カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 第298話で紹介させていただいた、高田郁著『澪つくし料理帖』(時代小説文庫)。ストーリーも味わい深く、とりあえずの3冊を二度読破しました。

 一話毎に、脇役?となる料理が登場し、巻末にそのレシピが掲載されています。舞台は江戸時代ですので、その時代にある材料、器財で調理できることが大前提。例えば夏に冷蔵庫で凍らせてというのは無理な話。

 そんな中で、食指をそそられ、「ヨシ、作ってみよう!」と思ったのが第二巻『花散らしの雨』の第4話に登場する「忍び瓜」。

 町民には大人気なのに、輪切りのキュウリ(と蛸の酢の物)が葵のご紋を連想させるとして、侍が敬遠し客足が減った「つる家」。

 手が滑って熱湯に落としてしまったキュウリを、捨てるのが勿体無いと、とりあえず残っていた酢の物の汁に入れ粗熱を取っておいたのが殊更美味しかったことから、今度はご紋に見えぬようにとキュウリを叩いて、調味料を工夫して提供し、侍にも評判を呼ぶというストーリー。夏の(冷酒の)ツマミに向いてそうな一品です。
因みに、中華料理ではキュウリを酢豚などに入れて炒めることもありますので、加熱するのは珍しいことではありません。また叩いた方が、葵のご紋はともかく、漬け汁に触れる面積も増えますので漬かり易く、これも良くある調理法でしょうか。そう言えば、昔、叩いたキュウリをサラダドレッシングのピリ辛の中華味で和えて一品(ビールのツマミ)としましたが、同類です。

 早速巻末のレシピに沿って、キュウリを叩き、4cmほどに切って、さっと熱湯で湯がき、胡麻油を隠し味に、出し汁や鷹の爪(赤唐辛子で代用)、砂糖、酢などを混ぜた下地に漬け、冷蔵庫で1時間ほど漬け置きして完成。簡単です。
      
 酸味が効きサッパリしていて、夏向きです。でも世界各国の調味料や様々なレシピの溢れる“現代での食味”としては、まぁこんなモンでしょうか。
もう一工夫してみようと思います。さてと・・・?