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[07.法律あれこれ]
[10.ニュースを読む]
小室哲哉氏が詐欺で逮捕されてから、もう2週間以上が経過しました。テレビでの報道もほとんど無くなり、遠い過去の話のようになってきましたが、せっかくですから著作権について少しだけ考えてみます。
小室氏が逮捕された後、「行政書士に著作権ビジネスについて相談した」という記事が掲載されていました、小室氏の犯してしまったことは同情の余地は無く、断罪されて当たり前のことなのですが、著作権ビジネスについて行政書士に相談したというのは、同じ行政書士として、正直ちょっと嬉しかったりもします。(すいません、不謹慎ですかね。)
小室氏の相談内容は、「複数の音楽出版社に譲渡している著作権を新しい組織に移し、第三者から出資を募って音楽配信事業ができないか?」というものだったそうです。
これに対し、相談を受けた行政書士は、「出版社から著作権を買い集める交渉は非常に難航する。」と答え、ビジネスとして成立しにくいと話したそうです。
これを聞いた小室氏は、「出版社に著作権を譲渡したまま第三者に二重譲渡して出資金を得ることは出来ないか?」と聞いたそうですが、行政書士の答えはもちろん、「そんなの成立しない。」だったそうです。
結局、新たな著作権ビジネスを立ち上げるべく考えていたように見えますが、逮捕という結果から想像するに、出資者から集めた金で借金返済を考えていただけで、本気でビジネスとして考えていたのかについては、甚だ疑問ですね。
今回の事件の全容については、イマイチ掴めていないのですが、どうやら小室氏は、音楽出版社に譲渡済みの楽曲の一部を自分が役員を務めるプロダクション名義で文化庁に著作権登録していたそうです。
ニュースの中で、今回被害にあった投資家の方に対して、「譲渡の対象となった楽曲の著作権が小室氏の下にあるのかどうかぐらいJASRAC(日本音楽著作権協会)に問い合わせればいいだけのことなのに何故それをしなかったのだろう?」という意見が一部から出ていました。
そりゃそうですよねえ、だってJASRACに問い合わせれば、著作権は音楽出版社に譲渡済みであることが簡単に分かりますから。
では何故、その投資家男性はその調査をせずに小室氏の話を信じ、金を騙し取られたのでしょう?
その答えが、「文化庁に著作権登録」です。
小室氏が単に「著作権の所有者は私です。」って言ったって、その投資家の男性だって5億円もの金を投資する以上、「その証拠を見せろ」ってなるはずです。
だから、小室氏は音楽出版社に譲渡してしまった著作権が自分の下にあることを、どうしても証明しなければならなかった。
そこで考えたのが「文化庁に著作権登録」だと思われます。
著作権ってのは、そもそもその著作物を公表したかどうかとか、文化庁に登録したかどうかなんてことは一切関係なく、創作した時点で創作者(つまり著作者)に発生するものです。
ただ、著作権は財産的価値を持つものであるので、その譲渡等についてはトラブルになる可能性が高いので、著作権法において、「著作権は文化庁に登録しなければ第三者に対抗できない。」としているのです。
原則からすれば、著作権は、著作者が創作した時点で発生するものですから、仮に第三者へ譲渡してなければ、「私が著作権者です。」と言っていればいいわけです。(もちろん、当該著作物について自分が最初に創作したものだという証明は必要になるでしょうが)
著作者の下に著作権がある時はさほど問題ないのですが、財産的価値を有するものである以上、譲渡を繰り返し、所有者が転転とする可能性があるため、「文化庁に登録しないと第三者に対抗できないよ」となったわけです。
これを今回の小室氏の事件にあてはめると、いくら小室氏から譲渡されたと音楽出版社が言ったとしても文化庁に登録してなければ、その後に文化庁に登録した人との関係においては、音楽出版社側が法律上不利になるわけです。
(これは、不動産の二重譲渡と登記の関係に似ていますね)
今回の音楽出版社は小室氏から譲渡された楽曲の著作権を文化庁に登録していませんでした。
これを小室氏は利用したわけです。音楽出版社に譲渡したはずの著作権を自分の下にまだあるようなフリをして文化庁に登録した。
だから、投資家男性も騙された。というわけです。
ん?他人に譲渡済みの著作権を文化庁に登録することなんてできるの?
そうです!普通ならそう考えます。
しかし、文化庁によると「登録申請のあった著作権について、真の所有者が誰であるかを調べる権限は文化庁にはない。」そうです。
確かに音楽に関する著作権はJASRACに著作権の管理を信託している場合がほとんですから、文化庁だって「この楽曲の著作権は誰にあるのか?」を調べるのは簡単でしょう。
しかし、著作権は創作した時点で創作者の下で発生するもの。音楽以外の著作物の所有権が誰の下にあるのかを調べるのはかなり大変なことでもあります。
この法律上の不備を小室氏が知っていたのかどうかは分かりませんが、結論的には、法の不備が招いた事件だとも言えるのではないかと私は考えます。
ところで、この「小室哲哉詐欺事件」と同時期に著作権を巡る事件がありました。
それが、「森進一おふくろさん解禁」です。これについても語りたいところですが、これについては、あちらで。
小室氏が逮捕された後、「行政書士に著作権ビジネスについて相談した」という記事が掲載されていました、小室氏の犯してしまったことは同情の余地は無く、断罪されて当たり前のことなのですが、著作権ビジネスについて行政書士に相談したというのは、同じ行政書士として、正直ちょっと嬉しかったりもします。(すいません、不謹慎ですかね。)
小室氏の相談内容は、「複数の音楽出版社に譲渡している著作権を新しい組織に移し、第三者から出資を募って音楽配信事業ができないか?」というものだったそうです。
これに対し、相談を受けた行政書士は、「出版社から著作権を買い集める交渉は非常に難航する。」と答え、ビジネスとして成立しにくいと話したそうです。
これを聞いた小室氏は、「出版社に著作権を譲渡したまま第三者に二重譲渡して出資金を得ることは出来ないか?」と聞いたそうですが、行政書士の答えはもちろん、「そんなの成立しない。」だったそうです。
結局、新たな著作権ビジネスを立ち上げるべく考えていたように見えますが、逮捕という結果から想像するに、出資者から集めた金で借金返済を考えていただけで、本気でビジネスとして考えていたのかについては、甚だ疑問ですね。
今回の事件の全容については、イマイチ掴めていないのですが、どうやら小室氏は、音楽出版社に譲渡済みの楽曲の一部を自分が役員を務めるプロダクション名義で文化庁に著作権登録していたそうです。
ニュースの中で、今回被害にあった投資家の方に対して、「譲渡の対象となった楽曲の著作権が小室氏の下にあるのかどうかぐらいJASRAC(日本音楽著作権協会)に問い合わせればいいだけのことなのに何故それをしなかったのだろう?」という意見が一部から出ていました。
そりゃそうですよねえ、だってJASRACに問い合わせれば、著作権は音楽出版社に譲渡済みであることが簡単に分かりますから。
では何故、その投資家男性はその調査をせずに小室氏の話を信じ、金を騙し取られたのでしょう?
その答えが、「文化庁に著作権登録」です。
小室氏が単に「著作権の所有者は私です。」って言ったって、その投資家の男性だって5億円もの金を投資する以上、「その証拠を見せろ」ってなるはずです。
だから、小室氏は音楽出版社に譲渡してしまった著作権が自分の下にあることを、どうしても証明しなければならなかった。
そこで考えたのが「文化庁に著作権登録」だと思われます。
著作権ってのは、そもそもその著作物を公表したかどうかとか、文化庁に登録したかどうかなんてことは一切関係なく、創作した時点で創作者(つまり著作者)に発生するものです。
ただ、著作権は財産的価値を持つものであるので、その譲渡等についてはトラブルになる可能性が高いので、著作権法において、「著作権は文化庁に登録しなければ第三者に対抗できない。」としているのです。
原則からすれば、著作権は、著作者が創作した時点で発生するものですから、仮に第三者へ譲渡してなければ、「私が著作権者です。」と言っていればいいわけです。(もちろん、当該著作物について自分が最初に創作したものだという証明は必要になるでしょうが)
著作者の下に著作権がある時はさほど問題ないのですが、財産的価値を有するものである以上、譲渡を繰り返し、所有者が転転とする可能性があるため、「文化庁に登録しないと第三者に対抗できないよ」となったわけです。
これを今回の小室氏の事件にあてはめると、いくら小室氏から譲渡されたと音楽出版社が言ったとしても文化庁に登録してなければ、その後に文化庁に登録した人との関係においては、音楽出版社側が法律上不利になるわけです。
(これは、不動産の二重譲渡と登記の関係に似ていますね)
今回の音楽出版社は小室氏から譲渡された楽曲の著作権を文化庁に登録していませんでした。
これを小室氏は利用したわけです。音楽出版社に譲渡したはずの著作権を自分の下にまだあるようなフリをして文化庁に登録した。
だから、投資家男性も騙された。というわけです。
ん?他人に譲渡済みの著作権を文化庁に登録することなんてできるの?
そうです!普通ならそう考えます。
しかし、文化庁によると「登録申請のあった著作権について、真の所有者が誰であるかを調べる権限は文化庁にはない。」そうです。
確かに音楽に関する著作権はJASRACに著作権の管理を信託している場合がほとんですから、文化庁だって「この楽曲の著作権は誰にあるのか?」を調べるのは簡単でしょう。
しかし、著作権は創作した時点で創作者の下で発生するもの。音楽以外の著作物の所有権が誰の下にあるのかを調べるのはかなり大変なことでもあります。
この法律上の不備を小室氏が知っていたのかどうかは分かりませんが、結論的には、法の不備が招いた事件だとも言えるのではないかと私は考えます。
ところで、この「小室哲哉詐欺事件」と同時期に著作権を巡る事件がありました。
それが、「森進一おふくろさん解禁」です。これについても語りたいところですが、これについては、あちらで。
投稿者 iwaki-gyosei
: 2008/11/22 9:18