内科・外科・小児科 安曇野市 穂高ハートクリニックのスタッフブログ

HHCブログ

2015/07/31 11:07

 夏に小児がかかりやすい感染症である「手足口病」や「ヘルパンギーナ」が増えています。
 これらは、夏かぜとも言われておりウイルスが原因の感染症で、大人もかかることがあります。
 しばらく流行が心配されますので感染予防に努めましょう。

長野県内における発生状況
県内の小児科定点機関(54 医療機関)から、7 月 20 日~7 月 26 日(第 30 週)に報告された「手足口病」の報告数は医療機関あたり 6.11 人、「ヘルパンギーナ」は 1.63 人となっています。
今年は「手足口病」が過去 5 年間の同時期で最も多い状況で、流行警報レベルの 5.0 人を超えました。年齢群別の状況は、1歳が20.9%、3歳が20.0%の順となっており、6歳以下で全体の91.2%を占めています。
(参考:ヘルパンギーナ流行警報レベル 医療機関あたり 6.0 人)

予防方法
予防接種はありません。手洗いなど、次の点に注意してください。
** 感染予防のポイント! **
★ 石けんと流水による手洗いをしっかりと行いましょう。
★ 集団生活ではタオルの共用は避けましょう。
★ おむつの交換などは、排泄物を適切に処理し、しっかりと手洗いをしましょう。
★ 体力が低下しないよう、十分な休養と栄養補給を心がけましょう。
★ 脱水症状にならないよう、水分をしっかり取りましょう。

2015/07/31 11:00

感染症発生動向調査情報 松本保健福祉事務所
平成27年7月20日-7月26日 第30週

小児科10定点

RSウイルス感染症 0
咽頭結膜熱 5
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 11
感染性胃腸炎 67
水痘 4
手足口病 65
伝染性紅斑 5
突発性発疹症 5
百日咳 0
ヘルパンギーナ 48
流行性耳下腺炎 2

インフルエンザ内科・小児科16定点
インフルエンザ0名(長野県内では1例)。

基幹病院1定点
マイコプラスマ肺炎 2例
感染性胃腸炎 0例

長野県感染症情報 (2015年(平成27年)第30週)

2015/07/29 9:01

 平成26年2月17日からMAST33アレルゲン検査項目が変更されています。
保険点数 検査実施料1430点 検査判断料144点
シングルアレルゲン 13項目分の点数で陽性頻度の高い33種類のアレルゲンの測定が可能です。

MAST33に含まれていない項目を検査したい場合には、特異的IgE(シングルアレルゲン)から選んで検査を受けることが出来ます。
その都度、ご相談ください。

=====
アレルギー検査、特異的IgE(MAST33アレルゲン)の項目
 近年、アレルギー疾患は、食・住および自然環境などの様々な環境の変化を背景に、患者数は増加の一途をたどり、病態や臨床経過は多彩な様相を呈している。
 最近の特徴として、複数の抗原(アレルゲン)に反応する患者や複数の臓器組織に病変を有する患者の増加、重症化・低年齢化などが報告されていまる。本検査は陽性頻度の高い33種類のアレルゲンの測定が可能であり、診断・治療に有益である。

環境アレルゲン 4項目
コナヒョウヒダニ、ハウスダスト1、ネコ皮屑、イヌ皮屑、

花粉アレルゲン 8項目
オオアワガエリ、カモガヤ、ブタクサ混合物1、ヨモギ、 スギ、ヒノキ、ハンノキ、シラカンバ、

その他アレルゲン 3項目
カンジダ、アルテルナリア、ラテックス、

食物アレルゲン 18項目
キウイ**、バナナ**、ゴマ**、 ソバ*、小麦*、ピーナッツ*、大豆**、米、マグロ、サケ**、エビ*、カニ*、ミルク*、豚肉**、牛肉**、鶏肉**、オボムコイド*、卵白*

*:食品の表示義務のある「特定原材料」に関するアレルゲン
**:表示を奨励されている「特定原材料に準ずるもの」に関するアレルゲン

2015/07/24 11:43

医師が元気に働くための7カ条
日本医師会 勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会


1.睡眠時間を充分確保しよう
最低6時間の睡眠時間は質の高い医療の提供に欠かせません。
患者さんのために睡眠不足は許されません。

2.週に1日は休日をとろう
リフレッシュすればまた元気に仕事ができます。
休日をとるのも医師の仕事の一部と考えましょう。

3.頑張りすぎないようにしよう
慢性疲労は仕事の効率を下げ、モチベーションを失わせます。
医療事故や突然死にもつながり危険なのでやめましょう。

4.「うつ」は他人事ではありません
「勤務医の12人に1人はうつ状態」。
うつ状態には休養で治る場合と、治療が必要な場合があります。

5.体調が悪ければためらわず受診しよう
医師はとかく自分で診断して自分で治そうとするもの。
しかし、時に判断を誤る場合もあります。

6.ストレスを健康的に発散しよう
飲んだり食べたりのストレス発散は不健康のもと。
運動(有酸素運動や筋トレ)は健康的なストレス発散に最も有効です。
週末は少し体を意識的に動かしてみましょう。

7.自分、そして家族やパートナーを大切にしよう
自分のいのち、そしてかけがえのない家族を大切に。
家族はいつもあなたのことを見守ってくれています。

日本医師会 勤務医の健康支援に関するプロジェクト委員会
=====
コメント:
医師だけではなく、皆様、誰にも当てはまる内容だと思います。
元気に働きましょう。

2015/07/23 9:31

感染症発生動向調査情報 松本保健福祉事務所
平成27年7月13日-7月19日 第29週

小児科10定点

RSウイルス感染症 0
咽頭結膜熱 4
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 25
感染性胃腸炎 90
水痘 8
手足口病 25
伝染性紅斑 20
突発性発疹症 4
百日咳 0
ヘルパンギーナ 22
流行性耳下腺炎 3

インフルエンザ内科・小児科16定点
インフルエンザ0名(長野県内では10例 佐久,上田、長野で多い傾向)。

基幹病院1定点
マイコプラスマ肺炎 2例
感染性胃腸炎 0例

長野県感染症情報 (2015年(平成27年)第29週)

2015/07/22 10:30

◆手足口病(国立感染症研究所感染症情報センター)

 手足口病(hand, foot and mouth disease:HFMD)は、その名が示すとおり、口腔粘膜および手や足などに現れる水疱性の発疹を主症状とした急性ウイルス感染症で、幼児を中心に夏季に流行が見られる。1950年代後半に認識された比較的歴史の新しいウイルス性発疹症であり、我が国では1967年頃からその存在が明らかになった。本疾患はコクサッキーA16(CA16)、CA10、エンテロウイルス71(EV71)などのエンテロウイルスによりおこり、基本的に予後は良好な疾患である。
 しかし、急性髄膜炎の合併が時に見られ、稀であるが急性脳炎を生ずることもあり、なかでもEV71は中枢神経系合併症の発生率が他のウイルスより高いことが知られている。

疫 学
 本症は4歳位までの幼児を中心とした疾患であり、2歳以下が半数を占めるが、学童でも流行的発生がみられることがある。また、学童以上の年齢層の大半は既にこれらのウイルスの感染(不顕性感染も含む)を受けている場合が多いので、成人での発症はあまり多くない。
 感染症発生動向調査によると、国内における手足口病流行のピークは夏季であるが、秋から冬にかけても多少の発生が見られる(「グラフ総覧」参照)。最近では、1985年、1990年、1995年、2000年と5年おきに比較的大きな流行がみられており、それぞれの年に検出されたウイルスをみると、85年はCA16、90年はEV71、CA16、CA10の混合流行、95年はCA16、2000年は EV71がそれぞれ流行の主流となっている。
 最近数年間にアジア地域では死亡例を伴った比較的大きな流行が見られ、注目を浴びた。1997年4~6月にマレーシア・サラワクではHFMDの大流行が見られ、急速な経過で死亡する例が30例以上報告された。この間、エンテロウイルスを初めとする複数のウイルスが検出されたが、死亡例からは咽頭、便などからEV71が分離されている。また剖検が行われた少数例では、中枢神経系に浮腫、炎症像がみられ、脳幹脳炎が1例に見られた。1997年大阪においては、HFMDの発生状況は例年をやや下回る程度であったが、HFMDあるいはEV71感染と関連が濃厚な小児の死亡例が3例報告された。3例ともに急性脳炎と肺水腫が認められた。その後、台湾においては1998年2月頃よりHFMDが増加し、5月をピークとする大流行となった。HFMDに関連する髄膜炎、脳炎、急性弛緩性麻痺(acute flaccid paralysis:AFP)などが相次ぎ、EV71が分離され、12月までに台湾全土で死亡が78例と報告された。2000年6~8月に兵庫県で脳炎による死亡例を含むHFMDの流行がみられ、EV71が検出されている(IASR2001年6月号参照)。

病原体  
 CA16、CA10、EV71などのエンテロウイルスが病因となる。ヒト-ヒト伝播は主として咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染でおこるが、便中に排泄されたウイルスによる経口感染、水疱内容物からの感染などがありうる。便中へのウイルスの排泄は長期間にわたり、症状が消失した患者も2~4週間にわたり感染源になりうる。腸管で増殖したウイルスが血行性に中枢神経系(特にEV71)、心臓(特にCA16)などに到達すると、それらの臓器の症状を起こしうる。いちどHFMDを発病すると、その病因ウイルスに対しての免疫は成立するが、他のウイルスによるHFMDを起こすことは免れない。

臨床症状
 3~5日の潜伏期をおいて、口腔粘膜、手掌、足底や足背などの四肢末端に2~3mmの水疱性発疹が出現する(図)。時に肘、膝、臀部などにも出現することもある。
 口腔粘膜では小潰瘍を形成することもある。発熱は約1/3に見られるが軽度であり、38℃以下のことがほとんどである。通常は3~7日の経過で消退し、水疱が痂皮を形成することはない。
 稀には髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系合併症の他、心筋炎、AFPなどを生ずることもある。特に、EV71による場合には、中枢神経系合併症に注意する必要がある。

図.手足口病における水疱性発疹

病原診断
 通常は臨床的になされることが多く、水疱性発疹の性状、分布が重要であり、季節や周囲での流行状況などが参考となる。鑑別診断としては、口腔内水疱についてはヘルパンギーナ、ヘルペスウイルスによる歯肉口内炎、アフタ性口内炎などが挙げられる。手足の発疹に関しては、水痘の初期疹、ストロフルス、伝染性軟疣腫(水いぼ)などが鑑別の対象となる。
 病原診断としてはウイルス分離が重要である。その場合、臨床材料として水疱内容物、咽頭拭い液、便、直腸拭い液などが用いられる。血清診断は補助的であるが、行う場合には、エンテロウイルス間での交差反応がない中和抗体の測定が勧められる。急性期と回復期の血清で4倍以上の抗体価上昇により診断する。

治療・予防
 特別な治療を要しないことがほとんどである。発疹にかゆみなどを伴うことは稀であり、抗ヒスタミン剤の塗布を行うことはあるが、副腎皮質ステロイド剤などの必要はない。口腔内病変に対しては、刺激にならないよう柔かめで薄味の食べ物を勧めるが、何よりも水分不足にならないようにすることが最も重要である。薄いお茶類、スポーツ飲料などで水分を少量頻回に与えるよう努める。ときには経静脈的補液も必要となる。
 発熱に対しては通常解熱剤なしで経過観察が可能である。抗生剤の投与は意味がない。しかし、元気がない、頭痛、嘔吐、高熱、2日以上続く発熱などの場合には髄膜炎、脳炎などへの進展を注意する。合併症を生じた場合の特異的な治療法は確立されていない。
予防としては患者に近づかない、手洗いの励行などである。患者あるいは回復者に対しても、特に排便後の手洗いを徹底させる。手足口病の原因ウイルスに対するワクチンは開発されていない。

感染症法における取り扱い(2003年11月施行の感染症法改正に伴い更新)
 手足口病は5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約3,000カ所の小児科定点より毎週報告がなされている。報告のための基準は以下の通りとなっている。
○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2つの基準を満たすもの。
 1. 手のひら、足底または足背、口腔粘膜に出現する2~5mm程度の水疱
 2. 水疱は痂皮を形成せずに治癒
○上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの。

学校保健法での取り扱い
 手足口病は、学校で予防すべき伝染病1~3種に含まれていない。本文中に示した通り、主症状から回復した後もウイルスは長期にわたって排泄されることがあるので、急性期のみ登校登園停止を行って、学校・幼稚園・保育園などでの流行阻止をねらっても、効果はあまり期待ができない。本症の大部分は軽症疾患であり、脱水および合併症、ことに髄膜炎・脳炎などについて注意がおよんでいれば、集団としての問題は少ないため、発疹だけの患児に長期の欠席を強いる必要はなく、また現実的ではない。
 通常の流行状況での登校登園の問題については、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すればよいと考えられる。


(国立感染症研究所感染症情報センター)

2015/07/17 16:31

2015からインフルエンザ3価ワクチンが、4価ワクチンになりました。
国内製造株は、A型株2種類+B型株2種類となります。

これに伴い、田辺三菱・阪大ビケンは、インフル(ビケン)HA、チメロサール無添加のフルービック供に+50%の値上げだそうです。
消費税8%の負担を加えると、今年のインフル予防接種は価格据え置きは困難となるかもしれません。

2015/07/16 11:35

「エピペン」の処方

 蜂アレルギーを有する林業の方が、エピペン処方を希望されてきました。以前処方したものは、使用せずに有効期限が切れてしまい、新たに処方しました。
 また、使用しないで済めば、それが一番いいですね。
http://www.epipen.jp/

2015/07/15 15:58

感染症発生動向調査情報 松本保健福祉事務所
平成27年7月6日-7月12日 第28週

小児科10定点

RSウイルス感染症 0
咽頭結膜熱 5
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 28
感染性胃腸炎 106
水痘 7
手足口病 14
伝染性紅斑 20
突発性発疹症 7
百日咳 0
ヘルパンギーナ 10
流行性耳下腺炎 1

インフルエンザ内科・小児科16定点
インフルエンザ0名(長野県内では6例 佐久で多い傾向)。

基幹病院1定点
マイコプラスマ肺炎 0例
感染性胃腸炎 1例

長野県感染症情報 (2015年(平成27年)第28週)

2015/07/13 16:25

◆ヘルパンギーナ(Herpangina )

 ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱性発疹を特徴とし、夏期に流行する小児の急性ウイルス性咽頭炎であり、いわゆる夏かぜの代表的疾患である。その大多数はエンテロウイルス属、流行性のものは特にA群コクサッキーウイルスの感染によるものである。

疫 学
 疫学パターンはエンテロウイルス属の特徴に沿う。すなわち熱帯では通年性にみられるが、温
帯では夏と秋に流行がみられる。我が国では毎年5 月頃より増加し始め、6~7月にかけてピーク を形成し、8月に減少、9~10月にかけてほとんど見られなくなる。国内での流行は例年西から東へと推移する。その流行規模はほぼ毎年同様の傾向があるが、1999~2001年の3年間はそのピ ーク時において、定点当たり報告数が例年に比べて高い状況であった。患者の年齢は4歳以下 がほとんどであり、1歳代がもっとも多く、ついで2、3、4、0歳代の順となる。
病原体
 エンテロウイルスとは、ピコルナウイルス科に属する多数のRNA ウイルスの総称であり、ポリオウイルス、A群コクサッキーウイルス(CA)、B群コクサッキーウイルス(CB)、エコーウイルス、エンテロウイルス(68~71 型)など多くを含む。
 ヘルパンギーナに関してはCA が主な病因であり、2、3、4、5、6、10型などの血清型が分離される。なかでもCA4がもっとも多く、CA10、CA6 などが続く。またCB 、エコーウイルスなどが関係することもある。
 エンテロウイルス属の宿主はヒトだけであり、感染経路は接触感染を含む糞口感染と飛沫感染 であり、急性期にもっともウイルスが排泄され感染力が強いが、エンテロウイルス感染としての性格上、回復後にも2 ~4週間の長期にわたり便からウイルスが検出される

臨床症状
 2~4 日の潜伏期を経過し、突然の発熱に続いて咽頭粘膜の発赤が顕著となり、口腔内、主として軟口蓋から口蓋弓にかけての部位に直径1~2mm 、場合により大きいものでは5mmほどの紅暈で囲まれた小水疱が出現する。小水疱はやがて破れ、浅い潰瘍を形成し、疼痛を伴う。発熱については2 ~4 日間程度で解熱し、それにやや遅れて粘膜疹も消失する。発熱時に熱性けいれ んを伴うことや、口腔内の疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、それによる脱水症などを呈する ことがあるが、ほとんどは予後良好である。
 エンテロウイルス感染は多彩な病状を示す疾患であり、ヘルパンギーナの場合にもまれには無 菌性髄膜炎、急性心筋炎などを合併することがある。前者の場合には発熱以外に頭痛、嘔吐などに注意すべきであるが、項部硬直は見られないことも多い。後者に関しては、心不全徴候の出現に十分注意することが必要である。鑑別診断として、単純ヘルペスウイルス1型による歯肉口内炎(口腔病変は歯齦・舌に顕著)、手足口病(ヘルパンギーナの場合よりも口腔内前方に水疱疹が見られ、手や足にも水疱疹がある)、アフタ性口内炎(発熱を伴わず、口腔内所見は舌および頬部粘膜に多い)などがあげられる。
病原診断
 確定診断には、患者の口腔内拭い液、特に水疱内容を含んだ材料、糞便、髄膜炎を合併した例では髄液などを検査材料としてウイルス分離を行うか、あるいはウイルス抗原を検出する。遺伝子診断(PCR 法や制限酵素切断法など)も可能である。確定診断にはウイルスを分離することが原則である。
 血清学的診断は、急性期と回復期のペア血清を用い、中和反応(NT)、補体結合反応(CF)な どで4倍以上の抗体の有意な上昇を確認することで行われる。しかしながら、エンテロウイルスでのCF は交差反応が多いので、一般には行われない。また、実際には臨床症状による診断で十分なことがほとんどである。
治療・予防
 通常は対症療法のみであり、発熱や頭痛などに対してはアセトアミノフェンなどを用いることもある。
時には脱水に対する治療が必要なこともある。無菌性髄膜炎や心筋炎の合併例では入院治療が必要であるが、後者の場合には特に循環器専門医による治療が望まれる。
 特異的な予防法はないが、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどである。

感染症法における取り扱い(2003年11月施行の感染症法改正に伴い更新)
 ヘルパンギーナは5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約3,000カ所の小児科定点より毎週報告がなされている。報告のための基準は以下の通りとなっている。
 ○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2つの基準を満たすもの
  1. 突然の高熱での発症
  2. 口蓋垂付近の水疱しんや潰瘍や発赤
 ○上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清診断によって当該疾患と診断されたもの

学校保健法における取り扱い
 ヘルパンギーナは学校において予防すべき伝染病の中には明確に規定されてはなく、一律に 「学校長の判断によって出席停止の扱いをするもの」とはならない。したがって、欠席者が多くなり、授業などに支障をきたしそうな場合、流行の大きさ、あるいは合併症の発生などから保護者の間で不安が多い場合など、「学校長が学校医と相談をして第3 種学校伝染病としての扱いをすることがあり得る病気」と解釈される。
 本症では、主症状から回復した後も、ウイルスは長期にわたって便から排泄されることがあるので、急性期のみの登校登園停止による学校・幼稚園・保育園などでの厳密な流行阻止効果は期待ができない。本症の大部分は軽症疾患であり、登校登園については手足口病と同様、流行阻止の目的というよりも患者本人の状態によって判断すべきであると考えられる。

2015/07/13 16:21

◆咽頭結膜熱

 咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever, PCF)は発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性ウイルス性感染症であり、数種の血清型のアデノウイルスによる。季節的に地域で流行することもあり、また小規模アウトブレイクとしても、散発的にも発生する。プールでの感染も多く見られることから本邦ではプール熱とも呼ばれる。

疫 学
 本疾患の原因であるアデノウイルスは、特に季節特異性がなく年間を通じて分離される。しかしながら、疾患としての咽頭結膜熱は通常夏期に地域全体で流行し、6月頃から徐々に増加しはじめ、7~8月にピークを形成する。本邦の感染症発生動向調査からみると、過去は夏期に流行の山がみられ、数年おきに流行規模が大小していたが、1999 年より秋と春にも小さな山がみられるようになっている。小規模アウトブレイクとして起こる場合には、季節を問わず、多くはプールを介した発生であるが、病院や施設、デイケアセンターなどでも報告されている。季節性流行の場合は、学童年齢の罹患が主であるとされているが、感染症発生動向調査での罹患年齢からは、5歳以下が約6 割を占めている。
 感染経路は、プールを介した場合には、汚染した水から結膜への直接侵入と考えられている。
 また、プールでのアウトブレイクの調査結果からは、タオルを共用したことが感染のリスクを高めたとの報告もある。それ以外では通常飛沫感染、あるいは手指を介した接触感染であり、結膜あるいは上気道からの感染である。

病原体
 アデノウイルスは正20面体構造をとるDNA ウイルスであり、エンベロープを有しない。51種類の血清型が知られており、咽頭炎、扁桃炎、肺炎などの呼吸器疾患、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎などの眼疾患、胃腸炎などの消化器疾患、出血性膀胱炎などの泌尿器疾患から、肝炎、膵炎から脳炎にいたるまで、多彩な臨床症状を引き起こす。咽頭結膜熱の流行をおこすのは多くは3型、あるいは4型、7型、また2型、11型、14型もみられる。散発例としては、1~8 型、14、19,13/30型の報告がある。逆に、これらの血清型のアデノウイルスが感染しても、必ずしも咽頭結膜熱の症状を来すとも限らない。乳幼児の急性気道感染症の10%前後がアデノウイルス感染症と言われ、アデノウイルスは小児で重要な病原体である。

臨床症状
 発熱で発症し、頭痛、食欲不振、全身倦怠感とともに、咽頭炎による咽頭痛、結膜炎にともなう結膜充血、眼痛、羞明、流涙、眼脂を訴え、3~5日間程度持続する。眼症状は一般的に片方から始まり、その後他方にも出現する。また、結膜の炎症は下眼瞼結膜に強く、上眼瞼結膜には弱いとされる。眼に永続的な障害を残すことはない。また、頚部特に後頚部のリンパ節の腫脹と圧痛を認めることがある。潜伏期は5~7日とされている
 アデノウイルスの血清型のうち、7型は心肺機能低下、免疫機能低下等の基礎疾患のある人、乳幼児、老人では重篤な症状となり、呼吸障害が進行したり、さらに細菌の二次感染も併発しやすいことがある。検査所見として特徴的なことは、血清LDH の異常高値、血球減少傾向、ならびに高サイトカイン血症である。高サイトカイン血症を示唆するフェリチン、β2 ミクログロブリンなどの上昇を伴う場合には、ステロイド剤の適応を含め、早急な対応が必要である。

病原診断
 確定診断には、患者の鼻汁、唾液、喀痰、糞便、拭い液や洗浄液、胸水、髄液などを検査材料としてウイルス分離を行うか、あるいはウイルス抗原を検出する。最近、ラテックス凝集(LA)反応や酵素抗体(ELISA)法での抗原検出キットが市販され、早期診断に使用されているが、血清型別の判定はできない。しかしながら、近年遺伝子診断(PCR 法や制限酵素切断法など)が可能となり、迅速診断に有用で、簡便かつ型別判定が可能である。
 血清学的診断では急性期と回復期のペア血清を用い、赤血球凝集阻止反応(HI)、補体結合反応(CF)、中和反応(NT)などが行われる。CFは感度の点でやや劣り、しかも血清型の特定はできない。NT およびHI などは型特異的な測定法であるとされるが、実際には交叉反応があり、型の特定が困難なこともある。

治療・予防
 特異的治療法はなく、対症療法が中心となる。眼症状が強い場合には、眼科的治療が必要になることもある。
 また、造血幹細胞移植後を含む免疫抑制状態にある患者での重症アデノウイルス感染症の際に、抗ウイルス剤のリバビリンが有効であったという報告があるが、一方無効であったとの報告も散見され、一定の見解は得られていない。2001年のClin. Infect. Dis. にBordigoni らが、造血幹細胞移植後303名のレトロスペクティブ調査の結果を報告しているが、35名のアデノウイルス感染症で、治療として用いたリバビリンとビダラビンには効果がなく、シドフォビルあるいはドナーの白血球輸注を早期に試みる方法を報告している。しかし、リバビリンとシドフォビルは我が国では入手が困難な状況である。
 予防としては、感染者との密接な接触を避けること、流行時にうがいや手指の消毒を励行することなどである。消毒法に関しては、手指に対しては流水と石鹸による手洗い、および90%エタノ-ル、器具に対しては煮沸、次亜塩素酸ソーダを用いる。ただし、エンベロープを持たないアデノウイルスにおいては、消毒用エタノールの消毒効果はエンベロープを持つウイルス(たとえば、ヘルペスウイルスなど)に比較すると弱いとされる。逆性石鹸、イソプロパノールには抵抗性なので注意を要する。7型による感染症では、心肺機能に基礎疾患を有する小児で重症化の危険性が高く、特に院内感染対策上重要である。
 プールを介しての流行に対しては、水泳前後のシャワーなど一般的な予防方法の励行が大切であるが、ときにはプールを一時的に閉鎖する必要もある。

感染症法における取り扱い(2003年11月施行の感染症法改正に伴い更新)
 咽頭結膜熱は5類感染症定点把握疾患に定められており、全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週報告がなされている。報告のための基準は以下の通りとなっている。
○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2 つの基準をすべてを満たすもの
 1. 発熱・咽頭発赤
 2. 結膜充血
○上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの

学校保健法における取り扱い
 学校保健法では、第二種伝染病に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされている。ただし、病状により伝染の恐れがないと認められたときはこの限りではない。

2015/07/08 14:30

感染症発生動向調査情報 松本保健福祉事務所
平成27年6月29日-7月5日 第27週

小児科10定点

RSウイルス感染症 0
咽頭結膜熱 4
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 31
感染性胃腸炎 105
水痘 15
手足口病 7
伝染性紅斑 13
突発性発疹症 3
百日咳 0
ヘルパンギーナ 1
流行性耳下腺炎 1

インフルエンザ内科・小児科16定点
インフルエンザ0名(長野県内では10例 佐久で多い傾向)。

基幹病院1定点
マイコプラスマ肺炎 1例
感染性胃腸炎 0例

長野県感染症情報 (2015年(平成27年)第27週)

2015/07/06 10:10

感染症発生動向調査情報 松本保健福祉事務所
平成27年6月22日-6月28日 第26週

小児科10定点

RSウイルス感染症 0
咽頭結膜熱 4
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 23
感染性胃腸炎 127
水痘 6
手足口病 2
伝染性紅斑 17
突発性発疹症 10
百日咳 0
ヘルパンギーナ 5
流行性耳下腺炎 0

インフルエンザ内科・小児科16定点
インフルエンザ0名(長野県内では16例 長野、佐久で多い傾向)。

基幹病院1定点
マイコプラスマ肺炎 2例
感染性胃腸炎 1例

長野県感染症情報 (2015年(平成27年)第26週)

2015/07/03 8:45

 効果が実感できると、大変、ご好評を頂いている「グラッシュビスタ」です。
女優さん、モデルさん、芸能人の方々の使用がテレビ番組で紹介されて、以降、皆様からのお問い合わせも、増えてきました。
 今のところ在庫は問題なく確保できていますが、現在の入荷状況を御確認の上、お越しくださるようお願い申し上げます。

まつ毛クリニック 情報サイト
グラッシュビスタ患者様向けサイト

2015/07/01 10:13

 伝染性紅斑(Erythema infectiosum)は第5病(Fifth disease)とも呼ばれ、頬に出現する蝶翼状 の紅斑を特徴とし、小児を中心にしてみられる流行性発疹性疾患である。両頬がリンゴのよう に赤くなることから、「リンゴ(ほっぺ)病」と呼ばれることもある。本症の病因は長く不明であっ たが、1983年にヒトパルボウイルスB19(human parvovirus B19:以下B19)であることが提唱さ れ、その後の研究によって確実なものとなった。病因が明らかになったことに伴って、本症の周 辺には多くの非定型例や不顕性感染例があること、多彩な臨床像があることなども明らかになった。

 10~20日の潜伏期間の後、頬に境界鮮明な紅い発疹(蝶翼状-リンゴの頬)が現れ、 続いて手・足に網目状・レ-ス状・環状などと表現される発疹がみられる。
 胸腹背部 にもこの発疹が出現することがある。
 これらの発疹は1 週間前後で消失するが、なかには長引いたり、一度消 えた発疹が短期間のうちに再び出現することがある。
 成人では関節痛・頭痛などを訴え、関節炎症状により1~2日歩行困難になることがあるが、ほとんどは合併症をお こすことなく自然に回復する。

 なお、頬に発疹が出現す る7~10日くらい前に、微熱や感冒様症状などの前駆症 状が見られることが多いが、この時期にウイルス血症を おこしており、ウイルスの排泄量ももっとも多くなる。
 発疹 が現れたときにはウイルス血症は終息しており、ウイルス の排泄はほとんどなく、感染力はほぼ消失している。
 通常は飛沫または接触感染であるが、ウイルス血症の時期に採 取された輸血用血液による感染もある。

 B19感染症で注意すべきものの一つとして、妊婦感染による胎児の異常(胎児水腫)および流 産がある。妊娠前半期の感染の方がより危険であり、胎児死亡は感染から4~6週後に生ずる ことが報告されているが、妊娠後半期でも胎児感染は生ずるとの報告もあり、安全な時期につ いて特定することはできない。しかし一方では、妊婦のB19感染が即胎児の異常に結びつくも のではなく、伝染性紅斑を発症した妊婦から出生し、B19感染が確認された新生児でも妊娠分 娩の経過が正常で、出生後の発育も正常であることが多い。さらに、生存児での先天異常は 知られていない。したがって、妊婦の風疹感染ほどの危険性は少ないが、超音波断層検査な どで胎児の状態をよく把握することが必要である。

治療・予防
 特異的な治療法はなく、対症療法のみである。免疫不全者における持続感染、溶血性貧血 患者などではγ-グロブリン製剤の投与が有効なことがある。
 前述したとおり、紅斑の時期にはほとんど感染力がないので、二次感染予防策の必要はな い。また、ウイルス排泄期には特徴的な症状を示さないので、実際的な二次感染予防策はな い。現在のところワクチンはない。妊婦などは、流行時期に感冒様症状の者に近づくことを避 け、万一感染した場合には、胎児の状態を注意深く観察する。

学校保健法における取り扱い
 伝染性紅斑は学校において予防すべき伝染病の中には明確に規定はされておらず、一律に 「学校長の判断によって出席停止の扱いをするもの」とはならない。したがって、欠席者が多くな り授業などに支障をきたしそうな場合、流行の大きさあるいは合併症の発生などから保護者の 間で不安が多い場合など、「学校長が学校医と相談をして第3種学校伝染病としての扱いをする ことがあり得る病気」と解釈される。通常の学校などでの対応のめやすとしては、発疹が現れ たときには感染力はほとんどなくなっているので、発疹のみで全身状態の良いものについては登 校が可能であると考えられる。ただし急性期には、症状の変化に注意をしておく必要がある。

(国立感染症研究所感染症情報センター 多田有希 岡部信彦)

プロフィール
医療法人泉会
穂高ハートクリニック
診療科目:内科、外科、小児科
診察内容:
心臓血管病、ワーファリンケア、
生活習慣病、メタボリックシンドローム
(高血圧,高脂血症,糖尿病,高尿酸血症)
特定検診
予防接種

このブログでは、医院からのお知らせや院長のコラムなどをお届けします。

カレンダー
2015 7月
    1  2  3  4 
 5  6  7  8  9  10  11 
 12  13  14  15  16  17  18 
 19  20  21  22  23  24  25 
 26  27  28  29  30  31  
6月  |  Today  |  8月
ブログ内検索
 
最近のコメント
最近のトラックバック
  • 心臓血管ワーファリンケア
  • 生活習慣病・メタボリックシンドローム対策

9:00~12:00/15:00~18:00
(木・土曜午後、日曜、祝日は休診)

診療についてのご相談、お悩みや初めての診察を希望される方は、お気軽にお問い合わせください。


順番受付システム:パソコン/携帯電話から当日の順番登録が可能です

看護師・准看護師・事務員募集