内科・外科・小児科 安曇野市 穂高ハートクリニックのスタッフブログ
典型的な手足口病の患者が来院されました。
手足口病、ヘルパンギーナ、アデノウイルス(プール熱)などの夏風邪にも注意しましょう。
=====
日本医師会 手足口病
http://www.med.or.jp/kansen/teashi_qa.html
手足口病について 国立感染症研究所 感染症情報センター
http://www.nih.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/441-hfmd.html
手足口病(hand, foot and mouth disease:HFMD)は、その名が示すとおり、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で、幼児を中心に夏季に流行が見られる。
コクサッキーA16(CA16)、CA10、エンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルスによりおこり、基本的に予後は良好な疾患である。
4歳位までの幼児を中心とした疾患であり、2歳以下が半数を占めるが、学童でも流行的発生がみられることがある。また、学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いので、成人での発症はあまり多くない。
感染症発生動向調査によると、国内における手足口病流行のピークは夏季であるが、秋から冬にかけても多少の発生が見られる。
病原体
CA16、CA10、EV71などのエンテロウイルスが病因となる。ヒト-ヒト伝播は主として咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染でおこるが、便中に排泄されたウイルスによる経口感染、水疱内容物からの感染などがありうる。便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり、症状が消失した患者も2~4週間にわたり感染源になりうる。腸管で増殖したウイルスが血行性に中枢神経系(特にEV71)、心臓(特にCA16)などに到達すると、それらの臓器の症状を起こしうる。いちどHFMDを発病すると、その病因ウイルスに対しての免疫は成立するが、他のウイルスによるHFMDを起こすことは免れない。
臨床症状
3~5日の潜伏期をおいて、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現する。時に肘、膝、臀部などにも出現することもある。
口腔粘膜では小潰瘍を形成することもある。発熱は約1/3に見られるが軽度であり、38℃以下のことがほとんどである。通常は3~7日の経過で消退し、水疱が痂皮を形成することはない。
稀には髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系合併症の他、心筋炎、AFPなどを生ずることもある。特に、EV71による場合には、中枢神経系合併症に注意する必要がある。
治療・予防
特別な治療を要しないことがほとんどである。発疹にかゆみなどを伴うことは稀であり、抗ヒスタミン剤の塗布を行うことはあるが、副腎皮質ステロイド剤などの必要はない。口腔内病変に対しては、刺激にならないよう柔かめで薄味の食べ物を勧めるが、何よりも水分不足にならないようにすることが最も重要である。薄いお茶類、スポーツ飲料などで水分を少量頻回に与えるよう努める。ときには経静脈的補液も必要となる。
発熱に対しては通常解熱剤なしで経過観察が可能である。抗生剤の投与は意味がない。しかし、元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎などへの進展を注意する。合併症を生じた場合の特異的な治療法は確立されていない。
予防としては患者に近づかない、手洗いの励行などである。患者あるいは回復者に対しても、特に排便後の手洗いを徹底させる。手足口病の原因ウイルスに対するワクチンは開発されていない。
学校保健法での取り扱い
手足口病は、学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていない。本文中に示した通り、主症状から回復した後もウイルスは長期にわたって排泄されることがあるので、急性期のみ登校登園停止を行って、学校・幼稚園・保育園などでの流行阻止をねらっても、効果はあまり期待ができない。本症の大部分は軽症疾患であり、脱水および合併症、ことに髄膜炎・脳炎などについて注意がおよんでいれば、集団としての問題は少ないため、発疹だけの患児に長期の欠席を強いる必要はなく、また現実的ではない。
通常の流行状況での登校登園の問題については、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すればよいと考えられる。
コメント追加
穂高ハートクリニック
診療科目:内科、外科、小児科
診察内容:
心臓血管病、ワーファリンケア、
生活習慣病、メタボリックシンドローム
(高血圧,高脂血症,糖尿病,高尿酸血症)
特定検診
予防接種
このブログでは、医院からのお知らせや院長のコラムなどをお届けします。