カネヤマ果樹園 雑記帳<三代目のブログ>
10日の先週金曜日、職場行事のお花見としてわざわざ上諏訪から移動して、夜間無料開放の松本城の本丸庭園からライトアップされたお堀の夜桜見物へ。観桜会は初めてでしたが、十六夜の月見櫓から生演奏の琴が流れる中、予想以上のかなりの人出でした。その後は花よりお酒で、「行ったことが無い」というメンバーもいたことから『しづか』を事前手配。
戦前から続く松本の老舗(割烹/居酒屋?)。その昔は松本の“文化人”の溜まり場だった店。「しずか」に非ず。
店名は、酒をこよなく愛した信州にもゆかりの牧水(妻貴志子は塩尻市広丘の出身)の、
白玉の 歯にしみとほる秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり
(明治43年 信州小諸にて)
と、初代女将さんの名前が「しづ」さんだったからの命名とか。おでんや焼き鳥が昔からの定番。昔、同級会と言えばここくらいしか無かったような気がします。最近は、駅から少し離れているため足が遠のき、案内するこちらも久し振りです。本当は一階(ホール)席の方が、使い込まれた松本民芸家具など松本情緒を楽しめるのですが、春の今宵は、失礼ながら牧水風に拝借させていただくと“もののふの 散るは今かと咲き競う 酒は騒ぎて飲むべかりけり”と、予約済みの2階の座敷へ。私達同様、皆さんお城の夜桜見物からの流れか、いや結構混んでました。
さて、当日一品で色々頼んだ中で、個人的には「松本一本ネギの味噌焼き」が花丸でした(グルメ派は自家製のシメサバを「松本にしては」と誉めていました)。
本来は江戸時代から続く「松本一本ネギ」という郷土野菜があるのですが、曲がり易く、また夏の植え替えの手間が大変なことから一時廃れたのを、最近の伝統野菜ブームもあり有志が復活させ、JAが会員を募って地元農家などで栽培しているといいます。加熱すると甘くなることから、冬の鍋物などに入れると本当に甘くて、地元の定番です。
原種ではないのかもしれませんが、我家始め農家では今でも自家用に植えていて、夏、畝を作って一本一本植え替えをし、土寄せをしていきます。一本ずつ植え替えるので、太く、また土を被せることから、白い部分が長く柔らかいのが特徴です。
さて、その味噌焼き。5cm程度のぶつ切りのネギの縦に切り目を入れ、そこに信州味噌を塗ってただ焼いただけ(但し、ちゃんと炭火で)。
食べると、焼いたネギの歯ざわりと香ばしさと共に、ネギの甘味と味噌の風味が交錯し、素朴ながら美味感動。他に松本一本ネギの天婦羅もあるそうです。こいうのを美味しいと感ずるのも年をとった証拠かもしれませんね。でも、地酒の冷酒に合う松本らしい一品でした。
久し振りの「しづか」と夜桜に皆満足し、そぞろ歩きで店を後にしました。
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