『他人を攻撃せずにはいられない人』
家族や恋人に精神的・肉体的暴力を振るうドメスティックバイオレンス、子ども可愛さのあまり学校や幼稚園にクレームを付けるモンスターペアレント、友だちの振りをして相手を出し抜こうとするフレネミー(フレンド+エネミー)など…。
身近な人々を攻撃したり、貶めたりといった「害になる人」がメディアやドラマで取り上げられていますが、あなたの職場や家庭といった身近にも、あなたの人生を台無しにしてしまう人が潜んでいるかもしれません。
『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田珠美/著、PHP研究所/刊)は、精神科医の著者が患者たちから聞いた「攻撃欲の高い人」の事例を紹介しながら、彼らの精神構造を分析した一冊です。
暴言を吐く、支配したがる、けなして自信を失わせる、こういうことをしたがる人たちは、一見ニコニコとして優しそうでも、水面下で工作してターゲットの心をズタズタにすることもあるそうです。そんな人には出来るだけ、近づかないでおきたいもの。今回は、要注意人物の見極め方、対処法についてご紹介します。
■注意すべき「要注意人物」とは?
周りを不幸にする「攻撃欲の高い人」を一目で見分けるのは、決して簡単ではありません。ただし、対人関係に独特のパターンがあり、それを知っていれば早めに気づくことが出来ます。そういった人たちは
・一方的に相手をけなして「自分には価値がない」と思い込ませる
・わざわざ面倒なことを他人に押し付けるなどして、混乱や不和の種をまく
・全てを支配しようとし、自分の有能さを誇示する
・自分が悪いことをしても、相手に責任転化する
・相手の意見を受け入れず、自分の言うことを聞かせようとする
といったことをしがちです。自分が仕事で順調だと報告した時に「そんなことで喜んでいるようでは甘い」と叱責してくるような人や、浮気をしているのに「おれを満足させられないお前が悪い」と逆上してくる人がこのタイプに当てはまります。
そのため、しばらく一緒にいると何となく疲れて重苦しい気分になったり、徒労感や空虚感に苛まれたりすることもあります。自分が侮辱されている、利用されていると感じ始めたら、要注意。無意識でも、攻撃欲の強い人に支配されて振り回されている可能性大だといえそうです。
■自己愛のなれの果ての「攻撃」
他人を攻撃してまで自分の優位性や正当性を主張しようとする人たちは、強い自己愛を持っているといいます。何か自分にとって都合の悪いことが起き ると、事実を否定したり、すべて他人のせいにして、自分の感情や問題から目をそむけて無視したまま、居心地の良い世界に浸っていたいのです。
そのため、自分の中の「悪」を全て外部の他人に「投影」して、自分自身は「無垢」であるかのように振舞うのです。フランスの文学者ラ・ロシュコーは、自己愛について「この世で最もずるい奴より、もっとずるい」と述べています。
では、そうした人たちの餌食にされないようにするには、どうしたらいいのでしょうか。そのためには、この3つの点に注目して観察をしてみることが大事です。
(1)なぜ、こんな風に振舞うのか?
(2)一体何を恐れているのか?
(3)何に対して劣等感を抱いているのか?
じっくり観察すると、攻撃欲の強い人がひた隠しにしていた弱点や恐怖が見えてくるはずです。そして、相手の行動が理解できるようになると次のふるまいがある程度予測できるようになるので、不安や恐怖が多少なりとも収まるはずです。
本書では、さらに「攻撃欲の高い人から影響を受けやすい人」にも焦点をあてて説明されています。
他人の攻撃によって、自分の人生を台無しにされないために…本書の内容は知っておいた方がいいはずです。
『他人を攻撃せずにはいられない人』(片田珠美/著、PHP研究所/刊)