カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>

 先日、上諏訪にある五蔵(真澄、麗人、横笛、本金とこの舞姫)のひとつ、舞姫酒造が倒産との報道がありました。
 若者の日本酒離れ等、色々要因はあるのでしょうが、今後支援先を探して(どこかの傘下に入ってでも)酒造りは続けていきたいとのことです。

 舞姫は、江戸時代から続く味噌や醤油の醸造業から、明治時代に分家し創業と「諏訪の五蔵」の中では新しいとは言え、歴史ある銘醸です。昔から五蔵の中でも舞姫と真澄は「甘口」系というのが一般的な評判だったので、辛口系が好みの身(海外赴任してから20年来の冷酒党で、「日本酒はダサイ」と言うよりも、どちらかと言うと辛口の白ワインを飲む感覚です)としては、正直これまで余り舞姫をオーダーしたり、購入(専ら地元松本の地酒を買っています)したことはありませんでした(注記その1)。

 しかし、蔵存亡の危機。諏訪で働かせていただいている一員として、ここは応援せずにはいられません(一滴もアルコールを受付けぬ家内からは、諏訪出身なのに「そんな応援は無用!」とのツレナイお言葉。でも、めげずに・・・)。
 先日、上諏訪の割烹に行った際も、早速舞姫を注文。女将さん曰く、報道以来「応援しなきゃ」と舞姫を注文されるお客様が増えたとのこと。有難いことですね。
 さて、薦められて(店のリストに舞姫はこれだけだったので自動的に)出していただいたのが、舞姫の純米『翠露』。リストにも記載がありましたが「中辛」。「あつ、舞姫にも辛口があるんだ!」と、先入観を反省し、認識を新たにした次第。
 そのお酒。他にも幾つか(県外も含め8種類ほどの純米酒で)飲み比べてみましたが、いや、決してお世辞ではなく本当に美味しかったことと言ったら・・・。皆で飲み比べてみた中で、メンバー4人全員一致での1位評価でした。どこかの、まるで“水の如し”の「淡麗」系ではなく、しっかりとキレとコクがありました。甘口ではないこの舞姫「翠露」なら辛口党にもお薦めです。クセも無く、これなら洋食にも合いそうです(注記その2)。
どうぞ、日本酒党の方々、舞姫(辛口なら「翠露」)をお試しください。
    
【追記―訂正】
 と、私も応援すべく、早速会社近くの諏訪の地酒を豊富に扱っているお酒屋さんに、会社帰りに寄ってみました。
ところが、舞姫酒造『翠露』は純米吟醸含め何種類もあるのだそうで、幾つか出していただいた「翠露」の日本酒度は殆どが+2度。えっ!「辛口」は無いんでしょうか?
酒屋さんが「こんなのもあるけど」と言って冷蔵庫の奥から出してくれたのが、純米辛口「翠露・秋あがり」720ml、1365円也。日本酒度+6度。「う~ん、これかなぁ?」と、とりあえずいただいて帰りました。


【注記その1】
因みに、諏訪エリアでは岡谷の高天が辛口系です。大昔、新宿のとある日本酒バーで信州の酒と知らず、日本酒の女性ソムリエ?に「知らないんですか・・・。本当に信州人?」と叱られたお酒。
岡谷には他に御神渡(みわたり)、下諏訪に最近評判の御湖鶴(みこつる)、茅野にダイヤ菊と酒蔵あり。
【注記その2】
飲み比べた中で、山口県の純米「貴(たか)」というお酒。「こんなのもあるんですが・・・?」と女将さんが出してきてくれました。
他と比べて、最初の口当たりにかなりのクセを感じたのですが、杯を重ねる毎に印象がプラスに変わっていきます。いや、知りませんでした。多分?万人受けするお酒ではないのかも知れませんが、何か蔵の「拘り」のようなものが感じられて、この「貴」が私としては当夜の2番評価。