今日は、30日付の読売新聞の記事からです。
~ネット中傷「反論できると限らず」、会社員に逆転有罪判決~
自分が開設したインターネットのホームページ(HP)で、外食店の経営会社を「カルト集団」などと中傷したとして、名誉棄損罪に問われた会社員の控訴審判決が30日、東京高裁であった。
裁判長は、「インターネットの個人利用者が書き込んだ情報に限り、名誉棄損罪の適用を緩めるのは、被害者保護の点で相当ではない」と述べ、無罪とした1審・東京地裁判決を破棄し、検察側の求刑通り、罰金30万円を言い渡した。
記事によると、1審は、
個人がネット上に掲載した情報について、
(1)信頼性は低いと受け止められており、被害者の反論も容易
〈2〉個人でもできる調査も行わずにウソの情報を発信した場合にのみ名誉棄損が成立する
(3)被告が書き込んだ内容について、事実ではないが、ネットの個人利用者に要求される程度の調査は行っている
という理由で無罪判決をしたそうです。
私の記憶が確かなら、以前ラーメン店の味に関して「不味い」とネット上に書き込みした事件で、「ネット上の書き込みに対しては反論が可能であるし、ラーメンの味に関する感想は千差万別だ」という理由で違法性はないと判断されたことがあったはず。
それからすると、1審判決は妥当なようにもみえますよねえ。
ただ、(2)と(3)はやや矛盾があるような気もします。
「書き込みは事実ではないが、書き込んだ人はそれなりの調査を行っている。」ってねえ。
で、結局控訴審ではどう判断したのかって言うと、
(1)ネット上のすべての情報を知ることはできず、書かれた側が反論できるとは限らない。
(2)見る側も、個人の発信する情報が一律に信用性が低いという前提で閲覧するわけではない
(3)個人のネット利用者に限って名誉棄損罪が成立するハードルを高くすることは認められない。
と、全面的に1審を否定したわけです。
これだけ発達したインターネット、利用価値が高いだけに注意が必要ですね。