カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 家内が娘のところに上京し不在の8月8日の土曜日。「××のいぬ間」に、何年かぶりで夏の甲子園大会の開会式をテレビで(じっくりと)見ました。

 最近は、高校生諸君の初々しい司会進行に代わりましたが、昔は「オジサン」の「選手ぅー入場ぉーっ!」という合図で先ず鳥肌が立ち、山田耕作作曲「開会式行進曲」(この時しか演奏されませんがいい曲です)が演奏されゲートから高校球児が姿を見せるともういけません、涙腺が緩んできます。全高校が整列してのホームプレート方向への一斉行進・・・号泣です。
 そして大会歌「栄冠は君に輝く」(名曲だなぁ)が、大会旗掲揚と選手退場時に歌われます。
その昔、歌詞の一般公募で入選した作者は、故あって自分の名前を伏せて後の奥様の名前で応募し、20年経って真実が明かされたという逸話。
     
 昔は誰もがそうだったように、野球少年だった子供時代。(中学で軟式野球部に入って活躍し)地元の名門高野球部(松本では松商)に入って(エースになって)甲子園に出て(勿論優勝し、ドラフト1位で)巨人に入る(で勿論エース)・・・というのが夢物語ではなく、野球少年としての必然なる「既定路線」・・・。

 中学入学後、担任の薦め(命令?)で何故か(理由は結婚式の時に先生が明かしてくれましたが)バレー部に入り、何十年も経って「高校生」では(遥か昔に)なくなった今も、「甲子園、待ってろよー!」と叫びたくなる衝動に駆られます(・・・そんなアホなって。でも実際にそんな元球児たちの気持ちを実現させたのが「オヤジたちの甲子園」ですよね)。

 さて、現実に戻って・・・(キチンと調べもせず記憶のままで恐縮乍ら)
星陵と箕島の延長戦でのまさかの落球、江川の雨中の満塁押し出し、原辰・津末の東海大相模に延長で勝ったカクテル光線下の鹿実“定坊”の力投、松井の5打席敬遠、松坂の決勝戦でのノーヒットノーラン・・・。その裏で、怪物のいた作新第二エースだからこそのドラフト指名、また敬遠後の明徳エースのその後の野球人生・・・。
 もし筋書きを書こうとしたら、余りに「嘘っぽい(クサイ)」ドラマの筋書き過ぎて・・・と、誰も書こうともしないストーリーが展開される不可思議。必然足り得ない偶然が引き起こす、結果としての必然性が感動を呼ぶのでしょう。

 一方、誰もが唯一必然であって欲しいと願ったのは、夏ではありませんが、一足先に春のセンバツでの沖縄県勢(尚学)の初優勝。あの時、私のように戦争を知らない世代を含めて日本国民の全員が沖縄球児達の優勝を祈ったに違いありません。それは、唯一国内での戦場となり、その後も占領され続けた沖縄への(沖縄県民以外の)日本国民全員の贖罪だったような気がします。
優勝決定後、確か、後にも先にもあの時だけ自然発生的に起って観客席を一周した万歳のウェーブが、全国民の気持ちを代表してくれているかのようでした。
8月15日には必ず黙祷を奉げる夏の甲子園。そのナツにいつか沖縄勢が勝った時、初めてこの沈黙なる贖罪は完結するのでしょうか。

 今年の夏も、誰も決して書かないような筋書きが、まさかの偶然の積み重ねとしての必然性を以って甲子園に展開されることでしょう。




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