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岩城行政書士事務所

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事業活動を行っている皆さんの悩みの一つが資金調達ではないでしょうか?

資金調達といえば「融資」が一般的。

でも、この数年確実に増えているのが、「助成金・補助金」です。

例えば、「経営改善計画策定支援事業」って聞いたことありますか?
通称405事業なんて呼ばれてますね。
これは、2013年当初の予算が405億円だったことに由来します。
ちなみに、「プレ405」と呼ばれるものもありますが、内容が異なります。

今日のテーマは、この405事業についてのお話ではありません。

補助金申請の前段階の手続き的な位置づけとなる「経営革新計画」についてです。

経営革新計画とは、中小企業が取り組む「新たな事業活動」に、「経営指標による目標」を具体的に定めた経営計画です。

そして、この「経営革新計画」が都道府県によって承認されると、以下のようなメリットがあります。

①政府系金融機関による低利融資制度
②中小企業信用保険法の特例(信用保証の特例措置)
③中小企業投資育成株式会社法の特例
④高度化融資制度
⑤ベンチャーファンドからの投資
⑥特許関係料金減免制度
⑦日本政策金融公庫法の特例(スタンドバイクレジット)
⑧貿易保険法の特例(※海外展開による経営革新の場合のみ)

さらに、この「経営革新計画」の承認を受けていると、補助金の審査において有利になりというメリットがあります。

皆様の事業活動を円滑に進めるためにも「経営革新計画」の承認を受けておくことをお勧めいたします。



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本日は、「松本市商店等グレードアップ事業補助金」についてお知らせします。

この補助金は、既存の小規模商店等が取り組むユニバーサルデザインの考え方を取り入れた店舗改修事業等について、市が支援する制度です。
なお、5年間の時限措置が採用されています。

1.補助対象者

  平成27年4月1日以前からある施設であること

2.補助対象施設

  宿泊施設、娯楽施設、店舗他

  *それぞれの施設に関しては、用途面積の制限がありますので、
   ご注意ください。

3.補助対象事業

  出入り口の整備、トイレの整備他

  *整備基準の詳細が定められています。

4.補助率、補助限度額

  補助率は、10分の3、10分の4、10分の5
  限度額は、100万円

  *用途地域により補助率が異なります。

制度の詳細は、松本市の商工課(0263-34-3110)まで。

なお、当事務所でも、当該申請に関するお手伝いを行っておりますので、何なりとお問い合わせください。


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今日は、「回送運行許可申請」についてお話します。
「回送運行許可申請」とは、ディーラーナンバー取得と呼ばれたりします。

要するに、車検切れや抹消されている車を公道で走らせることができる許可のことですね。

ディーラーナンバー取得のメリットはおおむね以下の通りです。

1.毎回、仮ナンバーを取得する手間が省ける。
2.以前は必要だった「自動車整備士」を配置する必要が無い。
3.ローダーの減車などを含め大幅なコストダウンが見込める。

陸送にかかる手間やコストが大幅に省くことができる「回送運行許可」は中古車屋さんの強い味方になると思われます。

許可申請の要件はいくつかございますが、最も重要視されるのが、直近3か月間の取扱台数が30台以上(地域によって異なりますが、長野県内は30台です)であることです。
つまり、逆に言えば直近3か月の取扱台数が30台以上あれば、回送運行許可を考えたほうがよいということにもなります。
ちなみに、取扱台数のカウント方法ですが、製作・販売・陸送した台数の合計となります。

回送運行許可申請に必要な費用は以下の通りです。

1.手数料   24,600円(年間)
2.自賠責保険 12,370円(ナンバー1組当たり)

上記を陸運局に支払う必要があります。

申請からの標準処理期間は、平均すると1か月ぐらいですが、それより早く出る(2週間程度)場合もありますし、それより時間がかかる(2か月程度)場合もございます。(かなりマチマチですね。しかも、その理由がよく分かりません)

尚、当事務所の報酬額は原則52,500円(お客様の所在地によって別途交通費をいただく場合もございます)となっております。

お気軽にお問合せ下さい!




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「脱・株式会社?「合同会社」急増中」

5月20日付のYAHOOニュースです。

自分がちょうど開業した頃、会社法の改正がありました。そこで新たに設けられた会社の形、それが「合同会社」です。LLCなんて呼ばれたりします。

その合同会社の設立が最近急増しているそうです。
確かに以前に比べて合同会社に関するお問い合わせが増えています。

新たに事業を起こす際に、「個人事業」でいくのか?「法人設立」でいくのか?
そして、「法人設立」を選択した場合に、どの種類の法人を設立するのか?
その選択の際にお役立ちできるよう、今後当ブログでも少しずつですが、「合同会社」についてのお話もしていこうと思います。


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昨日お話した「改葬許可申請」について、当事務所が受任した場合の報酬額等を含め、おおむねの費用についてご説明いたします。

まずは、当事務所の報酬額等について。

1.墓地使用許可書(受入証明書)作成   10,500円
2.埋葬証明書作成            10,500円
3.改葬許可申請             31,500円
4.資料収集及び雑費           ~5,000円
5.日当                1日21,000円
                    半日10,500円

*5の詳細については、ご相談時にご説明いたします。

その他の費用(いずれも必要な場合に限ります)

1.旧墓地における墓石の廃棄、墓地の整地 墓地の面積1㎡あたり10万円~15万円
2.墓石の運搬              20万円~80万円
3.旧墓地管理者による開眼供養      宗派・寺院により異なる
4.新墓地管理者による納骨法要      宗派・寺院により異なる
5.離檀料                10万円~30万円

上記については、全て専門業者様が行います。
また、金額については平均的な金額になりますので、業者様によって上下がございますので、予め見積もりしていただくことが必要かと存じます。必要があれば当事務所でも業者様のご紹介が可能です。


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気が付けば4月。新年度です。
また、ブログ放置してました。

さて、今日は「改葬許可申請」についてです。
昨今のお墓事情を見てみますと、マンションのような墓地(?)があることからも分かる通り、昔とは趣が随分と変わりましたね。
でも、あまり変わってないと思うのが「墓参り」をするという気持ち。これは、今も昔もあまり変わってないような気がします。

そして、今日お話しする「改葬許可申請」というのは、まさに今の時代に需要が増えているものです。

「改葬許可申請」を一言で説明するなら、「お墓の引越し」のことです。この「改葬許可申請」が今なぜ需要が増えているのか?
これは、私の想像ですが、「墓参りしたいとは思っているけど、地元を離れて暮らしているので、なかなか行くことができない。」という方々が、「自分の暮らしている場所の近くにお墓があれば・・・」という気持ちがあるからではないかと思われます。

さて、改葬許可申請とはどんな手続きを必要とするのか?
流れとしては、以下の通りです。

1.新たに埋葬する墓地の管理者から「墓地使用許可書(受入証明書)」を発行してもらう。

2.今埋葬されている墓地の管理者から「埋葬証明書」を発行してもらう。

3.旧墓地の所在地の市町村役場へ「改葬許可申請」

簡単にご説明すると上記のようになります。

これ以外にも次のようなことが必要になる場合があります。

1.旧墓地における墓地の整地
2.引っ越すのが遺骨のみの場合は、旧墓地の墓石の廃棄
3.旧墓地管理者による「開眼供養」
4.新墓地管理者による「納骨法要」など。

3、4については宗派・寺院によってことなる呼び方があると思いますが、おおむねこのようなことが必要となります。

各種費用については、次回にでもご説明します。


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さて、しばらくブログを書かない(書かないにもほどがありますねえ)うちにドラマは今度の日曜日が最終回。
これはいけないと思い、第6話から第9話までを振り返ってみると、
第6話は、飲食店での食中毒の話。
第7話は、ゼロゼロ物件の話。
第8話は、セクハラの話。
第9話は、投資詐欺の話。
いずれも興味深いテーマを扱っていましたが、ここで書くほどの難しい話は特に無かったように思います。

そこで、第7話に、非弁行為に関する話が少しだけ登場したので、それをお話しましょう。
我々、行政書士にとっては高い壁のような存在ですしね。

非弁行為については、弁護士法72条に記載されています。
<弁護士法72条>
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

「法律事件」が何を指すのか?については、諸説あるようですが、基本的には、我々行政書士が、争いのある当事者の代理人として相手方と交渉するなどということはできないことになります。
ドラマ中では、代理交渉については報酬を頂くことはできませんので、無償です。と語っていますね。
無償ならいいのか?という問題もありますが、あれはあくまでもドラマですからね。
非弁行為については、我々行政書士が業務を行う上で最も注意しなければならないルールだと言えると思います。
このルールから逸脱しないようにしながら、依頼人さんの利益の為にできることを模索するのが肝要だと思います。

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ちょっと書かないうちにドラマは、今度の日曜日が第7話。
遅くなりましたが、まずは、第5話から。
第5話も、それほど分かりにくい言葉は出てきませんでしたが、一応”無権代理”についてお話したいと思います。

無権代理は、民法第113条に記載されています。

<民法113条>
代理権を有しない者が他人の代理人としてなした契約は本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力が生じない。

113条は1項と2項からなっていますが、とりあえずは1項だけでいいでしょう。
ちなみに”追認”というのは、読んで字のごとく、「後から認める」ことで、本来無権代理人がした行為は、本人は「そんなの知らん」と言えるのですが、「確かに頼みましたよ」とか、「私に効力が生じてもかまいませんよ」と言えば、その無権代理人の行為は有効になるってことです。

さて、あのドラマ中に出てきた”無権代理”はどんな場面だったかというと、未成年の息子の名義でその父親が借金をしたって場面ですね。
本来、未成年者の場合、判断能力が劣っているということで、法定代理人(基本的には親)が、その未成年者に代わって契約などを行うことになっています。
つまり、あの息子が本当に借金をしなければならない状況だった場合、その親が息子に代わって息子名義の借金をすることは可能なわけです。

では、何故あの父親の行為は無権代理なのでしょう?

それは、ドラマ中でも説明されていたと思いますが、両親が揃っている時は、2人が揃って行うことによって始めて正当な代理権の行使となるからなのです。
もちろん、一部例外はありますが、ドラマ中におけるあの両親は、離婚しているわけではありませんでしたし、母親が病気などで寝込んでいたわけでもないですから、二人揃って代理権を行使する必要があったわけです。

にもかかわらず、父親一人が独断でやってしまった行為ですから、無権代理となるわけです。


第4話には、あまり聞き慣れない言葉というのは登場しませんでしたね。
ドラマ本編における主題は、偽造された署名がポイントでした。

そこで、今回は、”連帯保証人”についてご説明することにいたします。

ドラマでは、主たる債務者(旦那)が支払を滞らせたために、連帯保証人である妻は、口座を差押えられてましたね。
連帯保証人には、どれぐらいの責任があるのでしょう?

以前、私は、「連帯保証人になる時は、いざとなったら、債務者にその借入金額をくれてやるぐらいの覚悟がなければならない」という言葉を聞いたことがあります。
要するに、そのぐらい責任があるんだよってことですね。
そして、その覚悟がなければ連帯保証人になってはいけないとも聞きました。それが、たとえ家族や親しい友人のためであっても、と。

こうやって聞くと非常に冷たいような気もしますが、それぐらい連帯保証人になるということは大変なことなんだということです。サイン一つで、ハンコ一つで自分の人生が狂ってしまうこともあるということですね。

そして、最も重要なことは、「保証人」と「連帯保証人」は違うということです。
ここが、肝。

民法の条文を見てみると・・・。

<452条>催告の抗弁
債権者が保証人に債務の履行を請求したときは、保証人は先ず主たる債務者に催告をなすべき旨を請求できる。
但し、主たる債務者が破産の宣告を受けたり、行方不明の場合は、この限りではない。

<453条>検索の抗弁
債権者が452条の規定に従って主たる債務者に催告をなしたる後といえども保証人が主たる債務者に弁済の資力があり、且つ執行が容易であることを証明したときは、債権者は先ず主たる債務者の財産について執行することを要する。

<454条>連帯保証人と抗弁権
保証人が主たる債務者と連帯して債務を負担した(連帯保証)ときは、452条、453条に定める権利を有さない。

452条と453条は、「保証人」の権利についてですね。
つまり、債権者が保証人に対して支払いを請求してきたとしても、保証人は、「まずは、主たる債務者に請求してくれ!」とか、「主たる債務者は、支払うだけの財産を持ってるから、向こうに支払い請求してくれ!」と言えることになっています。

そりゃあ、そうですよねえ。
保証人としては、まずは主たる債務者に請求し、その主たる債務者に支払い能力が無いとなって始めて自分に支払義務が生ずると思うでしょうからねえ。

しかし、これが「連帯保証人」の場合は、454条にあるように、そうした主張ができないとなっています。

つまり、債権者は主たる債務者に支払い能力があろうとなかろうと、保証人に対して支払い請求できるというわけです。

要するに「主たる債務者≒連帯保証人」と理解する必要があるということです。

ですから、冒頭にも記載したように、「主たる債務者に債務分の金銭をくれてやるぐらいの覚悟が必要」となるわけです。

遅くなりました。特上カバチの第3話に出てきた馴染みのない法律用語のお話をしましょう。
先日の放送の主題は、パワハラに関する労働者と雇用者のトラブルでしたが、その中には、解説したほうがよさそうな言葉は出てきませんでした。

そこで、今回は番組の冒頭に出てきた”不法原因給付”について少しお話します。

田村が住むアパートの隣人夫婦のご主人が、麻雀の負け分の請求をチンピラ風情の男から受けた時に、「博打の負け分は支払う必要ない」と田村が説明した後、そのチンピラ風情の男が、「じゃあ、俺がこの前支払った負け分を返せ!」と迫った時に、田村が「それは不法原因給付だから返す必要なし!」と言った、あれです。

不法原因給付については、民法708条に記載されています。
<民法708条>
不法の原因の為め給付を為したる者は其給付したるものの返還を請求することを得ず。但し、不法の原因が受益者に付てのみ存したるときは此限に在らず。

つまり、不法な原因のために給付がなされた場合は、その原因自体が公序良俗に反するので無効である。しかも、その給付した物について返還請求することはできない。ということです。(但し書き以降は、ここでは説明を省きます)

「公序良俗」とは、社会の秩序と善良の風俗のことで、要するに社会道徳観というような意味合いの言葉です。
そして、民法90条は、この公序良俗に反する行為を無効であるとしています。(つまり、社会道徳に照らし合わせて、それに反することだと判断できるようなことは無効だってことです)

つまり、あのドラマにおけるチンピラ風情の男は、賭け麻雀の負け分を支払っていますが、賭け麻雀自体が違法行為ですから、そのような行為を原因とする支払だから、返還請求をすることができない。というわけです。

ここで、ひとつだけ疑問が・・・。

不法な原因で給付したのだから返還請求できないということは理解できるけど、じゃあ、不法な原因で受け取った者が、それを返還しなくていいのは何故?

これは一応の解釈論として、その返還請求を認めてしまうと、自ら不法な原因で給付をした者が、後々、その不法性を根拠として裁判所に救済を求めることができることになってしまいます。
すると、「違法行為をした者を裁判所が助ける」という微妙な話になってしまいます。
ですから、「給付を受けた者は返さなくていい」というのは、「給付をした者が返還請求することだけは許さない」という理念の裏返しというわけです。

先日のドラマ”特上カバチ”の第2話は、第1話の続きでした。
第2話は、それほど多くの法律用語が出てきませんでしたが、第2話の肝は、「期限の利益の喪失」だったと思いますので、今回は、「期限の利益の喪失」についてご説明いたします。

ドラマの中では、住吉行政書士が、八百屋さんに対する友人の債権を回収する手段として、「支払督促」をしますよ!って言ってましたね。
そして、支払督促をすると、八百屋さんは期限の利益を喪失するから、八百屋さんに対する債権者である銀行が債権の全額回収に来ますよ!
そして、この八百屋さんは潰れます!って、言ってました。

「期限の利益の喪失」?
そもそも”期限の利益”って何?

期限の利益があるのは、債務者です。
期限というのは、抱えている債務の支払期限のこと。
つまり、例えば、借金をした場合にその返済期限というのは、債務者の利益の為に存在しているものと考えられているのです。
まあ、当然ですよね。
債権者にとっては、支払期限を設けるということは、その期限までは、原則として返済してもらえないわけですから。

じゃあ、何故支払督促がなされると八百屋さんは期限の利益を失ってしまうと住吉行政書士は言っていたのでしょう?

これは、金銭消費貸借契約(銀行と八百屋さんとの間で交わされた契約書)にある特約が記載されているからです。

我々が金銭消費貸借契約書等を作成する場合、債権者側からの依頼であれば(ここが、微妙。債務者からの依頼であれば、この特約は避けたいところです)、必ずこの特約は盛り込みます。

その特約というのは、
「第〇条【期限の利益の喪失】
 甲(債権者)は、乙(債務者)に以下の各号の一に該当する事由が生じた
 ときは、乙に通知することなく、甲は本契約を解除することができ、
 乙は、本契約上の債務全額について当然に期限の利益を失い、元利金を
 一括して支払わなければならない。
 一 2ヶ月以上支払義務を怠ったとき
 二 差押え、仮差押え、仮処分、租税公課の滞納処分、その他公権力の
   処分を受け、または整理、会社更生手続及び民事再生手続の開始
   もしくは破産申立をしたとき、または第三者からこれらの申立てが
   なされたとき
 三 その他前各号に準ずる信用の悪化と認められる事実の発生及び
   本契約の違反があったとき             」

まあ、作成者によって細かいところが異なることはありますが、おおよそこのような内容を盛り込みます。

ドラマ中では、支払督促を申し立てたことを八百屋さんが融資を受けている銀行に話すぞ!と、住吉行政書士は言っていました。

果たして、支払督促を申し立てられただけで、信用が悪化したと捉えられるかどうかは非常に疑問ですが・・・。
(何故なら、支払督促は、申立人が本当にその債権を有しているかどうかについて裁判所は何ら調査しませんから)

いずれにしても、例えば、銀行から融資を受け、それを分割払いで支払う契約を交わしていたとしても、上記のような特約が盛り込まれていて、それに該当するようなことが債務者に起きれば、債務者は”期限の利益を喪失”して、銀行から一括返済を迫られることがあるということです。


いよいよ、昨日からテレビドラマの”特上カバチ”が始まりました。

途中で簡単な法律クイズが入っていたり、法律用語の説明が出てきたりして、法律を身近に感じてもらおうとしている感じがする作りになっていましたね。

ただ、我々行政書士にとってあのドラマがプラスに働くかマイナスに働くかについては、どっちとも言いようがない感じもしました。
非弁法に関して、微妙なところもありましたしねえ。

さて、いずれにしてもあれはドラマであるとはいえ、一般的には耳馴染みのない法律用語が出てきていますから、今後ドラマの中に出てくる法律用語について、当ブログにおいてご説明したいと考えております。

第1話に登場した法律用語では、”債権者代位権(サイケンシャ ダイイケン)を取り上げてみましょう。

八百屋さんに代わって野菜を仕入れてくれているスナックへ住田行政書士が内容証明で行使の予告をしたアレです。

債権者代位権は、民法423条に定められています。

<民法423条>
1.債権者は自己の債権を保全する為に、その債務者に属する権利を行うことができる。
2.債権者はその債権の期限が到来していない場合は、裁判上の代位によらなくてはならない。

1項、2項ともに但し書きがありますが、今日はそこまで説明しなくてもいいでしょうから、省きます。

昨日のドラマで言えば、
1項の”債権者”が、八百屋さんにお金を貸している友人
”債務者”が、八百屋さん。
”債務者に属する権利”というのが、八百屋さんのスナックに対する売掛金。

債権者代位権を行使するための要件は次の通り。
1.債権を保全する必要があること。
  ⇒これは、債務者の資力が債務の弁済に不十分であることとされています。
              (明治39年11月21日の裁判例)
   昨日のドラマでも、田村が八百屋さんのことを”無資力”だと
   住田行政書士に言ったことが要因となっていましたね。
2.債務者が自己の権利を行使しないこと。
  ⇒昨日のドラマでは、八百屋さんが相手の都合を考えて売掛金の請求は
   できないと言っていました。
3.被保全債権が履行期にあること。
  ⇒債権者代位権を行使しようとしている債権者の債権の支払時期が
   過ぎていることが必要です。
   昨日のドラマでは、そもそも口約束でした支払時期の延期が問題となって
   いましたが、支払時期の延期が有効であれば、まだ支払時期を過ぎて
   いないことになりますから、裁判外において債権者代位権を行使する
   ことはできないことになります。
   ちなみに被保全債権というのは、昨日のドラマにおける友人の八百屋さん
   に対する債権のことです。

要件1と3については、一部例外もあるのですが、一応原則は以上の通りです。

以上が”債権者代位権”に関する大まかな説明になります。



今日、公証役場へ行く際に見かけた張り紙。
近所の方が、糞尿の臭いに悩まされているのかもしれません。
犬と暮らす者として注意したいですね。

昨日、テレビを見ていたら、介護に関する現状の問題点についてやっていました。

要するに、介護士の絶対数の不足が大きな問題であると。
従って、介護士さんの仕事は大変な上に、労働条件もいいとは言えない状況であるため、介護士になる方が少ないわけです。
そして、35万人もの人達が”介護難民”と化してしまっているとも言っていました。

我々行政書士がこのような問題にどう向き合っていくのか?については、なかなか難しい話ですが、身寄りの無いお年寄りのお手伝いをできる場面が全く無いわけではありません。

それが”成年後見制度”です。

日本の少子高齢化の問題が語られるようになってから何年が経ったでしょう?

そんな中、以前は”措置(行政行為の一種)”であった介護が、”契約”へと変化しました。
それが、介護保険制度の導入です。
つまり、行政による行為であったものが、利用者の意思に任せる制度へと変化したわけです。

しかし、一言に利用者の自由意志に任せると言っても、認知症の方にそれを理解していただくのは無理な話。
それを補完するために生まれたのが、”成年後見制度”。
つまり、利用者の意思を尊重するために、利用者に代わってその意思の実現を図るための制度が創られたのです。

昨年私が参加した長野県成年後見サポートセンターの研修においても、「介護保険制度と成年後見制度は車の両輪のようなものである。」と教えていただきました。

双方の制度の中身を見ていくとその言葉の真意をを知ることができます。

介護保険制度については割と知られているのに、成年後見制度についてはまだまだ認知度が低いのが現状です。
是非とも、成年後見制度に関しても知っていただきたいと思っておりますので、今後当ブログでも、私が勉強した成年後見制度に関する情報を記していこうと思っております。

成年後見に関するお問い合せ・ご依頼はこちらから

先日、画期的な判決が出ましたね。

~「賃貸住宅の更新料は無効」~

アパートやマンションなどの賃貸借契約は大抵の場合、約2年の契約期間になっているのではないでしょうか?その場合に、2年経過時に契約を更新するには、更新料を支払うことになっていることがあります。

今回の判決は、この更新料は一方的に消費者の利益を害するものであるから消費者契約法に基づき無効であるとしたものです。

以前から、不動産賃貸借契約については、賃借人側に不利な契約が多いとして、例えば敷金の返還については、国土交通省がガイドラインを提示して、過去の実情に比べて賃借人側を保護できるような内容を発表していたり、”敷引契約”については無効であるという判決も多く見られるようになり、不動産賃貸借については、賃借人保護の傾向が強くなってきています。

しかし、さすがに今回の判決は吃驚ですねえ。
更新料まで無効になるとは正直思ってもみませんでした。

今回の判決を受けて、貸主側の弁護士は、「判決は、全部おかしいと思っています。家主の収入と借り主の支出との割り付けの問題なのに、名目上のことだけ見て判断しているのは適切ではないからです。更新してから借り主がいつ家を出るか分からないから、更新料などがあるわけです。それで家賃が安くなっているのに、無効なら家賃を上げるしかありません。結局、消費者の首を絞める、視野が狭い判決ですね。」と話しています。

更新料がなければ家賃値上げという理屈は、私としては、「?」ですが、今後の不動産賃貸借の動向には注目ですね。

家賃の未払事件が増加しているようですから、その辺りも含めて貸主側がどのような対策を講じてくるのか?が気になります。

こんなこと聞いたことないですか?
「交通事故の治療の場合、健保や労災は使えない。」

いまだに交通事故の治療で病院へ行くと、「健康保険は使えませんよ。自由診療になります。」って言われることがあるようです。(もちろん、健康保険指定病院なのにです)

これ、大きな間違いです。
(なんで、病院側こんなんこと平気で言うのでしょうねえ)

もし、相手方が100%責任を負うべき事故であれば、「どうせ相手方の保険で支払われるのだから、関係ないよ。」と考え、病院側に言われるとおり、自由診療で治療する方もいらっしゃると思います。
相手方が任意保険に加入しているなど、支払能力に問題がなければ何の心配もいらないかもしれません。
しかし、任意保険には加入していない、しかも支払い能力も無さそうだという時には、被害者側が相手方から受け取れる治療費は、自賠責保険の限度額120万円が最大ということになります。

健康保険の場合、医療点数の単価は1点10円です。
自由診療の場合は、病院ごとに単価を決めていいことになっているので、1点の単価は平均20円ぐらいだそうです。

仮に点数が10万点だったとすると、健康保険の場合は、治療費は100万円。自由診療の場合(1点の単価が20円だとすると)は、200万円となります。
つまり、全く同じ治療内容なのに金額が全く違うのです。

加害者が任意保険未加入、しかも支払い能力が無い場合は、先述した通り、受け取れる治療費の最大は自賠責保険の限度額である120万円です。

ということは、健康保険を使えば、自賠責の限度額まで20万円残りますから、休業損害の一部の支払を受けるなど、治療費以外にも受け取ることができます。

それに対して、自由診療だと、80万円自腹です。
この違いは大きいと思います。

この10月に施行される新しい法律です。
正式名称は、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」です。

数年前に世間が大騒ぎなった”構造計算書偽造事件”。
あの事件が契機となって検討が行われ成立した法律ですね。

要するに、あのような事件で結局大きな被害を被ることになるのは、購入者ですから、そうした購入者の被害を補償する制度みたいなものです。

元々、住宅品質確保法により、売主や請負人は10年間の瑕疵担保責任を負うことになっていたのですが、あのような事態が起こった場合には、それだけでは不十分だとして考え出されたわけですが、この法律の成立の是非はともかくとして、あんな事件が起きることを想定して法律を創らなければならない状態は寂しい気もします。

瑕疵担保責任を履行する為の資力確保義務を負うのは、建設業者と宅地建物取引業者です。

私もこの法律に関してはまだまだ勉強不足ですが、今後しっかり把握してこの場でお知らせしていきたいと考えております。

小室哲哉氏が詐欺で逮捕されてから、もう2週間以上が経過しました。テレビでの報道もほとんど無くなり、遠い過去の話のようになってきましたが、せっかくですから著作権について少しだけ考えてみます。

小室氏が逮捕された後、「行政書士に著作権ビジネスについて相談した」という記事が掲載されていました、小室氏の犯してしまったことは同情の余地は無く、断罪されて当たり前のことなのですが、著作権ビジネスについて行政書士に相談したというのは、同じ行政書士として、正直ちょっと嬉しかったりもします。(すいません、不謹慎ですかね。)

小室氏の相談内容は、「複数の音楽出版社に譲渡している著作権を新しい組織に移し、第三者から出資を募って音楽配信事業ができないか?」というものだったそうです。

これに対し、相談を受けた行政書士は、「出版社から著作権を買い集める交渉は非常に難航する。」と答え、ビジネスとして成立しにくいと話したそうです。
これを聞いた小室氏は、「出版社に著作権を譲渡したまま第三者に二重譲渡して出資金を得ることは出来ないか?」と聞いたそうですが、行政書士の答えはもちろん、「そんなの成立しない。」だったそうです。

結局、新たな著作権ビジネスを立ち上げるべく考えていたように見えますが、逮捕という結果から想像するに、出資者から集めた金で借金返済を考えていただけで、本気でビジネスとして考えていたのかについては、甚だ疑問ですね。

今回の事件の全容については、イマイチ掴めていないのですが、どうやら小室氏は、音楽出版社に譲渡済みの楽曲の一部を自分が役員を務めるプロダクション名義で文化庁に著作権登録していたそうです。
ニュースの中で、今回被害にあった投資家の方に対して、「譲渡の対象となった楽曲の著作権が小室氏の下にあるのかどうかぐらいJASRAC(日本音楽著作権協会)に問い合わせればいいだけのことなのに何故それをしなかったのだろう?」という意見が一部から出ていました。

そりゃそうですよねえ、だってJASRACに問い合わせれば、著作権は音楽出版社に譲渡済みであることが簡単に分かりますから。
では何故、その投資家男性はその調査をせずに小室氏の話を信じ、金を騙し取られたのでしょう?
その答えが、「文化庁に著作権登録」です。

小室氏が単に「著作権の所有者は私です。」って言ったって、その投資家の男性だって5億円もの金を投資する以上、「その証拠を見せろ」ってなるはずです。
だから、小室氏は音楽出版社に譲渡してしまった著作権が自分の下にあることを、どうしても証明しなければならなかった。
そこで考えたのが「文化庁に著作権登録」だと思われます。

著作権ってのは、そもそもその著作物を公表したかどうかとか、文化庁に登録したかどうかなんてことは一切関係なく、創作した時点で創作者(つまり著作者)に発生するものです。
ただ、著作権は財産的価値を持つものであるので、その譲渡等についてはトラブルになる可能性が高いので、著作権法において、「著作権は文化庁に登録しなければ第三者に対抗できない。」としているのです。
原則からすれば、著作権は、著作者が創作した時点で発生するものですから、仮に第三者へ譲渡してなければ、「私が著作権者です。」と言っていればいいわけです。(もちろん、当該著作物について自分が最初に創作したものだという証明は必要になるでしょうが)

著作者の下に著作権がある時はさほど問題ないのですが、財産的価値を有するものである以上、譲渡を繰り返し、所有者が転転とする可能性があるため、「文化庁に登録しないと第三者に対抗できないよ」となったわけです。

これを今回の小室氏の事件にあてはめると、いくら小室氏から譲渡されたと音楽出版社が言ったとしても文化庁に登録してなければ、その後に文化庁に登録した人との関係においては、音楽出版社側が法律上不利になるわけです。
(これは、不動産の二重譲渡と登記の関係に似ていますね)
今回の音楽出版社は小室氏から譲渡された楽曲の著作権を文化庁に登録していませんでした。
これを小室氏は利用したわけです。音楽出版社に譲渡したはずの著作権を自分の下にまだあるようなフリをして文化庁に登録した。
だから、投資家男性も騙された。というわけです。

ん?他人に譲渡済みの著作権を文化庁に登録することなんてできるの?
そうです!普通ならそう考えます。
しかし、文化庁によると「登録申請のあった著作権について、真の所有者が誰であるかを調べる権限は文化庁にはない。」そうです。
確かに音楽に関する著作権はJASRACに著作権の管理を信託している場合がほとんですから、文化庁だって「この楽曲の著作権は誰にあるのか?」を調べるのは簡単でしょう。
しかし、著作権は創作した時点で創作者の下で発生するもの。音楽以外の著作物の所有権が誰の下にあるのかを調べるのはかなり大変なことでもあります。

この法律上の不備を小室氏が知っていたのかどうかは分かりませんが、結論的には、法の不備が招いた事件だとも言えるのではないかと私は考えます。

ところで、この「小室哲哉詐欺事件」と同時期に著作権を巡る事件がありました。
それが、「森進一おふくろさん解禁」です。これについても語りたいところですが、これについては、あちらで。

法務サポート行っております。
詳しくはこちらをご覧ください^^

今日は、27日付の朝日新聞の記事からです。
~ガールズバーで無許可接待容疑 警視庁、責任者を逮捕~
届出をせず接待行為をしたとして、警視庁は、歌舞伎町のガールズバーの責任者を風営法違反の容疑で逮捕した。

皆さんは、”ガールズバー”ってご存知ですか?
私は、この記事を読むまで、言葉としては聞いたことがあったという程度で、実際にどんなお店なのか全く知りませんでした。
記事によるとガールズバーというのは、女性がバーテンダーの店で都会では結構流行しているそうです。
松本にはあるのかな?

さて、今回のガールズバーの問題点は、風営法上の許可を受けていなかったこと。
ん?ガールズバーを営業するのに風営法上の許可は必要なのでしょうか?
女性がバーテンダーってだけなら許可は不要なはず。にもかかわらず風営法違反だった。記事を読めば分かりますが、キーワードは”接待”。
この”接待”は、サラリーマンの方々がお得意様を接待する時の、”接待”ではないですよ。もちろん、お得意様の”接待”のために訪れるお店が、”接待”をするお店である可能性はありますが・・・。
何がなんだか分からなくなってしまいそうですねえ。(笑)

今回の逮捕理由は、”無許可接待”。
風営法では、客に対して、お酌をすることを”接待”としていて、このような行為をする場合には、風営法上の許可を得なければならないとしています。
結局、今回のガールズバーでは許可を得ずに客に対してお酌していたということで、風営法違反となったわけです。

風俗営業に関しては、割と正しく理解されている方が少ないので、今後は当ブログ内でも少しずつ風俗営業に関する情報をアップして以降と思います。

ちなみに、ここに言う「風俗営業」とは決してファッションヘルスなどのエッチ系のお店のことではありませんよ。
エッチ系のお店のことは、”性風俗特殊営業”と呼びます。

また、”お酌する”ことだけが”接待”ではありませんし、お酌するのは女性に限らず、男性がお酌する場合も含みます。

この辺のことも今後随時アップしていきます。

こちらもごらんくださいね^^(補)

今日は、「原状回復にかかる判例の動向」についてです。

ガイドラインによると、原状回復時のトラブルに関する裁判において争点となるのは、主に以下の場合だそうです。

1.退去後に賃貸人が行った修繕の対象となった損耗が、貸借物の通常の使用により生ずる損耗を超えるものか否か?

2.損耗が通常の使用によって生ずる程度を超えない場合であっても、特約により賃借人が修繕義務・原状回復義務を負うか否か?


まず、1の場合における判例の態度は、
立証事実をもとに損耗が通常の使用による損耗か否かを判断しているが、「入居者が入れ替わらなければ取り替える必要がない程度の状態である。」、「10年近く入居していたことを考慮すると、時間の経過にともなって生じた自然の損耗と言える。」などとして、賃借人が破損等を自ら認めたもの以外は、通常の使用によるものとするのが大半の判断。

だそうです。
この「賃借人が自ら認めた破損等」という部分が非常に曖昧な気がしますが、まあ、裁判になればある程度、提出された証拠から判断できるということなのでしょう。

次に、2の場合における判例の態度は、
①一定範囲の小修繕を賃借人負担とする修繕特約については、賃貸人の修繕義務を免除するにとどまるとして制限的に解釈するものが多い。
②賃貸借開始時の状態に復するような原状回復特約は、居住用建物の賃貸借においては、賃貸物件の通常の使用による損耗、汚損はその家賃によってカバーされるべきであって、その修繕費等を賃借人の負担とすることは、賃借人に対し、目的物の善管注意義務等の法律上、社会通念上等当然に発生する義務とは趣を異にする新たな義務を負担させるというべきである。
特約条項が形式上あるにしても、契約の際その趣旨の説明がなされ、賃借人がこれを承諾したときでなければ、義務をおうもんではないとするのが、大半の判断。

だそうです。
ガイドラインによると、特約の成立そのものが認められないことが圧倒的に多いそうです。

「敷金トラブル」に関する説明は今日でおしまいです。



さて、昨日までにご説明してきた「原状回復にかかるガイドライン」ですが、基本的な目的は、「原状回復にかかるトラブルの未然防止」です。

つまり、原状回復にかかるトラブルは、単に契約終了時だけの問題ではなく、契約当初の問題として捉えることが肝要であるとしています。

そのような考えの下、ガイドラインでは契約締結時の注意点として以下の事項を挙げています。

1.物件の確認の徹底

2.原状回復に関する契約条件等の開示


それぞれの中身を見てみると、

著しく短期の賃貸借でない限り、入居時において退去の際のことまで想定することは困難ではあるが、長期にわたることが一般的な居住用建物の賃貸借契約においては、当事者間の記憶だけでは曖昧となってしまい、損耗の箇所や発生の時期などの事実関係の有無をめぐってトラブルになりやすい。
そのトラブルを回避するため、入居時・退去時の物件状況確認リストを作成することが望ましい。


つまり、天井や壁紙の状況、備え付けられている備品、その他細部に至るまで入居時の物件の状況をチェックリストを作成して保存しておき、退去時に当該チェックリストに記載されている各項目の状況についてチェックすれば入居時と退去時の違いが確認できるということです。

退去後にトラブルとなった際に、双方共に証拠として使用することもできるので、紛争の迅速な解決の為には役立つというわけです。


①賃貸借契約書の内容については、賃貸人・賃借人双方の十分な認識のもとで合意したものでなければならない。
したがって、賃貸人は、賃借人に対して、明け渡しの際の原状回復の内容等を契約前に提示し、賃借人の十分な認識を得る必要がある。

②宅地建物取引業者が媒介・代理をするときは、当該事業者は、重要事項説明における「解約時の敷金等の精算に関する事項」には、原状回復にかかる事項が含まれるものであることを認識しておく必要がある。


契約締結時における原状回復に関する契約条件等の開示については、特に法的な規制はないにもかかわらず、本ガイドラインで上記のような注意を提示していることが肝であるといえるでしょう。


次回は、「原状回復にかかる判例」についてご説明いたします。
敷金トラブル第3回目の今日は、「賃借人の負担対象範囲」についてです。

さて、前回までに、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反による毀損については、賃借人が修繕費を負うというお話をいたしました。

このような賃借人が修繕費を負担すべき場合の例としてよくあるのが、”壁のクロスの張替え”ですね。
一口に”クロスの張替え”と言っていますが、この”クロスの張替え”において最も問題となるのが、クロス等の場合、毀損箇所が一部であっても他の面との色合いや模様あわせを実施しないと商品価値を維持できない場合があることから、毀損部分だけでなく部屋全体の張替えを行う場合ですね。

ガイドラインが示す”原状回復”というのは、
賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反による損耗・毀損を復旧すること

でしたね。

この、”毀損部分(賃借人が毀損した部分)”と”補修箇所(毀損部分だけでなく部屋全体のクロスを張り替えること)”におけるギャップに対してガイドラインでは次のように示しています。

部屋全体のクロスの色や模様が一致していないからといって、賃貸借の目的物となりえないというものではなく、部屋全体のクロスの色や模様を一致させることは、賃貸物件としての商品価値の維持・増大という側面が大きいというべきであり、部屋全体のクロスを張り替えることはグレードアップに相当する部分が含まれていると考えることができる。
したがって、部屋全体のクロスの張替えを賃借人の義務とすると、原状回復以上の利益を賃貸人が得ることとなり、妥当ではない。


つまり、賃借人が負担すべきはあくまでも毀損部分についての修繕費のみであり、仮に部屋全体のクロスを張り替えたからといって、賃借人が負担すべき修繕費が増大するわけではない。
という意味ですね。

しかし、仮に賃借人が毀損した部分だけのクロス張替えをしたとしたらいかがでしょう?
いかにも継ぎ接ぎという感じで、これで原状回復したとは断言しにくいと思いませんか?

これを解決する方法として、ガイドラインでは、クロス張替えの場合、毀損箇所を含む一面分の張替え費用を、毀損等を発生させた賃借人の負担とすることが妥当だとし、
賃借人に原状回復義務がある場合の費用負担について、補修工事が最低限可能な施行単位に基づく補修費用相当分を賃借人の負担対象範囲の基本とする

としています。

次回は、「原状回復にかかるトラブルの未然防止」について、ガイドラインに沿ってご説明したいと思います。


今日は、昨日の続き「賃借人の負担対象事象」についてです。

ガイドラインでは、”建物価値の減少として捉えるもの”として、以下の3つのパターンを挙げています。

1.賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるもの

2.賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるもの(明らかに通常の使用等による結果とはいえないもの)

3.基本的には1であるが、その後の手入れ等賃借人の管理が悪く、損耗等が発生または拡大したと考えられるもの


そして、上記の1から3の区分による建物価値の減少に対する補修等の費用の負担は、次の通りに示されています。

1.賃借人が通常の住まい方、使い方をしていても発生すると考えられるものは、経年変化か、通常損耗であり、これらは賃貸借契約の性質上、賃貸借契約期間中の賃料でカバーされてきたはずのものであり、賃借人はこれらを修繕する義務を負わない。

2.賃借人の住まい方、使い方次第で発生したりしなかったりすると考えられるものは、故意・過失・善管注意義務違反等を含むものであり、もはや通常の使用による損耗とはいえないので、賃借人に原状回復義務があると考えられる。

3.賃借人の管理が悪いのであるから、当然賃借人に原状回復義務が発生するものと考えられる。


尚、ガイドラインでは、2や3の場合であっても、建物や設備等の経過年数を考慮する必要があるとしています。
例えば、壁紙の一部を賃借人の過失により傷つけてしまったとしましょう。
これは、上記の場合分けに寄れば、当然賃借人が修繕費を負担すべきものですが、この壁紙を退去後、張り替えるとすると、賃借人の責任ではない部分(経年変化の分)まで、賃借人の負担となってしまう可能性があります。

これでは、不公平だということで、経過年数による価値の減少分を壁紙の張替え代金の全体から差し引いた金額を賃借人が負担すべきものと考えましょう、ということです。
したがって、経過年数が多いほど、賃借人が負担する金額は小さくなることになります。

また、この経過年数は、新築で入居しない限り、入居年数ではないことに注意してください。

つまり、設備等に関してはそれを設置した時から経過年数を算出するということです。
だって、あなたが入居する10年も前から設置されている設備を、あなたが1年で退去しても、経過年数1年で計算するのはおかしいでしょ。

さて、明日は、「具体的な賃貸人の負担対象範囲」についてお話いたします。




先日、アパートの賃貸借契約の終了に伴う退去費用に関するご相談をお受けしました。

今回のご相談内容は、「退去において追い金の支払を請求された」というものでした。
要するに、「入れてある敷金だけじゃクリーニング費や修繕費用に足りないから、退去費用として、○○○○○○円下さい。」ってことです。

これは、大抵仲介者である不動産屋さんから請求されると思われますが、基本的には貸主(大家さん)に支払うべきものです。
では、何故、不動産屋さんから請求されるかというと、宅地建物取引業法では、宅地建物取引業者が賃貸借の代理や媒介を行う場合、重要事項説明項目として、解約時の敷金等の精算に関する事項の説明が義務付けられていることに由来していると思われます。
したがって、「原状回復」に関する事項は、契約時に不動産屋さんが借主に対して、十分な説明をする必要があります。


この”敷金返還に関するトラブル”は、住居等の賃貸借契約においては、つきものみたいなものですから、ここで、当ブログにおいても数回に分けてご説明していきたいと思います。

というわけで、第1回の今日は、国土交通省が定めた「原状回復をめぐるトラブルに関するガイドライン」について、ご説明します。

ちなみに、これからご説明する”ガイドライン”は、平成10年に取りまとめられ、その平成16年に裁判例などを追加して改訂されたものです。

ちなみにこのガイドラインは絶対的なものであはありませんが、昨今の判例等を見てみても、ほぼこのガイドラインと同じ見解を示すものがほとんどです。

ですから、敷金の返還や原状回復について納得のできない方は、このガイドラインや判例に沿って交渉するのが最善の方法だと考えられます。

まずは、最も重要な「原状回復」の定義です。
原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義し、その費用は賃借人負担。

これが、ガイドラインにおける”原状回復”の定義です。

つまり、原状回復とは、「賃借人が借りた当時の状態に戻すことではない」ということを明確化しています。

要するに、通常の使用をしていれば、畳や障子や壁のクロスなどの張替えを請求されても、借主がこれを修繕する必要はないわけです。

やはり、この話は長くなりそうなので、今日はこのぐらいにしておきます。

明日は、ガイドラインが示す「賃借人の負担対象事象」について見てみましょう。





今日は、昨日の予告通り、「時効完成後であっても時効の援用ができない場合」に関する判例をご紹介したいと思います。

債務者が自己の負担する債務について消滅時効が完成した後に、債権者に対し当該債務を承認した場合、債務者はその後、当該債務の消滅時効を援用できない。


これは、どういう意味かと言うと、債務者が自己の負担すべき債務を承認するということは、債権者からすれば、当然支払ってもらえるものと理解しますよねえ。
ですから、その後に債務者が消滅時効の援用をするなんて債権者は考えるわけがないですから、いったん承認すれば援用することは駄目よ。という意味です。

ちなみに「債務を承認する」というのは、例えば、債権者からの請求に対して支払を約束する(口頭もありですが、基本的には書面で)とか、債務の一部を支払うことを意味します。

先日、消滅時効に関するご相談をお受けしました。

そう言えば、我々は普段の生活の中で”時効”という言葉を耳にする機会が結構あるような気がします。

そこで、今日は”消滅時効”について簡単にご説明したいと思います。

ところで、重大な犯罪事件に関するニュースでしばしば耳にする「時効まであとわずか」というような時の、”時効”ですが、これは、”消滅時効”ではありません。

これは、所謂”公訴時効”というものです。
この公訴時効とは、皆様がご存知の通り、犯罪者が無罪放免となってしまうものです。
ちょっと専門家っぽく言うと、「犯罪が終わった時から一定期間を経過すると公訴提起(起訴)できなくなる」もの、ということになります。
ちなみに、死刑に当たる罪に関する公訴時効は、25年です。つまり、人を殺しても25年間逃げれば無罪放免ということです。(こんなこと許されませんが・・・)

さて、本題。

今日のテーマ”消滅時効”についてお話します。

消滅時効については、民法に詳しく記されています。
それによると、消滅時効というのは、「一定の期間、その権利を行使しないと、その権利が消滅してしまう」というものです。

例を挙げると、「金銭消費貸借契約に基づく債権を有しているにもかかわらず、法定の期間内に債務者に請求等をしなかったら、その債権は消滅してしまう。」ということです。

この場合(金銭消費貸借契約)における債務者は、「時効の利益を受ける者」と言われます。
つまり、「債権が時効により消滅したら得をする者」ということです。
そりゃ、得しますよねえ。借りた金返さなくてよくなるのですから。

ただし、この法定のある一定期間が経過しただけでは、その債権(権利)は時効により消滅することはありません。
ですから、時効期間が経過していても、債権者は債務者に対して支払請求できます。

時効期間の経過による債権(権利)の消滅を、債務者が債権者に対して主張するためには、「時効の援用」が必要になります。

この”時効の援用”とは、分かりやすく言うと、「時効の利益を受ける者(金銭消費貸借契約であれば債務者)が、時効の利益を受ける旨の意思表示をする」ということです。
つまり、「あなたの私に対する債権は、消滅時効の時効期間を経過したから消滅してます。だから、払いません。」と意思表示することです。

時効の援用をする際に注意が必要なのは、「時効が中断していないかどうか」ということです。

「時効の中断」とは、それまで進行してきた時効の期間が振出しに戻ることです。
時効が中断する理由には、差押、仮差押、仮処分、債務者の承認、訴訟の提起、支払督促などがあります。
また、口頭や書面による債権者からの請求があった場合は、その請求から6ヶ月以内に債権者が差押等をすれば、6ヶ月間だけ時効期間を先延ばしにすることができます。

主な時効期間は次の通りです。

消費者金融からの借り入れ・・・5年(一部例外あり)
判決で確定した債権・・・10年
個人間での金銭消費貸借・・・10年
ビデオやCDのレンタル料・・・1年
売掛金・・・2年
不法行為による損害賠償債権・・・3年


尚、債務者からの時効援用の意思表示や、債権者からの請求は後々のことを考えて内容証明によることをおススメします。

ところで、「時効完成後に時効の援用ができない場合」に関する重要な判例がありますので、これについて明日ご説明したいと思います。



「三六協定」って聞いたことあります?

簡単に言うと、
労働基準法における労働時間や休日に関する適用を受けない為に労使間で締結する協定

ですかねえ。

つまり、使用者側が、従業員に時間外労働や休日労働をしてもらうために必要となる協定ですね。

これについて定めてあるのが労働基準法36条であるため、「三六協定」と呼ばれています。

先日、私の知人と彼の会社についてこんな話をしました。

友人「うちの会社で残業時間や休日出勤についての労使協定を結ぶってことになって、それをするのに従業員側の代表者を選出することになったんだ。」

私「じゃあ、君の会社には労働組合が無いんだ。」

友人「そうなんだよ。社長が、”うちの会社には労働組合が無いから、従業員の過半数の代表者を選出する必要がある”って言ってた。」

私「その通りだね。時間外労働や休日出勤に関する労使協定(三六協定のこと)を結ぶには、労働者の過半数で組織する労働組合、労働組合が無い場合には労働者の過半数を代表する者と書面による協定をしなくてはならないっていう規定があるんだよ。」

友人「そうなんだ。じゃあ、うちの会社は法律をきちんと守ってるってことだね。」

私「多分、ちゃんとした社労士の先生が付いてるんだと思うよ。」

友人「ああ、そう言えば社長もそんなようなこと言ってた。うちの会社には顧問の社労士の先生がいるって。」

私「代表者に選出された人はどんな人?」

友人「それがさあ、うちの会社で一番長く働いてるババアなんだけどさあ、俺そいつのこと大嫌いだから俺はサインしなかったんだよ。」

私「サイン?代表者の選出どうやったの?」

友人「社長が、”残業や休日出勤についての労使協定結ぶことになったから、会社としては一番長く働いてもらっている○○さんに従業員代表をお願いしたいから、○○さんでいいかどうかを皆さんで決めてください。ついては、○○さんでOKという方は、ここにある用紙に氏名及びサインを記入してください。”って言って用紙を用意して、皆がそこに記入したんだよ。」

それを聞いた私は、私の持っている三六協定についての知識をフル稼働させ考えました。

「その選出方法はOKか?」

締結された三六協定が無効とされた例として、「労働者を代表する者を会社側が一方的に指名した場合」というのがあります。

では、今回の友人の会社の場合、「従業員代表を会社側が指名した。」と言えるでしょうか?

社長さんの言葉からすると、「従業員代表候補を会社側が指名した。」というのが正確な解釈になるのではないでしょうか?
「従業員代表の候補者」ということは、当然従業員全員の選挙等によって、その方を代表者としないことも可能なわけです。
すると、そこには従業員の自由な意思が反映されたことになる?
つまり、会社側から指名された方を従業員代表とするか否かについての従業員の選択権は侵されていないと言えなくも無い。

極めて黒に近いグレーか?

う~ん、私はやはり「黒」だと判断します。

その理由はこうです。

「そもそも、この三六協定を締結する際における従業員代表者の選出について会社側が介入することは一切禁じられている。
会社側から指名された方はあくまでも”代表者の候補”なだけであると解釈したとしても、通常の解釈として、今回の会社側の提示の仕方は、他の選択の余地を残したとはいえないのではないか。
つまり、従業員が会社側の指名した代表候補者以外の方を選択しにくい状況にあると言える。
”Aさんorそれ以外?”(そもそもある特定の方の名前を会社側が挙げることに問題があるような気がするけど)というような提示の仕方であれば、”Bさんがいい”というような考えも浮かぶかもしれないが、”Aさんでいいですか?”という問いかけだと、”Aさんでいい”という選択をする可能性が高いのではないか?
総合的に判断して、従業員代表の選出に際して、会社側が望む方が代表者に選出されやすい状況を会社側が創り出したと言えるのではないでしょうか?誰を代表者にするのかについての誘導があったと言える。
したがって、代表者の選出について会社側の介入があったことになる。」

これを友人に話すと、

友人「そうかあ、じゃあ、俺はあのババアが代表者になるのは気に入らないから会社に今お前から聞いた話をして代表者の選出のやり直しをしてもらうよ。」

私「おいおい、今のはあくまでも俺自身の個人的な見解だから、俺の判断通りの結果になるとは限らないから、早まったことするなよ。それに、そのおばさんが代表者になることを嫌がってるのがお前だけなら、それについて騒げばお前の会社内での立場も悪くなるかもしれないじゃないか。(もちろん、そんなことで不利益な扱いを受ければ、それはそれで違法なことではあるが、一応ね。)」

友人「俺以外にもサインしなかった奴いたんだけど、社長がそいつのところに用紙持ってきて、”まだサインしてないみたいだけど、ここにサインしてくれればいいからね。”って言ったら、そいつサインしちゃったんだよねえ。」

「おいおい!」

「ここにサインしてくれればいいからね。」って!

それは完全に「代表者選出に対する会社側の直接介入だよ」

さきほどの、”極めて黒に近いグレー”と判断した部分を、仮に””だと判断するなら、この部分はせめて「サインしてないけど、彼女では駄目だと判断したってこと?」という質問の仕方にしないと。

これが今の世間の実情なのでしょうか?
私からすると、「なんて杜撰な!なんともいい加減な!」って感じです。

ちなみに、さきほどの「サインしてくれればいいからね。」
私の友人に対しては会社側は何も言ってこなかったそうです。

友人曰く、「まあ、会社も俺に言ってもサインしないだろうと思ったんだろ。」

「おいおい!それはそれで大きな問題だぞ!従業員の扱いが不平等なんだから。」

多分、会社としては過半数揃ったから彼には聞かなかったんでしょうけど。

ついでに言うと、どうやら今回の代表者選出について会社側は事前にそのおばさんに代表者への就任を依頼していたようです。

はいはい、もう思いっきり”黒”ね。

それにしても問題の多そうな会社ですね。

皆さんの会社は大丈夫ですか?
昨夜何気なくついているテレビを見ていました。

放送されていたのは「あいのり」。
あのピンク色の車で男女が世界中を旅しながら、「あ~でもない」「こ~でもない」と恋愛に一喜一憂するあの番組です。

番組の本筋自体はどうでもいいのですが、彼らが立ち寄ったドイツにおける現地の方との話は興味深かったですねえ。

「ドイツ人の知っている日本語と言えば?」の答えが、「過労死」。

ドイツの方々にとっては、「過労」で「死ぬ」ということが考えられないことだということのようです。

まあ、我々日本人だって「過労死」を肯定的に捉える方はいないでしょう。

ドイツの方によると、「日本人は働きすぎ」だそうです。
(日本のことどれだけ知っているのか甚だ疑問ではあえいますが・・・)

ドイツ人の考え方は、こうです。

「働いてばかりいたら人生を楽しめない。」

ドイツには、「労働時間法」という法律があって、「1日8時間以上働いてはいけない」「日曜日や祝日に働いてはいけない」「残業は1日2時間まで」と決められているそうです。

仮にこのルールを経営者が守らないと、「180万円の罰金及び逮捕」だそうです。

日本の「労働基準法」だって、原則としては「1日8時間労働」ですし、残業時間だって、大雑把に言えば「1日2時間」のルールがあります。(所謂36協定で別段の取り決めをする必要がありますが)

だから、ルール上は日本とドイツはさほど違いは無いのです。
なのに、ドイツ人から見ると日本人は働きすぎ。
これって、どういうことなんでしょうねえ?

多分、「ON」と「OFF」の切り替えの違いではないでしょうか?
つまり、「仕事は仕事、遊びは遊び」という区別をしっかりしているのがドイツ人。その区別が曖昧になっているのが日本人。

そして、もう一つ。
これは番組内で語られていたのですが、「日本人は仕事の中に喜びを見つける」というもの。
もちろん、これが日本人独特の習性であるのかは不明です。

たまに耳にしませんか?
「仕事が趣味みたいなものだから」って言葉。

これは本心でしょうか?どちらかというと、”諦め”にも似た感情から出ている言葉なのではないでしょうか?

これと似た言葉に、「趣味を仕事にしているから」というのものありますね。

ただ、両者はかなり違う意味ですが・・・。

結局、ドイツ人は「仕事をするというのは、あくまでも人生を楽しむ為に必要な金銭を手に入れる手段である」と考え、日本人は、「仕事は人生の一部である」と考えているということなのではないでしょうか?

ちなみに私は、「働かずに遊べるなら、それが最高に決まってる。だけど、私が仕事をしたことで喜んでもらえたら、それも最高に嬉しい。」ですかね。







埼玉県熊谷市の日本マクドナルド直営店の店長である男性が、
権限の無い店長を管理職扱いし、残業代を支払わないのは不当
だとして、未払い分の残業代等合計で1350万円の支払を
求めた訴訟の判決で、東京地裁は男性の職務内容を詳細に検討
した結果、男性の職務権限は店舗内の事項に限られ、経営者と
一体化していると言える重要なものではないとして、会社側に
約755万円の支払を命じた。


昨日からニュースで何度も取り上げられている事件なだけにご存知の方も多いと思いますが、これは画期的な判決でしょうね。

さて、会社側が管理職である社員に残業代を支払わなくてもよいと解釈している根拠は?

<労働基準法41条>
 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者については、労働基準法における労働時間、休憩、休日に関する規定の適用から除外する。

これですね。

問題となるのは、”管理職(監督若しくは管理の地位)”の範囲ですよね。

これについては、昭和63年、労働基準局長通達により一定の解釈が示されています。

管理若しくは管理の地位にある者とは、一般的には部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意味であるが、名称にとらわれず、その職務の職責、勤務態様、待遇などに即して判断すべきである。


微妙な内容ですねえ。
でも、今回の判決はある意味この通達を尊重した形になっているとも言えますね。

ちなみに過去の判例を見てみると・・・。

・銀行の支店長代理は管理監督者ではない。
・課長は管理職ではない。

また、今日の信毎の記事よると・・・。

・課長以上が管理職。(製薬会社)
・店長は管理職ではない。(吉野家)

結局、”管理職”=”グレーゾーン役職”って感じですね。

要するに、出世しても喜べないかもしれないってことです。
出世したがためにアルバイトよりも給料が少ないってことになってしまうかもしれないのです。

人件費を極力抑えたい企業とすれば、どんどん、管理職の地位を与えればいいことになってしまう。
だからこそ、「管理職とはこれこれこういう地位の者」と明確な定義ができないでいるのでしょう。

今後、今回のような事件が増えることは間違いないでしょうねえ。特に外食産業や小売業で起こってくるのではないでしょうか?

「あなたの会社の管理職には、どんな権限が与えられていますか?」

ここを見つめてみると会社が社員をどういう存在として考えているのかが見えてくるかもしれませんね。





昨年から騒がれ始めた”労働ビッグバン”。

この”労働ビッグバン”の肝は、昨年成立した労働契約法(昨年12月5日公布。施行は遅くとも今年の3月4日)の第1条にあると思われます。

<労働契約法第1条>
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。


つまり、”労働ビッグバン”の肝は、「労働者の保護」と、「雇用の安定」ということになると思います。

昨年成立したこの労働契約法が、”労働ビッグバン”のメインであることは間違いないのですが、これに併せて様々な労働関係の法律が改正されています。

最低賃金法・・・昨年12月5日に公布。公布より1年以内に施行することになっているので、
         最低でも年内には施行することになります。
         最低賃金が大幅にアップする可能性が出てきました。

パート労働法・・・今年の4月1日より施行されます。
         「同一労働同一賃金」の考え方が導入されました。
         つまり、同一内容の労働をすれば、正社員とパート労働者で差別しては
         いけないということです。

雇用保険法・・・昨年10月1日より施行されています。
         正社員とパートの区別が無くなったなど、かなり詳細な部分に至るまで
         改正されています。

雇用対策法・・・これも昨年10月1日より施行されています。
         求人広告を出す際の年齢制限などが原則禁止になりました。

尚、労働基準法も改正に向けて動いていますが、未だ改正案がまとまらずに、審議中となっています。

経営者側からすれば、「なんだよ、従業員の権利ばっかり守るなよ。」と思われるかもしれませんが、しっかりとした人材を手に入れるチャンスだと思って、これらの法令順守に努めていただきたいと思います。

また、実際にある話として、経営者の方が、こうした労働法関連のルールを全く把握しておらず、専門家に全面的に任せておいたところ、法に違反する部分があったなんてことが稀ではありますが存在します。

我々専門家には、こうしたミスは絶対に許されません。しかし、その会社の実体を把握せずに、巷にあふれる専門書に記載されている雛形通りに就業規則を作ったために、後でトラブルとなってしまう例などがあるのです。

ですから、経営者の方々にも少しでも多くの知識を身に付けていただきたいという思いもこめて、当ブログにおいて労働法関連についての情報を記載していこうと考えております。

私は、「労使関係が良好でない会社は、いつか倒れる。」と考えています。

労使関係が良好であることがその会社の繁栄に結び付くと信じております。

特に中小の会社においては、労使が腹を割って話し合えるような環境が必要なのではないかと考えています。(難しいことだとは思いますが)
そうすることによって、逆に”単なるわがままな社員”を排除できるのではないかと考えるからです。