カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 『富士には月見草』ではありませんが、“梅雨には青い花が良く似合う”、そんな気がします。青い花と聞いて、近年の話題と言えばバラでしょうか。
  “青いバラ”(blue rose)という英語には「不可能」という意味もあるそうですが、そもそもバラはリンゴ(そう言えばリンゴもバラ科です)の赤などと同じアントシアニン色素の花で、青の色素を持たないと言われています。従って、(遺伝子操作をしない限り)品種改良では本当の青いバラを創り出すことは不可能なのだそうです(で、それをしたのがサントリー。花言葉は「奇跡」・・・今年中には発売予定とか。是非ホンモノを生で見てみたいですね)。
 勿論、世の中には青の色素を持つ「青い花」も存在する訳で、個人的にも赤系よりも青系の花が好きなのですが、「青い花」と言われて私が思い浮かべるのは、アジサイとデルフィニウム。

 ただアジサイは土壌(酸/アルカリ)に因って微妙に色合いが変化(花言葉は確か「移り気」で、ちょっと可哀想)してしまうので、元々真っ青なアジサイを購入しても、その土地土地の土壌(一般的に火山灰土の多い日本では、青色になるとされる弱酸性土壌と言われますが)によっては、自宅の露地植えで本当の青色を保つのは難しいかもしれません。
 今回の庭のリノベーションに併せて、好きな青のガクアジサイ(山アジサイ)をお願いしていたところ、先日「良いのが入荷したから」と植えていただきました。個人的には、日本から運ばれ西洋で品種改良されたセイヨウアジサイ(ハイドランジア/Hydrangea)よりも、その原種である素朴で清楚な日本原産のガクアジサイの方が魅力的に感じます。さて、これからどんな青を見せてくれるか楽しみです(元々青と言ってもやや紫系でしたが、その後やはり少し赤味が出てきたようです。家の工事の際持ち込まれた土がアルカリ性なのでしょうか)。

 さて、アジサイが映えるのはこの梅雨の季節(入梅に当たり自宅で取っている2つの新聞のコラムに同様の記載があったので、日本人共通の感性なのかもしれません)。










 
 どんよりとした雨の日に、庭の片隅でお日さまの忘れ物のように咲くアジサイがとても印象的です。晴れた青空が恋しくなる頃、それを思い出させてくれるかの如き“空色”でしょうか。逆に晴れた日の青いアジサイは、雨の日に比べ何だか存在感が薄いようにさえ感じます。
写真は玄関先の一画、夏ツバキ(沙羅の木)の根元に植えたガクアジサイです。
 

そして、もう一つのデルフィニウム。
赤系など色々種類がありますが、青いデルフィニウム(以前植えたのは確かベラドンナだったか)の「青」は本当にBlueです。一つ一つは小さな花ですが、重なるように咲くデルフィニウムは、その吸い込まれそうな深い青がとても印象的です。因みに語源はDolphin(イルカ)からだとか。そう言えば蕾の形が似ているかも・・・?






 その昔、新婚旅行での最初の訪問地パリで、自由時間に行ったオルセー美術館で一目で気に入り衝動買いした一枚のポスター。フランスのオディロン・ルドン(Odilon Redon)という画家の花の絵(『長い首の花瓶の野の花』1912年制作)。花瓶に活けられた赤いケシなどに混じってデルフィニウムの青がとても印象的で思わず買ってしまいました(当時は花の名前も知りませんでしたが)。その後のロマンチック街道巡りで荷物になりながらも、しっかりと日本まで持ち帰り、四半世紀経った今でも寝室に貼ってあります。

 5月に、春の花から夏・秋に向けて庭の衣替えがされました。
その中に、お願いして青いデルフィニウムも2株植えていただきました。
 














 6月、梅雨空の下、青い花がひときわ色鮮やかに感じられます。