長野県松本市の行政書士、岩城です。
最近では、大手の弁護士事務所がテレビCMをうつなど、非常にポピュラーな社会問題となっているのが、”過払い金”。
いわゆる消費者金融に対して支払ったお金が戻ってくる(もしくは残債が減る)という債務者にとっては非常に嬉しい話。
過払い金返還請求についての知識についての自身はあるけど、基本的には弁護士若しくは一部の司法書士の扱う分野で、我々行政書士にはあまり関係の無い話だと考えていたのですが、行政書士にもお手伝いできることがあるなあと考えたわけです。
(もちろん、訴訟代理や交渉代理はできないけど・・・)
しかも、せっかく知ってるんだから多重債務や高金利で悩んでいる方々に役立てていただくためにも過払い金について私が知っていることをこの場でお話することは意味があると考えたわけです。
というわけで今日から数回に分けて過払い金返還請求についてお話したいと思います。
さて、今日はそもそも”過払い金”って何?って話。
消費者金融に請求することによって戻ってくるお金って何?ってこと。
ということは、”過払い金”が発生する仕組みは何?ってことですよね。
これは、利息制限法と出資法という2つの法律が設定している利息の利率が異なることが問題の根源ですね。
利息制限法による利息の制限は次の通り。
元本10万円未満・・・年25%
元本10万円以上100万円未満・・・年18%
元本100万円以上・・・15%
出資法による利息の上限は、29.2%
ここで、登場するのが”グレーゾーン金利”。
例えば、100万円借りたとすると、利息制限法によれば金利は年15%が上限であるに対し、出資法では29.2%が上限。
つまり、15%から29.2%がグレーゾーン金利ってことになるわけです。
利息制限法による上限を超えた金利でお金を貸しても何ら罰則はありません。しかし、出資法による上限を超えた金利でお金を貸すと刑事罰に処せられます。
そのため、消費者金融は利息制限法の利息制限は、はるかに超えるけど、出資法の制限内ギリギリの利息を付けるということをやってきたのです。
民事上は無効で、裁判上返還請求の対象となるけど、出資法には違反せず、債務者が任意に支払った場合には有効な支払とみなされる場合がある金利をグレーゾーン金利と呼ぶわけです。
そんな時、「グレーゾーンでお金を貸すことは違法」という判決が出ました。
つまり、利息制限法の上限利率を超える部分は無効であるということになったわけです。
そうです。大雑把に言うと、「過払い金=グレーゾーン金利」ってことです。
利息制限法の上限利率を越える約定利率に基づいた支払は、超過利息(グレーゾーン金利)として元本充当(元本の一部を支払ったこととなる)され、順々に元本充当した結果、本当なら完済していることになるにもかかわらず、支払い続けた金銭は消費者金融の不当利得(利益を受ける権利を有しないにもかかわらず、利益を受けた)となります。
これを取り戻すのが”過払い金返還請求”というわけです。
ですから当然のことですが、必ず本当なら完済していることになる場合だけではありません。
余分に支払った分を元本充当しても尚、残債があることだってあるのです。
その場合は、”元本減額請求”となるわけですね。
いずれにしても、利息制限法の上限を超えた利率で支払えば必ず”過払い金”があるということです。
次回以降は、実際に過払い金返還請求する場合の手順についてご説明いたします。