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さて、昨日までにご説明してきた「原状回復にかかるガイドライン」ですが、基本的な目的は、「原状回復にかかるトラブルの未然防止」です。

つまり、原状回復にかかるトラブルは、単に契約終了時だけの問題ではなく、契約当初の問題として捉えることが肝要であるとしています。

そのような考えの下、ガイドラインでは契約締結時の注意点として以下の事項を挙げています。

1.物件の確認の徹底

2.原状回復に関する契約条件等の開示


それぞれの中身を見てみると、

著しく短期の賃貸借でない限り、入居時において退去の際のことまで想定することは困難ではあるが、長期にわたることが一般的な居住用建物の賃貸借契約においては、当事者間の記憶だけでは曖昧となってしまい、損耗の箇所や発生の時期などの事実関係の有無をめぐってトラブルになりやすい。
そのトラブルを回避するため、入居時・退去時の物件状況確認リストを作成することが望ましい。


つまり、天井や壁紙の状況、備え付けられている備品、その他細部に至るまで入居時の物件の状況をチェックリストを作成して保存しておき、退去時に当該チェックリストに記載されている各項目の状況についてチェックすれば入居時と退去時の違いが確認できるということです。

退去後にトラブルとなった際に、双方共に証拠として使用することもできるので、紛争の迅速な解決の為には役立つというわけです。


①賃貸借契約書の内容については、賃貸人・賃借人双方の十分な認識のもとで合意したものでなければならない。
したがって、賃貸人は、賃借人に対して、明け渡しの際の原状回復の内容等を契約前に提示し、賃借人の十分な認識を得る必要がある。

②宅地建物取引業者が媒介・代理をするときは、当該事業者は、重要事項説明における「解約時の敷金等の精算に関する事項」には、原状回復にかかる事項が含まれるものであることを認識しておく必要がある。


契約締結時における原状回復に関する契約条件等の開示については、特に法的な規制はないにもかかわらず、本ガイドラインで上記のような注意を提示していることが肝であるといえるでしょう。


次回は、「原状回復にかかる判例」についてご説明いたします。