カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
土日の二日間、家内と二人で、芽吹きの始まった芝生の雑草取りに追われました。日曜日の昼過ぎには何とか終了させ、頑張った自分達へのご褒美を兼ねて、ドライブがてら少し遠出をして池田町(北安曇郡)の『安曇野・翁』へ、遅い昼食にお蕎麦を食べに出掛けました。
ここは、小淵沢にある「高橋名人」直伝の名店「翁」(現在は弟子に任せ、ご自身は広島『達磨』店主)から初めて暖簾分けを許された一番弟子のお店。今回で、2度目の来訪になります。
昨秋に初めて訪れた時は、ちょうどお昼時で店の外にまで行列が出来ていましたが、今回は2時頃の到着だったためすぐに座ることが出来ました(そう言えば、前回は外で待つ間に付近を散策して、周辺の雑木林で「リコボウ」を1本見つけました)。
場所は池田町の東側山麓の高台にあり、すぐ近くには町立美術館やクラフトパークなどがあって、「信濃富士」と呼ばれる有明山から白馬連峰までの北アルプスの峰々が一望できる絶好のロケーション(注記その1)。当日も、美術館周辺には桃や山桜越しに残雪の山々をスケッチする愛好家の方々がイーゼルを立てて筆を走らせていらっしゃいました。
従って、仮に混雑していて店の外で待っていても、特に県外から来られたお客さんには「景色もご馳走」で、多分待つことにそれほど苦痛を感じないのではないか、と思わせるほどのアルプスの絶景が目の前に広がっています。
営業時間は、11時から17時まで(月曜定休)。売り切れ次第閉店とのこと。
蕎麦は、ざる(盛り)のみで、更科系と黒くて太めの田舎の二種類(この日は田舎は既に売り切れでした)。メニューは、普通の「ざる」と辛味大根の卸大根を薬味に使う「おろし蕎麦」、鴨せいろの三種類のみ。「ざる」は一枚840円(田舎も同額)。おろし1050円、鴨せいろ1350円。前回の経験で、男性は一枚では足りないことと、草取りで二人ともお腹が空いたこともあり、おろしそばと鴨せいろ含め、計4枚を注文しました(結果的には私が2枚半いただきました)。
暫し待つ間(その間、何度もお茶を注ぎ足してくれます)、家内に、大きな窓越しに広がる山の説明。有明山の左に大天井、東天井。常念は、ここからは有明に隠れています。右隣には、松本平の中学校の集団登山(注記その2)の山「燕(ツバクロ)岳」から蓮華岳、それから大町方面の爺ヶ岳、餓鬼岳。さらには遠く白馬方面の鹿島槍と連なっていきます。
この景色も「安曇野・翁」のご馳走だとすると、ここを選んだ理由も夜間営業しないのもなるほど正解なのかもしれません。
さて、運ばれてきた蕎麦(自家製粉の二八とのことですが)は中細で腰があり蕎麦の味がして、昨秋から我々の一番評価です。おろし蕎麦は、辛味大根(信州ではその形から「ネズミ大根」とも)の辛さが刺激的。鴨せいろの漬け汁も良い味が出ているのですが、蕎麦に勝ち過ぎてしまい、純粋に蕎麦の味を楽しむには蕎麦つゆの方がいいかな、と個人的には感じました(余談ですが、「ざる」の薬味に付いていた生ワサビがおろし立てで風味が最高でした。手を抜いていません)。
昨年秋、県内の、これまた「蕎麦打名人」系列の有名店で食す機会がありましたが、残念ながら余り感心しませんでした。が、ここ「安曇野・翁」は素直に「美味い!」と思いますし、素晴らしい景色もあって県外からのお客さんが来たら、迷わずここへお連れしようと思います。また、ここは接客態度も好ましく、忙しい中にも「おもてななし」の心を感じさせてくれます。
心もお腹も満腹になって帰路につきました。
「ご馳走さまでした。また、来ます!」
【注記その1】
車で行く(・・・でしか行けませんが)場合は、松本からですと国道19号線を、明科から県道51号線(大町明科線)に入り、「大雪渓酒造」の直前に「町立美術館」などの案内板が出ていますので、右折して「美術館」を頼りに行けば行き着きます。(前回は「大雪渓」に気を取られて、行き過ぎてしまいました)。
【注記その2】
家内に寄れば、県外の方は学校行事「集団登山」の存在に「さすが山国」とビックリされるのだとか、そうなんですか・・・。因みに松本平では北アルプスの初心者の山「燕岳」ですが、家内の出身、諏訪エリアの中学校は、八ヶ岳の主峰「赤岳」だそうです。双方ともその高低差ほぼ2000m。
先月のある金曜日の夜。帰宅すると、家に食材無しとの事から「じゃあ、軽くお蕎麦でも」と、家内と市内の「とある」お蕎麦屋さんへ初めて行ってみました。
そこは、最近市内のある老舗料亭が始めたというお蕎麦屋(+居酒屋)さん。観光客が訪れる界隈にあり、多少値段は高めかなと思いましたが、メニューには馬刺しや蜂の子(好物に非ず)、季節モノの「わさびの花のおひたし」など信州の郷土料理もあり、内装など店の雰囲気も(観光客向けとしては)悪くありません。玄蕎麦も県内の契約農家から直接購入しており(自家製粉とのこと)、拘りも感じられます。
店内に入ると、奥の座敷では宴席があるらしく賑やかでしたが、テーブル席は誰もおらず、最後まで私達だけでした。夜八時頃でしたが、一品を幾つか頼み、家内が先に蕎麦を頼んだら、宴会のため足りなくて「半蕎麦」(ザル1枚)しか出来ないとの事。止む無く諦めましたが、ご主人が何とか2枚(一人前 1250円)作って持ってきてくれました。二人でシェアしましたが、(更科的田舎、なんて評価はないか・・・?言って見れば両者の中間的)そばの香りもコシもあり、つゆも含め悪くありません。(家内が)お勘定を済ませて出る時に、ご主人が『是非宴会にも使ってください』とのこと。
でも、何か違うんです。料理もそれほど悪くないし、蕎麦も悪くない。でも、ちょっとなぁ。バイトの娘も含め、やらされ感というか、「もてなし」という雰囲気が全く感じられない。予約の電話の時から応対もつっけんどん。だから店に活気(覇気)が無い。また、当日宴会以外では私達だけでしたので止むを得ないのか、暖房も効いておらずこの時期でも寒くていられない。最後までお店の中に「笑顔」がありませんでした。こちらも長居をする気も早々に無くなってしまい、追加オーダーもせず「もう帰ろうか?」(帰宅後改めて腹ごしらえ)
勿体ないなぁ、場所も蕎麦も悪くないのに・・・。昼の観光客の一見さん相手だけならいいのかもしれませんが。宴会を呼び込む努力ではなく、もっと違う姿勢がリピーターを(呼び込まずとも自然と)増やすべく必要なのに。悪循環なのかもしれませんが、老舗料亭の名前(多分次男か三男の方が始めたのでは?と勝手に推測し、全く違うジャンルへのチャレンジ精神)に大いに期待して行ったのですが、残念ながら職場のメンバーや友人を連れて行こう(薦めよう)という気には全くなれませんでした。
未だ若いご主人がいつそれに気付くか?でなければ、やがて消え去る運命か・・・。(次の第68話と対比すべく、敢えて掲載させていただきます)