カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
冬のこの時期、朝松本駅に着く7時頃、天気の良い日は朝日に照らされる西山の北アルプスがピンク色に染まっています。特に火山らしいなだらかな山容で真っ白に雪を被った奥の院、乗鞍は神秘的なほどです。尾崎喜八が尖峰(第72話参照)と称した男性的な山容とは対照的に、丸みをおびた乗鞍岳だけは、むしろ女性的な感じさえします。とは言え主峰剣ヶ峰は3026mと、北アルプスの中でも9番目の高さを誇ります。
(1月27日朝7時、松本駅アルプス口より撮影。乗鞍が拡大したためボケていますが雰囲気だけでも分かっていただければ)
そんな山並をゆっくり見ている時間も無く、足早にアルプス口から改札へ急ぐ私とは逆に、週末近くなると冬山装備を背負ってゆっくりとアルプス口へ歩かれて来る中高年の登山客の方が目立ちます。これから目指す峰や、山の天候を確かめておられるのでしょうか。中には単独行の方も。今年の山は雪も多く荒れ模様とか。「どうぞ無事に帰還して松本駅の看板(注記)に触れてください。」と祈りつつ急ぎ足でホームへ・・・。自分は、やっぱり下界から見上げるだけでいいや・・・。
さて、常念を始めとする表銀座の峰々が、紅く(やがてオレンジ色に)染まっている様子は、日々ここ松本に暮らす幸せを感じさせてくれます。黒々とした山肌の夏よりも(夏は雲に覆われて見えないことの方が多いこともありますが)、朝焼けが映える白い冬山の方が、モルゲンロートとしては印象的。“岳都”松本の冬ならではの恩恵です(・・・でも寒い!)。
電車に乗っても、山が綺麗な朝は、暫くは新聞や本を読むのが勿体無くて、車窓から山が良く見える平田駅くらいまで、ずっと北アルプスを飽きずに眺めている日もしばしば。
英語にすればモーニングロード、朝の道。何となく、旧制高校生ではありませんが、格好をつけてドイツ語で言った方が相応しいように感じますね。
因みに夕映えはアーベンロート。きっと、北アルプスを東側から仰ぎ見る富山辺りからの立山連邦などはきっと綺麗でしょうね。
【注記】
第1話でもご紹介したように、JR松本駅の正面に掛かる古い木製の看板は、新駅舎建築と共に屋上に大きな看板が付けられたため、一旦外されたのですが、北アルプスから下山して来てこの看板に触れ初めて無事を確認し合うという登山客からの強い要望で、また再度駅舎に掛けられたと言います。