みなさん、こんにちは!
鴨居歯科、インプラントセンター
歯科医師の青柳恵子です。
今回はインプラントのメインテナンスについて詳しくお伝えしますね。
<インプラント周囲組織のメインテナンス>
メインテナンスでは、お口の中全体の状態を継続的にモニタリングしていきます。すなわち歯肉炎とインプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の主な原因であるプラークの付き具合を検査し、歯とインプラント周囲の歯肉粘膜に炎症が無いか的確に把握します。
① プラークコントロール:口腔の衛生状態とインプラント周囲粘膜炎およびインプラント周囲炎の発症ならびに進行とは密接な関連があります。お口の衛生状態を良好に維持することはとても重要になってきます。
② インプラント周囲粘膜の炎症の状態:プラークコントロールが不良で、インプラント周囲にプラークが沈着するとインプラント周囲炎を起こすことがあります。インプラント周囲粘膜の炎症を評価するには、歯周組織の場合と同様に日常のプラークコントロールの状況を評価する必要があります。その結果によりメインテナンスの間隔を決めています。
③ プロービング深さ:インプラント周囲溝へのプロービングは周囲粘膜に対して侵襲や破壊を加えないように軽圧で行う必要があります。良好な口腔清掃状態が保たれているインプラント周囲粘膜は、比較的強い圧力でインプラントと密接しておりプロービング深さも浅くなる傾向にあります。一方、口腔清掃状態の悪化によりプラークが蓄積すると、インプラント周囲粘膜の圧力は低下し軽圧でもプロービング深さは深化、さらには排膿や出血の発現に至ることがあります。
④ インプラント体の動揺:経過観察時には、インプラント体および上部構造に動揺が無いかも確認しています。インプラント体が動揺していれば、オッセオインテグレーション(チタンと骨が光学顕微鏡のレベルで直接的に一体化した状態の事)が喪失しています。上部構造のみが動いていれば、インプラント体との連結部に問題が起こっています。
⑤ エックス線検査:定期的なエックス線検査では、インプラント周囲の辺縁骨の吸収状態を把握し、継続的にモニタリングすることで年間の骨吸収率を確認します。インプラント治療の成功基準は、機能負荷後の辺縁骨の平均吸収量が年間0.2mm未満であるとされています。
⑥ 細菌検査:歯周病のハイリスク患者(侵襲性歯周炎、重度慢性歯周炎、全身疾患関連歯周炎、喫煙関連歯周炎の既往のある患者)では、インプラント周囲溝の浸出液あるいは唾液を用いて歯周病細菌の検査を行うことがあります。
⑦ 咬合関係の確認:直接インプラント体は周囲骨と結合しているため、ブラキシズムや咬合関係の変化によって発生する咬合性外傷により、急速にインプラント周囲骨の吸収や破壊が起こることがあります。メインテナンスでは、咬合関係の不調和や過度の咬合圧があるかを確認し、適切な咬合関係に調整をします。
それでは、次回はインプラントの上部構造について詳しくお伝えしますね。
最後までお読みいただきまして有難うございます。