カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 松本では、毎日必ず聞こえて来る音があります。
朝、活動し始めた街の車や電車などの喧騒ではなく、同じ時刻に決まって聞こえて来る音。

 先ず、季節(日の出の時刻)に関係無く、毎朝6時になると、松本市内ではどこからかチャイムの音楽が流れます。
 『♪ウサギ追いし彼の山、・・・忘れがたきふるさと』。お馴染みの「故郷」のワンフレーズです。
そして、(何故か正時に同時ではなく、必ずチャイムが終わるのを待つかのように)それに続いて、幾つかのお寺の鐘の音が聞こえてきます。ご住職の朝のお勤めなのか、時を告げる鐘の音(ね)。毎日ご苦労さまです。

 我家は街中の松本駅から3キロほど離れているため、風向きの加減で聞こえない日もあります。夏は4時半には既に明るくなっており、5時前には散歩に出てしまいます(6時前にはチロルの世話も終わり、朝食かベランダでのコーヒータイム中・・・と言えばお洒落ですが、要するに室内では吸えぬため厳冬期でも屋外で一服)が、冬はちょうどチロルの散歩途中。空気が澄んでいるためか、夏よりも良く響いてくるような気がします。

 そして、(平日は松本には居ないため分かりませんが)一日に何回か、何と「SLの汽笛」が聞こえます。

 これは、松本駅構内の詰所(作業小屋?)のような建物に、昔の蒸気機関車の汽笛が今も現役で保存整備されていて、毎日必ずその時間になると「ポーッ」というあの懐かしい、甲高く哀愁を帯びた響きが街じゅうに響き渡るのです。
 駅のホームの塩尻側の端から良く見てみると、(多分)駅構内の南西側の建物から細いパイプらしき筒が伸びているのを見つけることが出来るかもしれません。
(注記:小さくて分かりづらいですが写真中央の給水タンクの下に小屋のような建物があり多分ここではないかと思います)

 松本駅から我家まではちょうど3km離れていますが、リンゴ園で農作業をしていると、少なくとも正午には必ず鳴らされているようで、それが「お昼」の合図にもなっています。

 (文部省)唱歌「故郷」に始まり、お寺の鐘、そして懐かしい汽車の汽笛が、毎日飽くことなく市内に響き渡る信州松本の“音”です。

【追記】
 実はこの原稿は、2年近く前にリンゴ園のH/Pを作って、併せてブログを書こうと思い立ち書き溜めていた中の一つ。
 忘れていたら、先日(6月12日)の朝刊(朝日)の地方版に松本駅の汽笛の紹介記事が載っていて思い出した次第です。
 その記事によれば、朝8時半、12時、午後1時、午後5時と一日4回、駅構内の、会社で言う始業・休憩・終業の合図として毎日休まず鳴らされているのだそうです(但し夏は暖房用にボイラーを用いないことから蒸気を暖めるのが間に合わず、始業の朝8時半は鳴らされないとのこと)。市内4km四方に響き渡るそうです。中には、本当の蒸気機関車だと勘違いして、汽車がどこか訪ねられる乗降客の方もいらっしゃるのだとか。また、わざわざ汽笛だけが保存された背景は、当時を知る方も既におられず不明だそうですが、1902年の駅開業以来、綿々と歴代受け継がれてきた(途中鐘に替えられたことがあったようですが、列車音に消されてしまい構内でも聞こえなかったため、また汽笛に戻した)のだとか。そして、ホンモノの汽車の機関士をされていた方が、今でも思いを込めて毎日鳴らしてらっしゃるそうです。