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今日は、産経新聞の記事からです。
~30年前の「時効殺人」賠償確定 最高裁、民法の除斥期間適用せず~
東京都足立区立小学校で昭和53年、教諭の石川千佳子さん=当時(29)=を殺害して遺体を自宅に26年間隠し、殺人罪の時効成立後に自首した同小の元警備員の男(73)に、遺族が損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(那須弘平裁判長)は28日、警備員の男側の上告を棄却した。男に約4200万円の賠償を命じた2審東京高裁判決が確定した
この事件(殺人事件)自体を覚えている方は少ないかもしれませんが、犯人の男が時効成立後自首したという報道を覚えている方はいらっしゃるのではないでしょうか?
この男は女性を殺して自宅の床下に埋めたのですが、区画整理で立ち退きを迫られました。
立ち退いてしまうと、床下に埋めた女性の白骨が出てくるのは間違いないことから、殺人の時効も成立しているということで警察に自首したわけです。何とも身勝手な話ですが。
もちろん、自首したとはいえ時効が成立している以上、警察も罪には問えませんから、無罪放免ということです。
当然、周囲には知られることになりますが、立ち退きですから、誰も知らないところへ引っ越してしまえばいいとでも考えたのでしょうね。最低です。
さて、犯人が解ったのに法律上罰することができないという不条理を遺族の方々受け入れることなどできるわけもないですよねえ。ですから被害者及び遺族の方々の無念を晴らすには、民事で損害賠償請求するしかないわけです。
しかし、そこにも時効(除斥期間)という壁。
不法行為による損害賠償請求権の消滅時効について、民法724条では次のように規定しています。
「不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間、不法行為の時からは20年間経過すると消滅する。」
どちらか一方にあてはまれば、時効成立なわけです。
したがって、今回の裁判の争点は、「20年という除斥期間を適用すべきか否か?」です。
第一審は、民法の規定通り「20年で消滅する」と判断。
第二審は、「20年の除斥期間は適用されない」と判断。
そして、昨日の最高裁でも、「20年の除斥期間は適用しない」と判断。
その理由は、「死亡を知り得ない状況をことさら作り出した加害者が賠償義務を免れるのは、著しく正義、公平の理念に反する」というもの。
正確には、埋められていたわけですから、「殺人事件」そのものが発生したのか否か?も確認できずにいたわけです。つまり、単なる家出や自殺の可能性もあったわけですから、事件が発生したのかどうかを知ることすらできなかったわけです。
そう考えれば、事件であったこと(つまり、殺害されていたこと)が発覚してからは、20年経過してないわけですからねえ。
もちろん、民法は「不法行為のときから」となっていますから、「発覚したとき」は当てはまらないのですが・・・。
私が最も驚いているのは、犯人の男性が「誤るつもりは無い!謝罪しろなんてふざけるな!」と言っていることです。ただ、テレビのインタビューでは、「最高裁が下した判断なので、支払には応じる」と言っていましたけど。
なんなんでしょうねえ。