じられ、土曜日一日リンゴの葉摘み作業を手伝ってくれました。
そこで、翌24日の日曜日も午前中の作業の後、慰労に乗鞍高原の十割蕎麦の「中之屋」へ。母も一緒に紅葉見物も兼ねての小ドライブです。
島々谷を過ぎる辺りから、少しずつ木々が色付き始め、稲刻(イネコキ)、水殿(ミドノ)、奈川度(ナガワド)と梓川渓谷沿いに連続する東京電力の3つのダム湖周辺は、登るに連れて次第に色付きも増していきます。まだ黄色が中心で、紅色が濃さを増すのはこれからのようです。どうやら10月下旬頃が見頃でしょうか。
乗鞍までの沿線で一番の景観は、前川渡から乗鞍方面へ左折し、梓川の渓谷を渡る橋の周辺。ダム湖の(奈川渡ダムで堰き止められた一番大きなダム湖で、梓湖と命名されています)渓谷美に紅葉が映え、神秘的です。錦の屏風のような盛りの頃はさぞかし見事でしょう。
娘曰く、「ミステリードラマのロケに使えそうだナ!」。何でも、殺人事件のモチーフに、紅葉を背にして橋からダム湖に人が転落する場面とか・・・。ナルホドね、でも色気無いなぁ。
途中「お腹がすき過ぎて気持ちが悪い!」と恒常的欠食児童が一名。カーブの続く山岳路で、運転のせいにされても困るので、止む無く稲刻(蕪菜の一種の稲刻菜と風穴で有名)の道の駅に立ち寄り食物補給のため休憩。ゆっくりと走ったので、松本の自宅から1時間半弱で乗鞍高原へ到着しました。松本ICからなら1時間のドライブでしょうか。
既に2時近いと言うのに、番所バス停前の「中之屋」の駐車場は県外車で満杯でした。道路を挟んだ酒屋さんにも駐車可とのこと。
こちらのお蕎麦は、昔から蕎麦栽培が盛んな乗鞍高原産の地粉(蕎麦は自家栽培もされています)を使った十割そば。セイロではなく、お皿に盛って出されます。この10月20日から新蕎麦になったとのこと。
定食には、皿そばと岩魚か山女の笹焼(内臓を取ってお腹に味噌を塗った岩魚を笹で包んだ蒸し焼き。味噌とほんのり笹の香が効いています)に煮物などの小鉢が。おろしそばセットは、とろろの冷たい汁そば(温もあり)と自家栽培という辛味大根の皿そばという2種類の蕎麦が堪能できます。また定食も+200円の「松」コースは小振りのとろろそばが追加されます。そして、どちらも自家製の漬物が付いています。
蕎麦はつなぎを使っていないのに、短く切れていないのが凄いですね。これも水車でゆっくりと挽いているので、粉が熱を帯びないからなのだそうです。そして、十割の新蕎麦らしくそばの香りもして、美味しくいただきました。欠食児童も満足のご様子。最後に濃い目の蕎麦湯もいただいて、ご馳走さまでした!
家族全員で対応されているようですが(注記)、忙しい中にも、洗練された有名店とは違うほのぼのとした田舎家の雰囲気で、また手際も良く、列になっていてもそれ程待たずに食べることが出来ました。蕎麦を待つ間、お茶と一緒にたまり漬の野沢菜が「お茶うけ」に出されます。
そう言えば、「中之屋」は二ヶ月ほど前にテレ東系BSジャパンの「いい旅、夢気分」の中でも紹介されていましたっけ。
本棟造りを模したお店の横には、今も粉挽きに使われているという水車小屋が。蕎麦栽培の盛んな乗鞍には、昔15基ほどの水車があったそうですが、機械化の中で、今ではここだけとか(注記)。
生憎の曇り空で乗鞍岳山頂は望めませんでしたが、周辺の紅葉も見事で、新蕎麦を満喫することが出来ました。
梓川渓谷の紅葉の盛りに、またもう一度来たいものですね。
【注記】
こちらの蕎麦は、18歳で嫁入りし80歳で亡くなるまで蕎麦を打ち続けた、その道60年という中之屋のお婆ちゃん直伝とか。
乗鞍地区も、昔は蕎麦が主食だったと言いますので、農家のお嫁さんは蕎麦打ちが出来て一人前だったのでしょう。
地元で蕎麦集落として有名な山形村の唐沢地区も同様で、昔の民家で蕎麦を出す14軒中1軒を除いて、今も皆女性が昔ながらの蕎麦を打っています。
なお、店横の水車小屋はお客様に見ていただくために数年前に建てられたそうで、実際毎日粉を挽いている水車小屋は店舗から少し離れた所にあるのだとか。