カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 リフォームする前の花壇でハーブを育てていました。決して華やかではありませんが、清楚な花を咲かせるセージやカモミール、ラベンダーなどと一緒に、食用(&香辛料)を目的に、バジル、チャイブ、オレガノ、タイムやクレソンと、そしてミント類(アップル・ミントとペパー・ミント。優雅にハーブティーなんぞを、と思ったのですが、一度試した結果、家族全員興味なし!)。

 最初の一・二年目はそれなりに上手くいって、バジルやクレソンなど何度も食卓を楽しませてくれましたが、それ以降はミントの繁殖力の凄さに、次第に他は駆逐されていき、5年もするとすっかり「ミント畑」になってしまいました。後で知ったのは、ミントは地下茎でどんどん拡がっていくので、竹のように土中に「仕切り」を設けないといけないとのこと。後の祭りでした。

 改修後の今回も、我家の庭の一角に(タタミ一畳分ほどのホンの小さなスペースですが)食用ハーブガーデンのスペースを確保しました。自宅で栽培する(食用)ハーブは、大量栽培の市販のものより味が濃いように感じますし、多少虫が食べても気にしなければ、植えっ放しで(水遣りだけで)全く手が掛かりません(ハーブは元々ヨーロッパの野草/雑草?なのでかなり丈夫です)。
バジルやルッコラ(ロケットサラダ)、双方とも都度伸びてきた花芽を摘むのが長く葉を利用するコツ。ルッコラの葉はゴマの味がします。また、ネギの仲間のチャイブは、ピンクの花(注記)も可愛いですし、切らした時のアサツキの代用(和名はその名も「セイヨウアサツキ」とか)になります。パセリ。味は同じですが、セロリのような葉のイタリアン・パセリはサラダの付け合せに。一方スープ等に刻んで使うには、普通のパセリの方が刻み易くお薦めです。クレソン(通常のクレソン=ウォーター・クレスと異なり、アメリカン・クレスなら水辺でなくとも栽培可能)は、サラダや、肉料理などの付け合せは勿論、増えすぎた時は意外と「おひたし」が美味でした。ルッコラやクレソンなどサラダ(パセリも刻んだりして付け合せに)として生で、その日の分だけ摘んできて食べると新鮮で最高です。ただ、一時のブームが去ったのか、苗の種類が昔に比べてかなり減ってしまいました(クレソンなどは最近見当たらず)。
昨年植えた中では、イタリアン・パセリとチャイブ、そしてコモン・タイム(嘗て植えたセイジやローズマリー、オレガノ同様余り出番はありませんが)は多年草なので、今年も活用(二年目のパセリは花芽に注意)できます(そう言えばS&Gの「スカボロー・フェア/詠唱」の歌詞にある一節を思い出しますね)。

 今年も五月に家庭菜園用の野菜苗と一緒に一年草の食用ハーブの苗(結局バジルとルッコラしか見当たらず)を買ってきて植えました(また花壇の補植の際、「サラダバーネット」が入荷したので、と一鉢持ってきてくれました。和名「オランダワレモコウ」とか。小さな葉ですがキュウリの味がするそうです)。成長したら、サラダやバジル・スパなどで楽しみたいと思います。


写真の中央でピンク色をしているのがチャイブで、手前にルッコラ。

 さて、先週末で、4月末から続いたリンゴの摘果作業もひと段落したので、今度の休みにでも池田町のハーブセンターへ食用ハーブを探しに行ってみようかと思います(ついでにまた安曇野・翁でも・・・?)。

【注記】
チャイブはネギの仲間(ユリ科ネギ属)なので、要するにネギ坊主。食用の長ネギなどの白いネギ坊主(大きなモノは野球のボール大にも)と違い、親指大ほどの小さなピンク色をした可愛らしいネギ坊主が咲きます。

【追記】
西洋タンポポって、ヨーロッパでは古くからの食用ハーブだってご存知ですか?
作庭に際して熟読したある女性ハーブ研究家(注記)の方の記述に寄れば、早春のパリの青空市場に大量に積まれ、パリっ子にとっては待ち望んだ「春告げ」野菜?なのだそうです(生のままサラダで食べて、毎日どんより曇った暗い冬が去って明るい春が来たことを実感するのだとか)。
我家のリンゴ園にもいくらでもあるので、以前、本に記載されていたお薦めレシピ(確か、生の葉を固ゆで卵の黄身をほぐしたものと絡ませ、細かく切ったベーコンをオリーブオイルでカリカリになるまで炒めてタンポポの葉にかけるだけ。)に沿って試してみましたが、以降、家族からのリクエスト無し・・・。
上述の女性ハーブ研究家の方が、昔(日本でハーブがブームになる遥か前)「食用タンポポ」を海外から取り寄せて植えて楽しみにしていたら、春生えてきたのは“そんじょそこら”のどこにでもある普通の西洋タンポポだったのだそうです。タンポポは仏語でピサンリ。英語ではダンディリオン(dandelion)。そのノコギリのような葉から「ライオンの歯」を意味する仏語に由来とか・・・。

【注記】
広田セイ子女史(セイは偏が「青」の旧字体に右側の「つくり」が「見」)。わが国のハーブ研究のパイオニアだそうです。
(84年初版)文庫版(92年講談社刊)の『香りの花束・・・ハーブと暮らし』から引用。この本は、カラー写真入りのハーブのリスト、栽培方法やレシピなどもあってハーブガーデン作庭の際に大変重宝しました。

 新緑が眩しい季節です。

   『目に青葉 山不如帰 初鰹』(素堂:注記)

 先週の土曜日(25日)、朝チロルの散歩をしていると、ホトトギスならぬ「カッコウ」の鳴く声がコダマして響いていました。今年のカッコウの「初鳴き」です。我家周辺では余りホトトギスの鳴くのを聞きませんが(元来聞き分けにくいとされていますが)、この時期山里ではカッコウの鳴く声を良く耳にします。従って、個人的には、この青葉の時期に印象的な鳥の鳴声はホトトギスではなく、カッコウの声。若緑の里山に溶け込んで、何となく、すがすがしさを感じます(注記その2)。
 先日、会社の先輩と話をしていたら、その方の地区(旧奈川村、現松本市で野麦峠の麓)では、昔から遅霜を避けるため「カッコウが鳴き始めてから野菜苗を植えろ」と言い伝えられているのだとか。やはりこの時期山里で特徴的な鳥なのでしょう。
ベートーベンの第6番「田園」にもカッコウの鳴声が登場します。ヨーロッパでも田園の心象としてはカッコウが似合っているのでしょうか?
因みに鳩時計って、時報を知らせる鳴声は「鳩」ならぬ「カッコウ」ですよね。

【注記】
山口素堂は江戸時代前期の俳人で、山梨県は南アルプスの天然水で有名な白州町(現北杜市)の出身。元句は本来「目には青葉」で字余りの句であったのが、一般には「目に青葉」で広まったのだそうです。
【注記その2】
“閑古鳥が鳴く”とはカッコウのことだとか。他の鳥の巣に卵を産み付ける「托卵」からカッコウは余り良い印象を持たれていないがためか、それとも人のいない山里に響き渡る声が印象的なためか・・・?