カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
秋も深まり(先週突然に冬将軍の襲来がありましたが、二日間だけでまた秋に戻りました)ここで我家の渋柿も収穫期を迎え、我家でも干し柿(吊るし柿)用とし、余ったのは横浜の叔母へ送ったり、親戚へ配ったりします。
昨年は柿の「なり年」でしたので、その反動で今年の数は少なめです。
昔は、甘柿を採って食べるのが子供心に楽しみでした。どこどこの家の柿はすごく甘いとか、あのウチのは渋柿だとか、子供たちは皆で情報収集をして、ちゃんと頭の中に集落の「柿マップ」がインプットされていたように思います。また大人たちもそんな子供たちを叱りもせず(昔は、ヨソの家の子であろうとなかろうと、地域の皆で子育てをするように「叱るべき」はしっかり叱られましたが)、黙って見守ってくれていたような気がします。
今ではスーパーなどに本場の富有柿がたくさん並んでいますので、地元の甘柿などは見向きもされなくなりました。
さて、柿の葉の落葉をご覧になったことがありますか。
まるで雨が降るかのように、次から次へと赤く色付いた柿の葉がそれこそ“サラサラ”と音を立てるように散っていきます。その様は“散る”というよりも、まさに“降る”と言った方が近い感じがします。特に風の無い日は、まるで不思議な光景を見るようで、幻想的ですらあります。
ただ、家に不在の平日だと気付かないことの方が多いのですが、前日とはうって変わって葉が落ちた柿の木の様子からは、恐らく一日の中の僅か数時間でその不思議な“現象”は終わってしまうように思います。我家のベランダから見える、お隣の柿木。それは初霜の影響もあったのか、4日の日に“起こった”ようでした。
朝、散歩と食事を終わらせたナナを母の所に届けた家内が、ちょうどそんな瞬間に遭遇したようで、今朝二匹の散歩途中で住宅街の柿の木を見ながら思い出したのか、「ねぇ、柿の葉の落ちる様子って知ってる?」と自慢そうに聞いてきました。(フンと鼻で笑って)「当ったり前じゃん!」と説明すると、「ナァンダ、知ってたんだ・・・」と残念そう。でも知らない(見たことが無い)人の方が断然多いと思います。
斯く言う私も、何年も前に、早朝チロルの散歩を終えてベランダで一休みしている時に、その不思議な光景に遭遇したのですが、先ず生理的に理解できませんでした。風があれば、何となく経験則で「風のせいで」と納得してしまうのですが、無風なのにサラサラと落ちている葉を見ていると、結局万有引力の存在に思い至るしかありませんでした。そう思いながらも、呆然と柿の葉の“雨”を見つめていたように思います。
『 柿落ち葉 紅いの雨の 降る如く 』(字余り)