カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
軽井沢ついでに、昨年の9月の連休(最近では旅行業界の販促のために、シルバーウィークと呼ぶのだとか)に行った時の話題を一つ。
昨年9月の三連休に、帰省してきた下の娘と(家内の指示で止むを得ず)母も連れて、チロルとナナを動物病院に預け、軽井沢へ二泊三日で出かけました。本当はお盆休みに行きたかった(らしい)のですが、(会社の健保が)会員のリゾートホテルが一杯で、9月になりました。ホテルは信濃追分にあり、軽井沢からは離れているのがやや難点(軽井沢駅との間に無料シャトルバス運行)ではありますが、会員価格と林間に点在する充実した施設を考えて・・・(ここからは晴れていると浅間山が正面に望めます)。
二日間のアウトレットでの買い物三昧が目的の次女と家内とは別行動を命じられ、止むを得ず年寄り連れとなって軽井沢を「銀ブラ」することに。
初日は皆でアウトレット内のレストランでの昼食後、別れて徒歩で散策がてら並木道を抜け老舗万平ホテルの喫茶室を目的に。二日目は距離があるので、車で旧三笠ホテルと白糸の滝へ。昼食は三笠ホテルの先にあった茶屋にて。蕎麦そのものは今ひとつでしたが、裏庭の戸外の席は、すぐ横に谷川が流れていて、せせらぎの音を聞きながらの食事は、軽井沢らしく清涼感がいっぱいでした。
9月三連休の軽井沢はどこもかしこも人の波。地元の方曰く、お盆並みの混雑とか。
万平ホテルは、宿泊客よりむしろ観光客の方が多い感じで、玄関先でホテルスタッフが気軽に声がけして、皆記念写真をとってもらっています。玄関ホール横には、画廊があり、一千数百万円の値札が貼られた大観などの国内外の大作がずらり。何故こんな所にと思いましたが、別荘族が手放したりするのだとか。納得です。お目当ての喫茶室(テラス・カフェ)は順番待ちで、いつになるかも分からないので断念し、並木道を通り教会(ユニオン・チャーチ)を目指して軽井沢銀座方面へ。そこで、歩き疲れた母が愚痴るので、やむなく教会近くに喫茶店を見つけ入店。
そこは、管球アンプとアルテックA5(の他にElectro-Voiceが一対)での音楽が静かに流れるこじんまりした喫茶店で、ご夫婦で経営されていて観光客というより地元の方々の「憩いの場」という感じでした。喫茶コーナーとは別に、A5に正対するソファに老婦人が一人でじっと音楽(リチャード・クレイダーマン)を聴かれていました。壁にはジョン・レノンの版画?が・・・。
馴染みの方々が帰られると私たちだけに。奥様と母で何となく会話が始まりました。
曰く、今までそこに座って音楽を聴かれていれた方は、息子さんがショーン君と幼馴染。でもビートルズは嫌い。また、この夏、皇后様が軽井沢に久し振りに来られた時に、陛下と懐かしがってすぐそこのコートでテニスをされて・・・。皇后様のテニスの方が攻撃的、とか。喫茶店の庭にはテラス席もあり、夏は犬連れのお客さんで一杯になるとか(「アスファルトが熱いからワンちゃん達が可哀想で、いつもサービスで水をあげると、あっという間に飲み干しちゃう」のだそうです。飼主の一人としては心せねば)。そして、冬。それまでの喧騒が嘘のように消えると、庭先に鹿や猪(時にはウリ坊を連れて)が散歩にくるのだとか。
そして、マスターが戻られての会話。
元々はメーカーの無線技術者で、以前はアマチュア無線の雑誌の「CQ」にも執筆していたそうで、引退後の今は、喫茶店経営の傍ら管球アンプの自作や修理を頼まれるとかで、暫しオーディオ談義。近くのブティックにも連れて行かれ、自作のアンプを聴かせてもらいました。
ご夫婦お揃いで「喫茶店のオヤジ・オバサンになるとは夢にも思わなかった。」と笑ってらっしゃったのが印象的でした。
手作りのクッキーまでいただき、コーヒー一杯で結局1時間半も長居をしてしまいました。観光ではない、これが普段着の軽井沢なんだろうと納得し、今度またショッピングのお供をさせられた時は、好きなジャズのCDでも持参し(先ほどのご婦人同様、皆さんご自分の好きなディスクを持ち込んでじっくり聴いていかれるのだとか)、場合によったら(スピーカーは自作されないマスターもご存知で興味をもたれていた)スワンをいつか運んで来て管球アンプでドライブさせていただくことも約束しあい、お二人の人柄からの居心地の良さと、管球アンプの暖かで優しい音質とが相俟って、ほのぼのした気分で喫茶店(その名は“CAFÉ PICO” )を後にしました。