カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
少し前のことになりますが、朝早々から終日の雨降りだった4月某日(土)。農家にとっては有難い“お湿り”でも、晴耕雨読とはいかないのが兼業農家の辛いところ。午前中屋内での仕事を済ませ街中へ買い物等に昼頃から出掛けました。その前に「気になっていた」初めてのお蕎麦屋さんへ。
再開発で拡張された西堀の道路沿いに数年前に建てられた洋風の建物。個人住宅か、店とすれば喫茶店かイタリアンのような雰囲気。ところが、いつからか「十割蕎麦」のノボリが何本か家の前に建てられているようになりました。
店名も分からず、「十割」に惹かれて「恐る恐る」行ってみることにしました。家の前に車が数台停まっているのを見て一安心(営業中なのと、他にもお客さんが入っていることで)。入口のドアの上には小さく『C Cube』という店名の看板。『えっ、シー・キューブ・・・?これって、お蕎麦屋さん?』
ところで「シー・キューブ」って何よ?
建物は必ずしも立方体ではないようです。だとすると、頭にCがついているのでChallengeとかChangeといったお店のモットーとする単語の頭文字であるCの3乗なのでしょうか?(結局、店を出るまで分かりませんでしたし、何となく聞くのも憚られ・・・いまだスッキリせず)。
さて、店内も一見喫茶店のような雰囲気で、重厚で素朴な椅子とテーブル(飛騨家具とのこと)、そして各テーブルの上には、家内曰く、イタリアの有名テーブル・ウェア「アレッシー」の可愛らしい色違いのウサギの爪楊枝入れ(“Magic Bunny”と言うのだそうです)が乗っています(ウサギの耳を持ち上げると爪楊枝がバンザイするかのように飛び出してきます)。壁には、北アルプスの山々(白馬連峰)のポスターが貼られ、BOSEの天釣スピーカーからはジャズが流れて・・・。
お店の方々がそれぞれご自身の趣味でディスプレイされたのか、う~ん、恐縮ながら感じたままを言わせていただくと、建物、名前も含めて全てが何ともミスマッチ・・・!?
メニューはお蕎麦のみ。私が十割そばの大盛り(普通盛り800円、大盛り1200円)、家内は寒い日だったので、温蕎麦のとろろ蕎麦(1000円)。温蕎麦では鳥そばというのもあるようです。玄蕎麦は野麦峠の麓・奈川地区と、峡谷に家がへばり付くような景観で「日本のチロル」とも称される下伊那「遠山郷」下栗地区の契約農家産だけを使った十割蕎麦とのこと。
お蕎麦屋さんによっては、薬味が申し訳程度で、全然足りないほど量の少ない所もありますが、ここは今まで見たことが無いくらい、ネギ・おろし・生ワサビ(しかも卸したて)が「これでもか!」と言うほどたっぷりと。良心的を遥かに超えて、凄すぎ!です。
十割蕎麦らしく、そばの香りと味がする短めの細打ち。つゆは薄め(でもこれまたたっぷり)。蕎麦の感じは、松本「野麦」に良く似ています(「野麦」はツナギ一割の九一)。ただ、大盛りでも量は少なめ(温蕎麦を頼んだ家内でさえ少ないと言うほど)。男性はざる二枚の方がいいかもしれませんね。最後のそば湯はどろどろで、茹で汁ではなく、わざわざ蕎麦粉を溶いて別に作っているのだそうです。温蕎麦を頼んだ家内にもちゃんと「そばちょこ」を持ってきてくれました。蕎麦湯にも薬味をしっかり入れて・・・。そのために薬味の量が多いのでしょうか?(余談ですが、蕎麦って、最後のそば湯でお腹が一杯になるから良いですよね)
接客をするお店の女性陣も皆さんもとても素朴で、失礼ながら、何だか素人の方々がリタイア後に拘りの趣味が嵩じて始められたような、そんな気負い(≒商売気?)の無いゆったりした感じがしました(お聞きしたら申し訳無さそうに営業は昼間だけとのこと)。
お店を出てからも、何とも不思議な感じ(強いて例えるなら、狐や狸ならぬ“マジック・バニーにつままれた”ような異次元空間)が消えませんでした。