2018/10/18 8:44

RSウイルス感染症
https://www.niid.go.jp/…/rs-virus-idwrc/7509-idwrc-1734.html

RSウイルス感染症は、RSウイルス(respiratory syncytial virus:RSV)を病原体とする乳幼児に多く認められる急性呼吸器感染症である。潜伏期は2〜8日であり、典型的には4〜6日とされている。生後1歳までに50%以上が、2歳までにほぼ100%の人がRSウイルスの初感染を受けるが、再感染によるRSウイルス感染症も普遍的に認められる。初感染の場合、発熱、鼻汁などの上気道症状が出現し、うち約20〜30%で気管支炎や肺炎などの下気道症状が出現するとされる。乳幼児における肺炎の約50%、細気管支炎の約50〜90%がRSウイルス感染症によるとされる。また、新生児や生後6カ月以内の乳児、月齢24カ月以内の免疫不全児、血流異常を伴う先天性心疾患を有する児あるいはダウン症児は重症化しやすい傾向がある。さらに、慢性呼吸器疾患等の基礎疾患を有する高齢者におけるRSウイルス感染症は、肺炎の合併が認められることも明らかになっている。ただし、年長の児や成人における再感染は、重症となることが少ない。

 RSウイルス感染症が重症化した場合には、酸素投与、輸液や呼吸器管理などの対症療法が主となる。また、早産児、気管支肺異形成症や先天性心疾患等を持つハイリスク児を対象に、RSウイルス感染の重症化予防のため、ヒト化抗RSV-F蛋白単クローン抗体であるパリビズマブの公的医療保険の適応が認められている。

検査診断のために用いられるRSウイルス抗原検査の公的医療保険の適用範囲は、従来の「入院中の患者」(2006年までは3歳未満入院患者にのみ適用、その後全年齢の入院患者に適用)以外に、2011年より外来の「1歳未満の乳児」および「パリビズマブ製剤の適用となる患者」に拡大された。