インフルエンザワクチンはWHOではA型2株とB型1株の3価製剤を推奨し、日本でも採用されています。しかし、B型について2株が混合流行する傾向が続いており、4価製剤が開発されました。米国ではすでに4価ワクチンが導入されています。
インフルエンザワクチン株
○2014/2015冬シーズン インフルエンザ3価ワクチン
A/California(カリフォルニア)/7/2009(X-179A)(H1N1)pdm09
A/New York(ニューヨーク)/39/2012(X-233A)(H3N2)
B/Massachusetts(マサチュセッツ)/2/2012(BX-51B)
日本でも、現在、4価ワクチン、細胞培養インフルエンザワクチン導入の検討がされているようです。
アメリカでは、
インフルエンザ3価ワクチン(注射) A型2種類+B型1種類
インフルエンザ4価ワクチン(注射) A型2種類+B型2種類
フルミスト(4価ワクチン、点鼻、生ワクチン) A型2種類+B型2種類
の3種類が販売されており、
それぞれワクチンの価格、接種料金が違い、希望するワクチンを選んで接種しているとのことでした。
値段は上昇するかもしれないですが、日本でも4価ワクチン、細胞培養インフルエンザワクチンが、早く導入されるといいですね。
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http://www.nih.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2257-related-articles/related-articles-405/4099-dj4053.html
4.現行の卵で製造されるワクチンの問題点と改善への展望
2012/13インフルエンザシーズンは、A(H3N2)ウイルスが国内や多くの諸外国で流行の主流であった。このシーズンは、ワクチン効果が低かったと国内外から批判が出ているが、これはウイルス流行予測に基づくワクチン株の選定の問題ではなく、上述したようにワクチン株の卵馴化による抗原変異がワクチン効果を低下させていることが原因となっている。この卵馴化は、2006/07シーズンからB型ワクチン株で問題視されていたが、2008年以降はA(H3N2)ワクチン株でも顕著になって来ている。現行のインフルエンザワクチンが卵で製造される限り、この問題の根本的な解決は極めて困難であり、ワクチンの製造基剤を変えるしかない。現在、国内および諸外国では培養細胞を用いたインフルエンザワクチンの製造に切り替えつつあり、これら細胞培養インフルエンザワクチンに期待したい。
5.B型の2株を含めた4価ワクチンの導入の要望
ここ2シーズンは山形系統とビクトリア系統のB型ウイルスが国内外ともに混合流行していることから、来シーズンにどちらの系統のウイルスが流行するかを予想することは、現在のサーベイランスでは極めて困難である。米国では両系統のB型ワクチンを含む4価ワクチンの導入が開始されており、WHOも4価ワクチン用としてビクトリア系統からはB/ブリスベン/60/2008株を推奨している。わが国では生物学的製剤規準によって、総タンパク量の上限(240μg)が規定されているので、現状では4価ワクチンの導入は不可能である。しかし、ビクトリア系統と山形系統の2系統のウイルスが混合流行している事態を踏まえて、わが国でも、欧米諸国と同様に両系統のワクチンを含む4価ワクチンの導入を急ぐべきである。そのためには、速やかに臨床試験を実施し、十分な安全性を確保しつつ生物学的製剤規準の見直しが急務である。
国立感染症研究所
インフルエンザワクチン株選定会議事務局
インフルエンザウイルス研究センター
小田切孝人 田代眞人